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日本のクルマを買ったよ -20- ホンダアクセススポーツサス(長文注意、内容空虚) [クルマ]

日本のクルマを買ったよ -20- ホンダアクセススポーツサス(長文注意、内容空虚)
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ということで、ついにノーマルサスとさよほならすることになった。交換する前に結構な距離を走ってノーマルサスの味わいを堪能したので、あまり後悔はない。といってもまだ50000㌔しか載っていないのだが。このサスの耐用距離が何万キロに設定されているかはわからないが、峠に行ったり多少飛ばしたりはするものの、サーキットに行くわけではないので大した負荷はかかっていない筈、個人的にはまだまだ初期の性能に近い能力が残されており、捨てるには忍びない。新しいものに取り替えていらなくなったサスはしばらく倉庫で保管して、どうするか考えることとしよう。欲しい人もいるかもしれないし。さて。

それでホンダアクセススポーツサスである。実際はタイヤを交換せずにサスだけアップデートして、サスのみを交換した違いを感じてみたかったのだが、わが信頼するメカ氏によれば、“ノーマルタイヤは一見きれいに見えるが実用上はもう限界、危険“とのことであった。それで彼が推薦するダンロップのタイヤにかえてみることにした。サスとタイヤを一緒にかえざるを得なかったため、サス自体の変更による乗り心地や走行性能の変化について客観的に評価することは不可能となってしまったが、まあそれはいい。仕方がない。楽しく安全にドライブを楽しむことが出来ればそれでいいのだ。

ディーラーのサービス部門が込み合っているということらしく、いろいろあってわが愛する“銀ちゃん”を1週間も泊まりに出し、先だってようやくわが手に取り戻した。1週間オレは寂しかった。メカ氏は、いつも通り満足のいくメンテを施してくれ、返ってきた車の内外はまるで若返ったような輝きを放っている。もう大丈夫、これからは問題があればメカ氏に全てお願いし、私は頑張って働いてお金を貯めてきっちりと支払いさえすればいいのだ。なんという安心感、これこそ私がディーラーに求めてきたものだ。“クルマに関するすべてを丸投げしてお願いし、きっちりと仕事してもらって、黙ってお金を払わせていただく”ということだ。

話は紆余曲折するが、自動車評論家の書く文章には、クルマを買った後のメンテについてはあまり書かれていない。そんなことを書いたって商売にならないのはわかるが、実際にクルマを長く乗ろうとした場合、いろいろな問題が起こるわけで、そういった時にディーラーがどう対応してくれるか、ディーラー以外のクルマ関係のお店をどのように使えばいいか、そういった視点からの記載をどんどんするべきだと思う。そうしなければ、この業界の歪のようなものは改善されないだろうし、特に都市部においては、嫌になってクルマを降りる人もいるだろう。クルマを乗る人の総数が減れば、メンテは商売として成立しにくくなり、競争が減ればサービスの質も落ちていくしかないだろう。これ以上、おかしなことにならないように期待したい。

私は帰国していろいろなディーラーをまわり、外車系のディーラーがサービス部門を含めたサービスが充実していることが多い事(利益率が高く設定されているから?)。車自体はクルマ好きにはあまり評判が良くないが、トヨタのサービスの方たちの教育がびしっとなされており、工場の中や工具などももきれいに整備されていること。マツダのサービス工場は、意外だが(失礼)きれいなところが多く、顧客の作業見学を積極的に受け入れていること(全てのディーラーがそうなのかは未確認)、などなど、いろいろなことを知ることになった。その後業界で長く仕事をしている方と運よく知り合いになり、製造と販売が全く別の会社であることが多い事や、同じ系列のディーラーでも実際は商売敵関係にあることなど、業界に昔から横たわる構造的なひずみや矛盾についても少しずつ知ることとなった。

わが愛するHondaのディーラーはどうだろうか?残念ながら他社と比べて特別に条件がいいとは言えないように思われる。私の運が悪かっただけかもしれないが。直資100%と(小声で)謳っているディーラーもあることはあるのだが、地元のクルマ屋さんが(恐らく)お金を払ってHondaのディーラーの顔をして営業していたり(それはそれで立派なディーラーなのだと思うが)、同じ地域にあるHondaディーラーでも、バックグラウンドが違うために営業やメンテの実力が段違いだったりすることも珍しくないようだ。サービス工場はほとんどのディーラーで(合計10か所以上は回った)古かったり汚れていたりしており、工具なども清潔に整えられてはいなかった。清潔感が足りないと感じることが多かった。また、サービスの方たちのつなぎも汚れていることが多く、ずいぶん残念な気持ちになった。Hondaは、個人的にはクリーンで先進的なイメージを持っているブランドなのだが、サービス工場も同じようにクリーンで先進的であってほしい。私は清潔病なので是非そうあってほしい、多少作業料金が上がっても構わないとまで思っている。一消費者としては、とにかく廉価に質の良いサービス(メンテ)を受けたいと願うばかりだが、具体的に自分が住んでいる地域でどのディーラーに足を運んでどうすればいいのか、本当のところを教えてくれる人はいない。詳細な情報はなかなか手に入らない。

私の場合、隣の県で何とか最終型の売れ残ったType Rを手に入れ、その後は地元のディーラーでメンテを、と考えていたのだが、どうもこれは間違ったディーラーとの付き合い方のようだ。ある業界人によれば、“自分の店で売った車以外は知ったことじゃあない”というのが基本的な姿勢らしいので。しかしそんな事情を知らなければ、“おなじHondaなんだから面倒見てくれよ”と言いたくなる。多くの人が同じように感じるのではないか。自分の店で売った車でないならば、HondaでもToyotaでもどうも関係ないらしい。そう伺ってびっくりした。

話はやや広がってしまうが、Toyotaは他社のクルマのメンテを受け入れてくれることを知ったので、ためしにオイル交換をお願いしてみた。HondaのくるまをToyotaのサービスで乗れるのであればサイコウだと思ったのである。ストレスフリーで、完璧に近い整備をしてもらえるのではないか、と期待した。しかし、残念ながら私が目を付けたToyotaの整備工場の責任者の方は、“Hondaのクルマには興味があるが、構造が特殊なので、うまくできないかも”と、やんわりと断られた。“オイルフィルタの交換にSSTが必要となるようなことがあるのだ“という。やれやれ。86に買い替えて、SubaruのクルマをToyotaのサービスで乗ることも考えてみたが、やはりFD2を愛しているので踏み切れなかった。話を元に戻す。

それで別の業界人に内部事情を教えていただき、地域に複数あるHondaディーラーのうちで最も長くやっていて実力がある、と教えられたディーラーに行ってみた。しかし詳細は述べないがここに愛車を預ける気にはなれなかった。“営業やメカの方が、TypeRのことを知らない、扱った経験が乏しい”というのが最大の理由なのだが、看板を挙げているブランドのクルマでさえ、ディーラーのメカたちは細かく知っているわけではない、という事実を目の当たりにしてがっかりした。このことは、業界の問題の一つなのだそうだ。そりゃあそうだろう。

うまく行かないのでくさってしまい、特殊なクルマを選んだ自分が悪かったのだ、と後悔したのだが、最後の希望を託して車を持ち込んだ某ディーラーで(ダメなら本気でFD2をおりるつもりだった)、私のクルマと同じものを愛用しているメカ氏に知り合うことができ、それ依頼私のカーライフは光が差したように明るいものになった、というわけだ。実はあの時、FD2を売ってNDに乗ろうと思っていたのだ。数が出ている歴史のあるクルマであれば、経験と情報を蓄積したメカの方は多くいるだろうし、NDをきちんと扱うことのできるショップもあるだろう、とふんだのだ。また、FD2はキリキリと走る以外には脳が無いクルマで、これでまったりクルージングする気になれない、というのも、FD2には大変申し訳ないが、本当の気持ちだった。しかしメカ氏に出会い、今回サスとタイヤをかえることで、私のカーライフは新しい局面を迎えたのだ。

メカ氏は改造や不必要な部品の交換を勧めることなく、神経質な私のやりすぎ整備の要求をやんわりと断る。良心的だ。それでも流暢とは言えない言葉を尽くしてクルマと整備について説明してくれる。身なりにかまわないいわゆる“おたく”なのだと思われるが、車に関する知識と経験は、私のはるか上を行っている。走行距離もとてもかなわない。いろいろあって、私のクルマを任せるに足る人だと思ってありがたくお付き合いさせていただいている。彼は“ノーマルが一番”“一か所いじるとやめられなくなる”と、ノーマルの足の素晴らしさを強調し、私自身もそれに同意していた。しかし“山の神”のご宣託が下ったことを伝えたところ、今回の私の決断を渋々受け入れてくれた。それで“乗り心地が良い”という“軟弱な“評判が高いホンダアクセススポーツサスを選択した私を理解してくれた。“いい値段するけれど、信頼性はばっちり”だと評価してニッコリしてくれた。

しかしタイヤについてはなかなか厳しい意見を主張。私は通勤を基本として、たまに峠に走りに行く程度の使い方しかしないため、ノーマルでついてくるポテンザの更新を彼は勧めなかった。曰く、”ポテンザはサイドウォールが固すぎる””サーキットに行かないならば意味がない””価格も仕入れ値も高すぎる””耐久性も高くない”等々。それで私の用途にぴったりで値段も比較的リーズナブル、性能的にも十分だというダンロップのタイヤを選んで勧めてくれた。私に否やはない。彼の選択を受け入れることにした。彼自身もかつてそのタイヤを使っていたことがあり、長短双方を知り尽くしているというので。

そんなこんなで、タイヤとサスを丸ごと交換してもらった。私はこれまで30年ほど車に乗ってきたが、転居などを繰り返したこともあり、不幸にして同じクルマを長期間乗り続けることが無かった。結果として、今までにこんなに大がかりな整備を経験したことは無い。自分にとってこれは大手術だ、また、同時にFD2の持病である”クラッチギコギコ”も一緒に直してもらった。マスタシリンダの交換をした、ということだ。そんなこんなでいろいろなところをいじってもらうことになったため、1週間彼にクルマを預けたのだが、FD2無しで暮らすのは結構寂しいものだった。しかし実はその間、代車に浮気して楽しんでいたので、まあいいとしよう。

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上記の整備で、わがFD2はまるで別物になった。まず、車高が1センチほど低くなり、後輪のキャンパが大きくなって、いわゆる微妙に”ハの字”をかいたクルマになってしまった。ちょっと下品かもしれない。フロントは一見変化がわからないが、もともとほとんどないタイヤとボディの隙間が、ぼぼゼロになったというか、タイヤが内側に入り込んでいるというか。車高1㌢は誤差だ、という人がいるかもしれない。しかしそれは大間違いだ。運転席から見える”景色”も大きく変わった。今までは前を見ている、という印象であったが、整備後は、上を見上げている、という印象が加わり、”地を這っている”感覚が強調されて、同じスピードで走っていてもスピード感は1割増しになった。同時にコーナリングの時の安定感が2割くらい増した印象で、ロールしても怖さを感じない。ものすごい変化だ。

当然ながら道路に対する“タッチ”も大きく変わった。納車されたときは5段階の調節のうちで一番柔らかい“1”に設定されていたのだが、道路からの情報は直接ハンドルに伝わるものの、大きな入力はいい感じに角を丸められてシャシーに伝わる。ぶるぶるとおかしな振動が伴うことは無く、入力の後にびしりと収まる。コーナーにさしかかった時のロールが心なしか大きめに感じる。気のせいかもしれないが。それでもある程度以上のロールは許さないので、高めの速度でコーナーに入っていっても、低くなった実感がある車高と相まって恐怖感は全くない。舵角はすこし大きめになっているのかもしれないが、コーナーで遅くなっている感覚はない。また、ポテンザには感じなかったことだが、タイヤが風船のようにしなって、サスと一緒になって路面の凸凹を吸収している実感がある。ポテンザは、おそらくFFのくせを弱めるために(あっているだろうか?)サイドウォールがものすごく固いので、走っていてタイヤそれ自体の風船感覚が全くないのだ。

走っているときの“音”も大きく変わった。
走行時の“音“は、FD2の場合、大きく分けて、ロードホールディングノイズを主とするタイヤやサス周りの音、それから吸排気に纏わるエンジンからの音、さらに、軽量化のために遮音が省略されていること等による、ギヤからのメカノイズの3つある。さらに内装がこすれたり共振したりするために生ずる、あまり良いとは言えない低級ノイズが加わって、ものすごくにぎやかな音がするのだが、このうち走行時のロードホールディングノイズが今回手を入れることによって激減し、相対的にエンジンとギヤ、特にエンジンの音が目立つようになった。なんのかんのいってもHondaのクルマの主役はいつだってエンジンだ。アクセルの開閉に伴って変化する、K20Aの官能的な音を更に深く味わうことができるようになった。FD2は移動のための道具ではなく、運転すること自体を楽しむクルマであるから、こういうのが好きな私のような人間にとっては大きなプラスの変化だ。


そんなわけで、私のFD2は全く別の乗り物になってしまった。普通のクルマに近づいた、という表現も可能かもしれないが、ボディ全体の剛性感はやはり基礎体力の高さを感じさせていい感じだ。“1”という軟派な設定は自分は使わないものと思っていたが、これでも全然OKかも。この設定だと、すこしゆっくりとクルージングを楽しもうかという気になる。味わいの深い、奥行きのある乗り心地だ。気に入った。クルマを買い替える気持ちが全くなくなってしまった。これから“1”以外に、4段階も選択肢が与えられている。前後の設定を少し変えるのも面白いかもしれない。これからが楽しみだ。

それでは、このあたりで今回の整備の最終テストに移りたい。“山の神”のお裁きをあおぐのだ。いつもの様に隣にお乗りいただき、いつものスピードでいつもの道を走る。と、“山の神”はお疲れのようで、程なく眠りにおちられた!すやすやと眠っておられる。ギャップを超えても目を覚ますことはない。これは合格だ!

とりあえず暫くは、この“1”の設定を中心に楽しんでみようと考えている。クルマのチューニングってすごい。びっくりした。でもあまりはまらないようにして、お金と時間をタイヤ、ガソリン、それから高速代に回そうと思っている。ギターの轍は踏まないぞ、と。とりあえずはこれで幸せだ。

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