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市川 一茶庵 おせいろ 深山  各840円 [日本蕎麦]

市川 一茶庵 おせいろ 深山  各840円

千葉県お蕎麦屋さんシリーズを再開したい。

最近まで知らなかったのだが、JR本八幡駅前に銘店一茶庵があるという。しかし多忙な身の上、なかなか千葉県まで足を延ばすことはできない、、、が、、、週末をつぶして電車に乗って本八幡に足を運んだ。

靴を脱いで店に上がるスタイルと聞いていたので、汚れてもよい身支度をして電車に。ずいぶんと本を読み進み、程よく空いている総武線のホームを降りて一茶庵に。なんだがごみごみとした駅前に、古びた門のようなものがあり、古民家調のお店に迷わず歩を進めた。やはり玄関で靴を脱がされるのだが、私はこれが本当に苦手だ。たいていお店では靴箱などがあまり清潔に保たれておらず、せっかくきれいにしている靴や靴下が汚れてしまう、、、、どうせ私は清潔病なので、、、それはいいことにして、、、残念だがこのお店の下駄箱も今一だ。あきらめて靴を抜いて店内に。店内は古い和風建築そのものであり、天井は杉のようなもので葺いてあり、古びて黒ずんでいる。塗り壁、畳、ふすま、障子、欄干、、すべてが懐かしい昭和のにおいがする。落ち着くといえば落ち着く空間だ。

机は座卓であり、なんだか木肌をいかした民芸調のものであった。もうすこし気合を入れて拭いてほしいかな?席に案内されてすぐに問題発見。座布団に乾いたお蕎麦がペロリとへばりついており、さらにスダチの種のようなものまでご丁寧に座布団で休んでいる。指で弾き飛ばしたがお店に入ってそうそう残念な気持ちになってしまった。お店は忙しいらしく、中年の女性とその娘さんと思われる女の子で切り回しているのだが、店内を十分に回すことができておらず、注文が漏れたり順番が入れ違ったり、、、、。

まあいい、人生は楽しむためにあり、文句を言うためにあるのではないのだ。こういう時は酒だ酒。一杯やりながらのんびり待つにしくはない。お店の玄関をくぐる時は呑まないことを心に決めたのに、数分後にはこれだ。座布団が悪い、と責任転嫁の甘い酒を呑むことにした。おっと、お蕎麦を頼むのを忘れていた。次の機会がいつになるかわからないので二色盛をお願いしたら“今はやっていない”とのことなので、おせいろと深山両方をお願いした。しばらく待つと、白鹿の吟醸とともに、揚げ蕎麦と2種類の漬物が供された。お酒もつまみも見栄えのしないものだったが全てなかなかおいしく幸せになった。

お酒が終わってしまってからさらにしばらく待つと、ようやく蕎麦つゆと薬味が。薬味は地元と思われる大量のさらし葱と、こちらも小山のように盛られたひと手間加えた山葵。山葵には味付けがしてあり、生と粉を混ぜたような風合いだがなかなかいける。例によってお酒のつまみとしてどんどん食べてしまいたかったのだが、お酒はもう終わってしまっている。残念無念。蕎麦つゆは徳利に入っており、それに蕎麦猪口がひっくり返しになって乗せてあるスタイル。そのままの状態で冷蔵庫に入れて冷やしてあるようだ。蕎麦つゆは、、、、基準にしているまつやのものと比較すると、カツヲブシびんびんでカツヲカツヲカツヲという感じ。しかしそれが嫌味になっているようなことは無い。洗練を感じさせる蕎麦つゆだ。全体にさらりさっぱりとしており、色もやや薄め。甘さはやや少なめ、辛さはやや強め。生醤油の薫りは生かしていないタイプ。上質な蕎麦つゆで、それだけで十分お酒が呑めると思う、個人的には。お蕎麦を食べ進むにつれて塩辛さが増して感じられるようになっていったのだが、どうしてだろうか。

さて、まず深山が供された。四角く端が持ち上がられた木の盆にせいろが乗せられ、小山のようにお蕎麦が乗っている。みかけは素晴らしく美しい。太めの角が丸まったまるでうどんのようなお蕎麦が、くねくねと身をよじらせつつぴかぴかと光り輝いている。星は細かいのがすこし。お鼻をぺったりとさせて薫りを楽しもうとするが、遠くのほうでほのか‐な薫りが。つなぎの感じはあまり感じないのだが、わずかに使ってあるような印象。数本手繰って、、、というかもむもむやってみる。と、お口の中で栗のような穀物の薫りが花開く。多少のねちゃねちゃ感を残しつつ、喉をひっかきながら胃に下りてゆく。これはなかなかのものだ。おいしい。田舎蕎麦ってこうでなくっちゃ。次に蕎麦つゆと一緒に。蕎麦つゆはお蕎麦と比較するとかなり弱いので、お蕎麦のほとんどすべてを蕎麦つゆにくぐらせるくらいでちょうど良いようだ。楽しくもむもむやってみるが、なかなかお蕎麦のやまが小さくならないのでうれしくなってしまう。満足して完食。小さな溜息。そしてしばらく待つ、、、、松、、、、松。

そうすると同じようなしつらえで、今度はおせいろが供された。これはエッジこそやや丸まっているものの、細くかなり白っぽく、星は目立たず、全体になんだかなよなよとしている。しかし箸で持ち上げてみるとなかなか腰があり、むむ、やるな、、、と思わせる。それですかさずお鼻を、、、、こればすばらしい、お鼻をお蕎麦にピッタリするまでもなく栗のような穀物薫がふわりふわりと漂ってくるではないですか。ぶわーではなくふわりふわりといったかんじ。この奥ゆかしさがたまらない。この時点でお蕎麦の出来が良いことを確信。二八とか十割とか、この際もう関係ない(どこかに二八と解説されていたが確かにそのようなプレゼンだ)。あとか好みに合うかどうかだ。そのまま数本手繰ってみると、、、、期待を裏切らない、さっぱりしつつこくがある、喉越しも素晴らしいお蕎麦だった。いーい薫りだ。おせいろはやや薄めに見える蕎麦つゆとベターマッチしており、3割程度くぐらせて食べると抜群の掛け合わせとなり、すばらしい味と薫りのハーモニー(凡庸な表現ですがほんとうにそんな感じ)を楽しむことができた。これは素晴らしい。今度九段の本店にも是非いってみたい、と思わされた。

その後、別仕立てと思われるの蕎麦湯をたっぷりと楽しんで、お店を後にしたのでした。ごちそうさまでした。もう少しお酒を呑みたかったが我慢して家で仕事をしようっと。

良い;千葉県にある銘店一茶庵 直系と思われるお蕎麦屋さん。比べたことは無いが、お蕎麦の盛りはこちらのほうがいいのではないだろうか?よし、こんど比べてみよう。
もっと良くなる;やっぱりもうすこしお掃除かな?お店の女性(花板さんというのだろうか)をもう一人増やせば、評価がぐっと上がると思う。
また行く?;Yes
総評;千葉県にある銘店一茶庵 直系と思われるお蕎麦屋さん。千葉県で都心の有名お蕎麦屋さんの味を楽しめる。スバラシイ。
トイレ;未使用 ちょっと心配かな?
駐車場;駅付近にたくさんの駐車場があるとおもわれる。

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