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2022/06/08 巨人族 [クルマ]

2022/06/08 巨人族



私自身のように、身長が6フィートを超えるとわが愛する日本は突然住みにくくなる。疑うのであればあなたの周りにいる大きな人たちに訪ねてみればいい。彼らにとっては、ドアなどで頭をぶつけることは日常茶飯事だし、背筋を伸ばして座ったり歩いたりできないことも珍しくない筈だ。最近はもうそんなことはないだろうが、都会に住むことが多かった私の場合でさえ、若いころは体に合う服がなかなか見つからずにずいぶん苦労したもので、いつだって体にあわないツンツルテンの洋服か、そうでなければ体重過多?の人用に作られたぶかぶかの服を着るしかないことが多かった。おしゃれなんて夢のまた夢だった。嘘のようだが本当の話だ。最近であれば、手軽に輸入物の洋服が手に入るし、必要があれば個人で洋服を輸入することも簡単だ。また、背の高い日本人が増えてきたので6フィートの身長の日本人は、もはや特別な存在ではなくなりつつある。個人的には大変ありがたいことだ。それでもSix-Two、つまり185㌢を超えたあたりから世界が変わってくるのは昔も今も変わらない。信じられないかもしれないが、普通の生活ができなくなるのだ。わかる人にはわかるし、そうでない人にはどう説明してもわかってもらえないことだと思う。私自身Six-Twoを超える身長をもつため、これまでいろいろと苦労してきたわけだが詳しくは語るまい。

そんな私は、同族に属する人に勝手に親近感を抱いており、長身の男性を見かけると、見境なく話しかけて“あなたも同じ種族ですね”などとfriendlyに接することが多い。高身長の人たちにはなぜか心優しい人が多いため、怒られたりすることはほとんどなく、微笑と共に受け入れてもらえることが多い。私は、自分を含むSix-Twoを超える身長をもつ人たちを、勝手に“巨人族”と呼んでいる。

それで今日は、クルマにまつわる“巨人族”の話を書き散らしてみたい。私は軽量の英国製、もしくはそういった文法に従って作られたクルマに興味を持っており、チャンスがあればドライバーズシートに座ってみることにしているのだが、私の巨体がフィットする車にはいまのところお目にかかったことがない。それはつまり快適なドライビングポジションが取れないということだ。手か足、もしくは手足の両方が適切なポジションをとれないとか、頭が天井に触れてしまうとか、背筋を伸ばせないとか、視野が狭いとか、複数の問題が同時に起こることが多い。例えばHondaのS660など、発売された瞬間にふらふらと見に行ったのだが(このクルマがイギリス的かどうかは議論がありそう)、上記のほぼすべての問題が発生したのですぐにあきらめた。大好きなMazdaのロドスタ(これはどう見ても成り立ちからしてイギリス的)にも何度か乗せてもらったのだが、クルマに体を押し込むのが結構苦しい感じだった。ディーラーのロドスタに詳しい人のお話では、190㌢のドライバーまで想定して作られているということではあったが、確かに欧米の手足が長い人の場合は何とかなるのかもしれない。しかし背が高い日本人である私の場合はあまりうまくいかないようだ。あれはどうか、これはどうか、と他のクルマにも結構座ってはみたのだが、国産車の場合は絶望的なようだった。現在手元にあるメインのクルマは結局ドイツのクルマになってしまったのだが、初めてドイツ系のクルマを手に入れたときには、手足や背中、首回りをのびのびとくつろがせることができてうれしかったものだ。それまでは、SUVを愛用していた時期でさえ天井に遮られて狭くなった視界を我慢しながらクルマに乗ってきたのだが、ドイツ社の場合には、運転中、ごく自然に上下左右に視界が広がるため、特に長距離のドライブが楽で、安全なものになったことは記憶に新しい。さて。

知り合いにかつてクルマ屋さんだった“巨人族”がいるのだが、彼は数年前まで大きなレクサスのセダン、最近はBMWを経てAudiに乗っているのだという。彼と話をしたときは何も説明せずとも多くの問題を共有することができて楽しかった。彼がAudiは乗り心地が良すぎて運転している実感が得られずにつまらない、バスに乗っているみたいでストレスだと言い出したため、私は冗談でケーターハムを買ってはどうか?と勧めてみた。仕事がらみであまり時間はなかったのだが話が結構弾んでしまい、頭を天井にこする話になった。シートをフルバケに代えて低くしてMazdaのロドスタに乗る話などを振ってみたところ、彼は私の言いたいことを即座に理解してくれたうえで、それは間違っているという。我々巨人族は、国産車をあきらめて西欧のクルマに乗るべきだ、と主張したのだ。それが長年クルマ業界でやってきた彼の結論なのだという。Webでチェックしてみると、確かにロドスタでは90㌢に満たない座部高が、Z4なら100㌢近く確保してある。やっぱり対象とするユーザーの身長が違うということなのだろう。プロの言うことは確かに一味違う、しかしドイツ系のクルマは乗り味が違う、軽快ではなくやはり重厚な方向にいってしまうのではないか。彼はそれは運命だと思ってあきらめろという。冷たい奴だ、巨人族のくせに。また、British Light Weight Carの文法で作られたクルマの場合、それなりにリーズナブルな価格が一つの魅力になっていると思うのだが、Z4の場合は実用性は乏しいにもかかわらず結構なお値段だ。この点を彼に尋ねてみると、迷わず中古を探せ、値段と品質のつり合いが取れたクルマが簡単に見つかるというのだ、本当か。確かにそういうものなのかもしれない。たくさんクルマを乗り継ぐ人の場合、新車を買うのは愚かな行為なのかもしれない。そういえば、米国で人気があったクルマのメンテをテーマとしたラジオ番組では(まだやってるのかな?)、クルマは購入してから最初の数年で大きく値落ちするものだし、クルマは走らせるものなので、使っていれば傷がつくのはアタリマエなのだから、新車を買うことは“Stupidity”であるとリスナーを繰り返し何度も厳しく諫めていた。ショックだったのでよく覚えている。

今手許にあるクルマには愛着もあるし何の文句もないが、こいつらに寿命が来た頃に、もしまだガソリン車が手に入る幸運に恵まれれば、Z4のようなポジションのクルマも選択肢に入れたほうがいいのかもしれない。運転席周りが大柄な人にも無理なくフィットするように設計されている、矛盾するようだが、あまり大柄ではないクルマが好みなのだが、確かに外車を買うしかないのかもしれない。外車のディーラーは今のところ不幸にしてあまり付き合いやすくはないな、というのが私の正直な気持ちで、国産に戻ることもたまに考えてしまう私なのだが、そのあたり、今後何とか乗り越えられるといいな。今のクルマを最後にしようと思っていたのだが、専門家が新しい切り口を提示してくれたので、今後の楽しみが増えたことにしようと思う。

本日のお話はこれでおしまいです。私の話はいつもまとまりがなく恐縮です。

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