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2022/5/21   Fender made in Japan limited collection [音楽]

2022/5/21   Fender made in Japan limited collection



この特別な日本製のFenderはちょっといい。本国製の楽器のように指板が平らだったりといったモダンな仕様が取り入れられておらず、現代的な使い方には厳しい部分もあるが、昔のつくりそのままの楽器が新品の状態で手に入る。いろいろあって、2018年の初期モデルを何と2本も手元に置いている。本当のことを言うと、もっと買い集めたい気持ちを抑えるのに苦労している。あれもこれも欲しくなってしまう。楽器にかかわることになると、私の中の幼児性が色濃く反映されてしまうのだと思う。お恥ずかしいことだ。このシリーズは、年に2回、Fenderの過去の代表的なモデルを題材としていろいろなパターンで発表されてきたのだが、わずか数年で、おそらくコロナ禍のせいもあると思われるのだが、惜しくも突然中断されてしまった。Limited collectionの楽器を実際にどれか一本手にしてみればすぐにわかることだが、あまり効率を追い求めていない、なかなか気合が入ったつくりをしており、オーナーになればそれなりに所有欲が満たされるのは間違いない、と私は思う。製作本数が極端に少ないと聞いており、短期間であっという間に市場から姿を消してしまったことは記憶に新しい。見る人はみているのだ、うん。ボディもネックもデータ通りにきっちりと削り出されており、人の手によるあいまいさはあまり感じさせない仕上がりだ。パーツはかなり選び抜かれてあり、本国製の高価なモデルにも全くひけをとらない。まあ普通のストラトに使うパーツなら、選択には限度があるからね、うん。細部のつくりは当然国産の方が精度が高い仕上がりになっているわけで、値段を考えると、賢い選択肢の一つだと思われる。本家本元でなければイヤ!というひとでなければ。

手許にある、なんとやはり複数本のFCSと比べてみると、パーツの選択は互角。木部の加工は上記したがMIJがより正確である。それでも楽器がまとっているオーラ、もしくは“味“のようなものは、本国製に軍配が上がる。これは、FCSの、明らかに人の手が入ったことを示す仕上がりのバラつきが関係しているのかもしれない。手作り感と言い換えてもいいのかもしれない。それがなんともいい味となっており、楽器が与える全体的な印象に深みを加えているのだろう。それから、塗装は両者ともフルラッカーを謳っているが、本国製の塗装の方がなぜか圧倒的に厚い。輝きも底光りしているような雰囲気。下地はラッカーではないのかもしれない。多分そうなのだろうと個人的には想像する。まあ引き込んで将来的に塗装がはがれてくれば答えはおのずから明らかになるだろう。木部の加工に、人の手がより多く入っていることが最初に気が付いた最大の違いだった。もう一つ、どうしようもなく違うと思ったのは、木部の材質だ。鳴らした時の全体の響きといってもいい。

FCSの方がネックが明らかに強く、同時にしなやかなのだ。なんだか納得いかないし、信じられないが本当だ。木部の材質だけではなく、ロッドの仕込み方とか、塗装とか、感想とか、他にもいろいろなファクターがあることは想像にがたくないが、ともかく木材の質がワンランク違う印象だ。明らかに違う。例えばネックの木取はどちらも板目で見かけはほとんど違わないのだが、握った感じや弾いた印象がこれだけ違うとあまり敏感ではない私にもありありとその違いが感じられてしまう。それくらい違うのだ。また、ボディについても明らかな違いがある。材質は同じアルダーで、FCSはセンターずらしの2P、MIJはセンター合わせの2Pとなっており、ネックポケットやらPUキャビティの加工やら仕上げなどに目を向けると、やはり加工精度は明らかにMIJが上なのだ。当然のことなのかもしれないが。しかし実際に鳴らしてみると、MIJのボディはどこかくぐもったような響き。一方のFCSはなんだがアコギのようによく“鳴る“のだ。信じられないが本当だ。まあボディだけで音を鳴らせるわけではないので、私自身の偏見のようなものが評価に含まれていることは避けようがないけれども。実際、このボディの”鳴り“こそが、最も大きな違いであり、FCSを我がものとして手にするまでは、こんなに違うんだ、と、実感することはなかった。店頭で弾いたってわからない。自分の手と耳に合わせたセッティングにして、しばらく弾きこんでみて初めてそれが実感できる。これはやっぱり材質なのかな?乾燥なのかな?塗装なのかな?理由はともかく、絶望的に大きな違いがあるので、興味がある人はなんとかしてFCSを1本手元に置いてみたらいい。そうすれば私の言いたいことがわかるだろう。やはり本家にはみるべき点があるものだ。いたずらにブティックブランドに走ることは必ずしも正解ではないのだろうと思ってしまう。

それでもMIJのこのシリーズは個人的にはかなり気に入っており、上記したが、あれもこれも、と、ついつい何本も集めてしまいたくなるやばい楽器だ。もし運よく程度のいい中古を目にした方には、ストラトでもテレでもジャズマスでもなんでもいいので、しばらくお酒とか我慢して、一本手に入れることを是非お勧めしたい。けっこう幸せになれるだろう。

タグ:Fender
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