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Billがいなくなった-4 Joe Barden Tele Bridge [音楽]

Billがいなくなった-4 Joe Barden Tele BridgePB230323.JPG

Teleの音に関して、ブリッジはめちゃめちゃ大切なパーツだ。自分のギターのブリッジを代えてみればすぐに身をもってわかる。個人的には、ブリッジのプレートに関しては、材質と厚さが大切だと考えている。ブリッジの駒も、負けず劣らず大切で、形、重量、材質の全てが音に影響するように思われる。ものすごく違う。違う、ということはわかるのだが、残念ながらどんなブリッジが自分に合っているのかわからなかった。いろいろと試してみるしかないと思い、大枚をはたいてきた。Teleのブリッジは、オリジナルは2本の弦を一つの短い棒で支える、という、ちょっとびっくりするような経済的なつくりになっており、原理的にオクターブピッチが合わないことは、誰でも理解できよう。なんでこんなことしたのか?Fenderさんは何を考えていたんだろう。わからない。しかし多くの達人Playerたちは、このブリッジを代えるべきではないという。これがTeleの音の秘密なんだ、とのことだ。6Wayの、ストラトのような駒に代えれば、チューニングの問題が回避できることは火を見るより明らかだが、そうしたことで失うものは多い、と先達は語っている。本当か?多分本当だ。しかし目をつむって音を聞いて違いが判るのか?自信がない。多分私にはわからないだろう。隣り合う弦同士が響きあい、豊かな響きを生むとか?今一つわからん。そういえば、最初に手に入れたTeleには、6Wayの棒のような形の駒が使われたブリッジがついていたなあ、、、。プレートも駒もブラスだったと思う。明るくノー天気な音がしたように記憶している。


私自身、初めてTeleをアセンブルした時は、”品質第一、ブランドは完全無視、自分の目と手を信じていい楽器作ろうぜ”という原則で作ったため、ブリッジは、通常のものよりやや分厚い(よくbeefyと表現されている)、Gotohの6Wayの駒がついたブラスのものを選んだ。キースリチャーズの有名なTeleについている奴とクリソツだ。日本製なのでつくりは完璧で外見も非常に美しく、金色のメッキがかけられている。チューニングは当然ばっちりで、重量があるためか、音のニュアンスをちょっとだけ出しにくいような気がする以外、何の問題もなかった。それも多分に気のせいなのだろう。値段に比べて望外の品質で、満点に近い製品だ。さすが日本製品。このブリッジを付けたり外したりして、いくつのPUを試したことだろう。長年使っても駒が多少減るくらいで壊れるものではないので、今でもその美しさを保ち、自作Teleのブリッジとして現役であり、なかなか侮れない素晴らしい音を紡いでくれている。

これまでにいろいろなブリッジを試してきた。上記のGotohのもの(何の文句もない)、フェンダーのオリジナル(これはいい味を出しているのだが加工精度が低く、とても大事な楽器に取り付ける気にはならなかった。ねじ穴がずれていたり、三角だったりするのだ。やすりのあとも残っていたり、ひどいものだ。6Wayのものも持っているが、弦を張ると駒が斜めになるのがどうにも気に入らなくって死蔵している)、Warmothで売っている美しいノーブランド製品(これにも何の文句もないが、なぜだか外見が気に入らない。細部のデザインの問題かもしれない。金と黒の組み合わせはちょっとグロイかも)、最近出たチタンサドルがついたやはりGotohのもの(現存するものの中では、これが最高ではないかと思っている。自分の好みの音が出るような気がしている、しかし値段が高い)、それから今回紹介するJoe Barden。倉庫には使っていないブリッジが少なくとも5-6個は眠っているのだが、今回のProjectにはどうしてもJoe Bardenのものを使おうと考えている。加工精度、材質、品質の総合管理など、やはりペグやブリッジはGotohのものが世界一なのではないかと個人的には考えているのだが、今回はどうしてもJBのものを使いたいのだ。それは自分の中で何となくBillとつながっているような気がするから。おぼろな記憶によれば、FenderがDannyGattonモデルにつかうPUが、(おそらく)JoeBardenがビジネスに失敗して供給できなくなったとき、Billがピンチヒッターになってブレード型のPUを供給したことがあった筈だ。二人が個人的な知り合いであったかどうかは知らないが、Billの作品を、Joe Bardenのブリッジに乗せてみたいのだ。

このブリッジは、様々な工夫が凝らされ、作られている。加工精度は国産よりやや落ちる印象だが十分に高品質。プレートには誇らしげにJoeBardenと掘り込まれている。オリジナルと比べてやや厚めのプレートは鉄製で、厚めのメッキがかけてある。叩いてみると、オリジナルのようなかんかんといった響きではなく、ごつごついうだけ。機械的な強度はかなり上がっているようだ。右手の指を駆使するFingerPlayerのために、サイドウォールを削り込んであり(こうしないと指がぶつかってしまい、爪を痛めたりする。やってみるとわかるが、これは結構痛い)、プレートのネック寄りの部分を浮かせないために、小さなねじを二つ追加してあることも大きな特徴だ。最大の特徴がオクターブを合わせるためにスラントさせた駒なのだが、それだけにとどまらず、駒の下部を削り込んで一弦と六弦を必要があれば十分に下げる工夫もなされている。駒を削り込むことでずいぶん音がかわるのではないか、と思うが、機能的にはこの方が良いのは明らかだ。この3つの駒はブラスでできており、厚めのスチールプレートと相まって、深みのある、ほぼ伝統的な音を作る礎になっている。音を大きく変えない範囲で、現場の要請にできるだけこたえるように渋い改良がなされている、といった印象のブリッジだ。


駒に刺さったボルトの頭が何故かマイナスだったり、ブリッジと一緒に供給されたねじの頭が、ブリッジに開けられた穴と角度的になじまなかったり、多少の問題がないわけではないが、全体としてかなり気に入っているブリッジだ。ブリッジの端に開けられた小さな穴を使うかどうか、、、、使えばおそらく音も変わってしまうだろう。しかしブリッジの浮きを改善できるのは大きい、、、。また、駒をスラントさせることによって弦の感覚が微妙に変わってしまうことも弾いていて稀に気になる。間隔が微妙に均等ではないのだ。ブラスの駒はやや柔らかく、弾いているとけっこう早めにすり減ったり傷ついたりすることも、気にならないではない。マニアックに考えると多少の問題はあるが、今回はこのブリッジを使おう、と決めた。


次はおそらくペグの話を書きます。
ギターの話を続けます。
to be continued


このブリッジにこだわってテレをくみ上げたのだが、その後困ったことが起きた
弦高を上げようとすると、一弦と六弦の弦高調整のためのネジの長さが足りないのだ。このブリッジはずいぶん造りが凝っていて、弦によってネジの長さを変えてあるのだ。米国製だとは思えないほどマニアックな造りになっているのだ。それがあだになってこのような問題が起こることもある。それでこのブリッジをあきらめることも考えたのだが、その前にいろいろと悪あがきをすることにした。もうワンセット持っているブリッジについている長めのネジを取ってきて使ってみた。

幸いにして、これでばっちり、最高のセットアップをすることができた。しかしねじを奪われて泣いているブリッジはどうしたらいいだろう?それでJBEに連絡を取ってみた。すると社長さんが直接対応してくれ、ネジは1㌦で売ってくれるという。送料がかかるので、10㌦払ってほしいというのでそうしたところ、事情を察して長いネジ2本に加えて短いネジ2本をサービスしてくれた。それも数日で届いた。素晴らしいサービスだ。本当にアメリカの会社なのだろうか?生前にDanny Gattonは友人のJoeが作ったPUを、“メルセデスベンツだ”と宣伝していた。確かにそうかもしれない。二人の関係について興味があり、かつ英語が苦にならない人は、”Unfinished business –the life and times of Danny Gatton-”という本を読んでみることをお勧めする。なんだか素人っぽい本でまとまりが悪いように思われるのだが、Dannyの個人的な情報満載で興味深い。現在のJBEの社長さんは、いろいろあったらしくJoeではないらしいのだが、Joeがいたころとおそらく同程度の、レベルの高い製品を売っているようだ。少なくともJoeがいなくなる前後で、Danny Gatton T-modelの音は変わっていないように思われる。個人的には会社の存続を望んでいる。

JBE製品、とくにDanny Gatton modelはお勧めです。
このブリッジの開発にあたって、日本の”オタク”の意見を参考にしたらしい、ということを付記しておきますが、知ってましたか?え、常識だって?あ、そう。


2021/6 Danny Gatton model、たまたま久しぶりに目にしたのだが、ベツモノになっている。音はどうなんだろう?作りが違うのだから音もかわってしまったのだろうと思われる。
タグ:ギター
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