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Jazzy Tele –Head1- [音楽]

Jazzy Tele –Head1-
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人生一度きりだ、とよく口にする先輩がいる。“人生一度きりなんだから、そんなに嫌ならやめればいいですよ”なんていうふうに使うのだが、耳にするとグッとくる。そうこうするうちに、自分もそんな風に考えるようになった。“人生一度きりなんだから、やりたいことをやろう、弾きたい楽器を弾こう”と言った具合だ。話の展開はやや強引なのだが、今後手を入れながらでもずっと弾いていく楽器を厳選しつつある、というか手もちの楽器の本数を実際に減らしている。私の自由時間は有限なのだから、本当に気に入った楽器だけと過ごしたいのだ。私の手元にある全ての楽器はそれなりに見どころのある人たち?なのだが、彼らのすべてと十分に付き合う時間が私に許されているわけではない。だから涙を呑んで少数の楽器以外は手放そうというわけだ。流行っていた断捨離?というやつと似ているのかもしれないがそれはまあどうでもいい。それで、まずこの楽器を残すことに決めた。いろいろと手をかけた楽器なので、書きたいことがたくさんある。暇な人だけ付き合っていただけると幸いだ。
Head Back.jpg
Jazzy Teleと勝手に名前を付けたこの楽器は、私が欲しいと考えているエレキギターそのものだ。電気回路的に詰め切れていない部分もないわけではないが、少なくとも木部の選択とか加工とか、文句のつけようのない仕上がりだ。上から下まで、順番に見ていこうと思う。この楽器はずいぶん前、私がアメリカにいたころに計画を立て、パーツを集め、手を付け始め、結局日本に戻ってきてから仕上げたものになる。

ネックはUSACGにお願いした。今回紹介するヘッドの形は、70年代のストラトをモチーフにしたUSA3というタイプで、その造形を、個人的には大変美しいと感じている。いわゆるクローシャンヘッドという範疇に属する形なのだと思うが、機械で削った後に人の手が多少入っているようで、何とも言えないいい味を出している。ヘッドにはUSACGのTommyがサービスでロゴを入れてくれてあるのだが、これはレーザーで木部を切り出したあとにアクリルを充填し、その上から塗装をしてあるとのこと。Headからナット付近に向かって収束していく曲線が美しいと思う。蛇足だが、Tommyのサービスは秀逸で、メールで足りなければ、少なくとも当時は、電話で応対してくれた。いまはどうなっているだろう。当時のままだといいのだけれど。

まず、塗装の話から入ろうか。Headにはペグを取り付けるための穴があけられており、ネックを塗装する際にはこの穴に針金のようなものを通し、ぶら下げて作業するわけなのだが、作業の都合でこの針金付近の塗装が乱れることが多い。このネックも例外ではなく、仕上がって納品されたときにはブッシュをはめるあたりが、塗装が一部はがれた、というかへこんだようになっていた。これにクレームをつけるのは間違っている。だってブッシュを打ち込めば闘争の乱れは隠れてしまうわけだから。しかしこのギターをアセンブルした際の私は気合が入っていたので、やらなくてもいい塗装の乱れを直し、ラッカーで充填してサンドペーパーで均す作業を何度も繰り返し、少なくとも外面からは塗装の問題がないように仕上げた。そのあとに初めてブッシュを打ち込むことにしたわけだ。我ながら偏執的だと思うが、こだわりがないなら自分で楽器を組み上げる意味がない。それで徹底的に自分ができることをやった。

このネックの主材には、Tommyの勧めに従って(”あんまり派手な木目は選ばないほうがいいよ”)、ごてごてとしていない、軽めの木目が出たバーズアイメイプルを選んであるため、シンプルな木目の剤と比べて強度が劣る筈で、経年変化で歪んだり、曲がったり、ブッシュが緩んで来たり、という変化を覚悟していたのだが、ブッシュを打ち込んだのち数年たっているが、ブッシュが動いたり、傾いたりすることが全くない。材の選択はやはりUSACGだけあって間違いがないようだ。このあたり、おそらく同業他社の追随を許さない部分なのだと思う。高価な楽器でも、長年の経過の中で木部が縮んでブッシュが回ってしまうようなことは頻繁に見受けられるのだ。
Head Back and Grip.jpg
というわけで、このページを覗いてくださった皆様には、私のJazzyTeleのHeadの造形をしばし楽しんでいただければ、と思う。目の肥えた方であれば、幾つかの問題が目に付くだろうけれど。次回、しつこいがもう一度Headについて書いてみようと思う。しかしこんな記事を読んでくれる人がいるのだろうか、、、。

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