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徒然FD2 2018/3-1 [クルマ]

徒然FD2 2018/3-1
どれくらい時間がたったかわからない。

しかしおそらくほんの数秒だと思われる。

頭がはっきりして最初にしたことは、手で下着を濡らしていないか確かめることだった。大丈夫だ、よかった。おそらく大きなダメージではないのだろう。よし。しかし自分の背中には、体が衝突のショックで椅子の中に深く沈みこんで押さえつけられたおかしな感触が残っている。四肢を確認し、体に大きな問題がないことを確認して、、、いや、首がおかしいぞ。腰もなんだかボールが入り込んだような違和感がある。自分が自分でないような嫌な感じがする。やばいな、これは。

幸いにして頭の中は意外と冷静だ。しかしそれでも思考がうまく流れず、次に何をしたらよいのかわからない。あとになって考えれば、ショックで判断力が損なわれていたのだと思う。のろのろと体を動かしてシートベルトを外し、それから助手席に置いたコートを引き寄せる。ドアを開けて、そいつを身につけて、FD2にカマを掘ったクルマの運転手に向かっていった。怒鳴りつけてやろうか、ぶん殴ってやろうか、と考えたすえに、とりあえずできるだけ丁寧に話をしてみることにした。

“どうしたっていうんですか”“すみませーん”
“こっちはとまってたんですよ”“すみませーん”
“警察呼びましょうか”“すみませーん” 

彼は薄笑いを浮かべて謝るばかりだ。残念だがあまり誠実さは感じられない。タバコの吸いすぎなのか、茶色くなった乱杭歯が目立つ初老の男性だ。職人さんか、工場の経営者といった風情の気楽な雰囲気を漂わせている。なぜか目つきが鋭いのが気になった。彼のクルマのボンネットは跳ね上がってしまっているが、彼自身の体には全く問題はないという。とりあえずよかった。しかし彼は大丈夫だろう。自分はぶつかる瞬間に衝突のショックに耐えるため身構えていたろうから。こちらはまさかそんなことは起こらないだろうと高をくくっており、防御の姿勢を取っていなかったのだ。しかも後ろから衝突されたので被害は甚大だ。頸と腰の違和感が徐々に大きくなり、やがてそれは痛みと呼ばれる感覚に変わっていった。

タグ:FD2
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