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日本のクルマを買ったよ -11- 整備って難しい [クルマ]

日本のクルマを買ったよ -11- 整備って難しい

その後クルマを大変有効に活用している。いい年をして朝焼けの街を走り抜けたり、夜更けの山にエンジンの咆哮を響かせたりして悦に入っている。クルマの乗り心地は最低だが、これ以上運転する喜びを味あわせてくれるクルマを他に知らない。自分が思った通りに走ってくれる。シャシーがしっかりとしており、エンジンにパワーがあり、タイヤがしっかりと道路をつかみ、ブレーキがものすごく強力で、ハンドルが正確に運転手である私の命令に従う、という“走る、曲がる、止まる”の基本がきちんとできたクルマだからだろう。“駆け抜ける喜び”の日本版を毎日味あわせてもらっている。

このクルマを手に入れるときのテーマは、“零戦みたいな国産車”だったように記憶している。無駄なものがついていない、軽くて小さな、運動能力に優れたクルマ、ということだ。うちのクルマは必ずしも小さくはないが、結果的に私にとって最良の選択であったようだ。軽量化のために防音のための部材を大幅に廃してあり、足回りを強力に固めたうえに、病的と言っていいほど固いタイヤを履いているためか、野山を駆け回って喜んでいると、エンジンの“叫び“をはじめとして、車内に様々な音が響き渡る。エンジンを回すと、窓のガラスが共鳴してビリビリと震えることも珍しくない(これはちょっとビンボくさい)。エンジンの歌声など、走行に伴う様々な“音“を全身で楽しみながら数百キロ走り回って楽しんだあとは、さすがにクルマがバラバラになってしまったような錯覚に陥る。しかしそんな時でも、クルマをおりてしげしげと車体を見回してみると、ボディに傷一ついていない。奇跡としか思えない。ともあれ、いい年をして恥ずかしいのだが、とっても楽しいクルマ時間を過ごさせてもらっている。つらく体にこたえる遠距離通勤も、このクルマで走り抜ければお楽しみの時間に早変わりだ。幅寄してくる大型トラックや、行く手を阻む酔っ払い運転からは十分な距離をとって、朝晩の快適な移動を楽しんでいる。ちょっとお金かかるけどね。

クルマをクルマらしく走らせると必要になってくるのが点検・整備だろう。残念ながら細部にこだわりまくるオタクな私は、ディーラーにクルマの整備をお願いして、納得のいく対応をしてもらったことがあまりない。整備から帰ってくるクルマは、ハンドルがオイルまみれになっていたり、ドアに傷が入っていたり。某M社の車に乗っていた時などはリコール隠しにあい、“おかしい“と感じて質問攻めにしたら逆切れされて、怒鳴り合いになったっけ。このクルマを買ってからも同じようなことの繰り返しで - まあ正直私の要求水準が高すぎるのだと思うが- 納得のいく整備をしてもらえたことはほとんどなかった。だからディーラーに出向くときはいつもものすごく憂鬱だ。自分でできる整備は自分でやった方が間違になくいい。

最近出会ったディーラーの某メカニックと二度目の連絡を取り、電話で整備の内容をざっと相談した上で整備に赴いた。彼と挨拶をし、近況などを話し合った後、彼は突然むっつりと黙って、何も言わずにクルマの方に足を運んだ。仕方がないので私は彼についていった。そしてそのまま寒空の下、最後まで彼につきあった。彼は丁寧に私のクルマをジャッキアップし、その後ゆっくりとフィルターとオイルを交換。彼の愛車と同じクルマなので、手慣れたものだ。フィルターの取り付け位置などの関係で、少々トリッキーな整備が要求されるのだが、見ていて不安になることは皆無だった。その後何もお願いしていないのに車全体を(私が望むようなやりかたで)丁寧に洗ってくれ、このクルマによくあるトラブルなどもちょいちょいと手直ししてくれた。口数は少なくかつ口下手ではあるが、私の好みと希望を十分に理解して、適切かつ丁寧に対応してくれた。本当にありがたかった。その後の接客はぎこちないものだったが、“困ったらいつでもどうぞ”と口数少なく私を送り出してくれた。他人に自分のクルマを任せて不安を覚えなかったのは初めてかもしれない。彼はこのクルマのことなら、間違いなく私よりよく知っている。信頼するに足る、お金を払う価値のある整備だったと思う。私の場合、営業の人を介さずに、実際の仕事に精通している人の、直接顔の見える整備をお願いするのがいいようだ。

今までお世話になった整備工場で、整備のやりかたが気に入らず、“もっとお金がかかってもいいから○○してくれ”、とお願いしてその場の雰囲気が極めて悪くなったことが何度かある。だから満足のいく整備をしたいのなら、道具と情報を仕入れて自分でやるしかない、と思いこんでいた。しかし世間は広い。私以上のオタクはいくらだっているものだ。オタクの心はオタクにしかわからない。彼に出会ってから確信の度合いを深めている。しかしそういう人に出会うためには運と努力が必要だ。私はクルマを乗り換えることを決意しつつ、血眼になってクルマの話が通じるメカニックを探してものすごく努力した。以前にも書いたが、努力はたまには報われるものだ。今回は珍しく、私の努力が実を結んだ。これで暫くの間、このクルマと過ごす時間を心から楽しむことが出来るだろう。ありがたいことだ。

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