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"もの"としての"楽器"④" Fujigen NTL21RAH-WB [音楽]

"もの"としての"楽器"④" Fujigen NTL21RAH-WB

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ヘッドからいこうか。いろいろ好みもあるだろうが、わたしはちょっとサドウスキーっぽいこの形が気に入っている。

FGNのブランドネームが格好悪いと文句をつける人が多いようだが、そういうひとは楽器の本質的な価値を理解しないということだろうから今後一切Fujigenの楽器を買わなくていい、と思ったりする。この値段で良質な木材を使い、超正確な加工を施し、隅々まで神経が行き届いた仕上げをするという、全体的な品質の高さと絶大な信頼感、、、、ありえない。まじでスバラシイ。日本製品の長所を楽器全体で表現している我々日本人の良心そのものだ。ブランド性という問題はあるにせよ、エレキが必要なら取りあえずFujigenをかっておけば間違いないのだ。何らかの理由で新しい楽器が必要になったら、私は迷わずにFujigenを買うだろう。GASの場合は理性をはるかに超えた話なので正直自分がなにをするかわからないが。話を戻す。

ペグは安心と信頼のSD91。もちろん群馬県が誇る世界のGotohの製品だ。私はこれまでさんざんGotohのペグを買ってきたが、Fender系に関しては結局SD91が一番しっくりくる。一切遊びがない設定なのだがきっちりと作られており、昔ながらのギヤ比なんかも結局これでちょうどよい。メッキの関係なのかもしれないが、他の仕上げのペグと比べてGoldのものが巻き心地と調弦の精度が良いようだ。内部のパーツが国外製になったと伝え聞いたことがないわけではないが、私の手元に来た製品はほぼすべて満点のできであり、交換を要したものはこの20年間でたった1つだけだった。そのさいもボタンが曲がってついていただけで、機能に問題はなかった。その安心と信頼のSD91が僅かの狂いもなくびしっと一直線に並んで組み込まれている。これを読んでいる人たちも一度自分でやってみるとわかると思うのだが、結構適当な規格でつくられているクルーソンタイプのペグをヘッドの片側にびしっと狂いなく組み込むのは想像するほどやさしくはないのだ。Fujigenで楽器制作に携わる人たちが基本的な技術を十分な余裕をもって習得していないとこんな感じに正確に組み込むことはできない。ストリングツリーはカモメ型で、スペーサーとしてプラスチック系のパーツが使われている。私はこれがあまり好きではなく、高音弦のポストを短くするなどの工夫でストリングツリーを省略するべきだろうと考える。自分で組むならそうするだろうが、とりあえず外見も機能も何の問題もなく、文句はない。

あ、そうそう。木の乾燥が不十分だったり、穴の加工がいい加減だったりすると、ペグのポストを受けるヘッドにはめられたワッシャのような部分が傾いてくることが多く、そういった楽器は世の中にたくさんあるのだが、我がFujigenに関しては当然完璧に加工されている。USA製のテレのばあい、結構この辺が危なっかしい個体が多いような印象だ。まあ何年か楽器を弾いていけば、私のFujigenが正しく作られていることが証明されるだろう。テレの場合はボディの裏の弦を通す部分の金具が正しく等間隔で垂直に装着されているかどうかということに加えて、ヘッドのワッシャにも注目することをお勧めしたい。このあたりに注目すれば、いまあなたが手にしているテレがきちんと作られているかどうか、簡単に判断できるだろう。

ナットの加工は完璧だ。私が手に入れた個体はナットの表面がやや汚れているので、おそらく製造後数か月程度たっているものなのだろうと想像する。表面の密度がかなり均一なので、ナットの素材は私が好きな牛骨ではなく、コリアンなどの人工素材で作られているのだろう。自分で削ってみるばすぐに材質がわかるとは思うが、加工が完璧なので手を加える余地はない。

ヘッドはポリで塗装されてピカピカしているのだが、ナット以下のネックの塗装はサテン仕上げとなっており、買ったばかりでも手に馴染みやすく、指が滑って演奏中にミスする頻度が減るような設定となっている。よく考えられている。トラスロッドはヘッド側から調整するように設定されているので、季節ごとにわざわざネックを外して調整する必要がない。なのでネックを膠等でボディに張り付けてしまっても基本的にはなんの問題もないのだ。一部の製作者によれば、ヘッド側から調整するようにトラスロッドを仕込むと、ハイポジが起き上がる可能性が高くなるというのだが、私自身はあまりそういったことを気にかけていない。70年代のTelecasterCustomなんかでそういった問題が指摘されてはいないからだ。

もうひとつ。ヘッドを正面から見た時に、ナットよりヘッド側のローズの指板の一番上のところが、横にまっすぐに切られていることがちょっとだけ寂しい。この部分は、自分的にはヘッドに向かってわずかに凸の弧を描いていてほしいのだ。そうなっていないFender系の楽器を買うのは実はこれが初めてだ。これは外見上の問題であり、ヘッドの強度や音そのものなどとはおそらく関係がないが、私はTelecasterを淫してしまっているのでどうしても細部が気になってしまうのだ。Fujigenでのフェンダー系楽器の製造過程をたしかYoutubeかなにかで見せていただいたが、この部分は上から円筒形の回転するヤスリをあてて成形しているようなので、結果的に指板の一番上のところが直線になってしまうのだろう。まあ、テレ伝統のメイプルのワンピースネックであれば、こういった細かい問題は気にしなくてもいいのだが。

ということで、こんな細かくマニアックな文章を読んでくれる人はあまりいないだろうが、新しく手に入れた楽器についてもうしばらくしつこくねちねちと書いてみようかと思う。

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