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2022/12/03   Str-RKその後 [音楽]

2022/12/03   Str-RKその後



Str-RKがうちに来た。ヘッドの形は伝統的なものだが、細部の造形はやや微妙か。ヘッドにはブランドネームが主張しているが、これはシールではなく、塗装の中に封じ込められている。ペグは日本が世界に誇る、私も大好きなGotoh製のSG381、それもゴールド塗装でボタンはPearlWhite仕様だ。伝統的なクルーソンと比べて精度も高いし耐久性もある。なによりメンテに手がかからないし、ペグ本体とヘッド表側のナットでしめつけてあり、ヘッド裏側のスクリュウは回転止め以上の意味を持たず過剰なストレスがかからないので長持ちするという合理的な設計だ。重量は仕様によって異なるとカタログには記載されているが、クルーソンと比べてさほど重くなってはいないだろう、ボタンもプラにかえられていることだし。テンションハンガーは高音弦に一つだけ。トラスロッドを回すためのサービスホールはヘッドにあけられており、伝統的なブレットタイプではなく、サービスホールの中にプラの部品をはめ込んである。ここは通常ネック裏のロッドのフタ同様ウォルナットを使うところだが、何度も調整を繰り返すと傷んで摩耗するためこうなっているのだろう。ナットは牛コツではなく人工素材になっている。素材の入手性、均一性、加工性、耐久性を考えてこうなっているのだろう、もちろんコストも下げられるはずで、極めて日本的な解決法だ。ネックの塗装は上から下までサテンになっており、さらさらで感触が良い。長く使うとつるつるになって光沢が出てくるのではないかと思われるが、注意して経過を見守っていきたい。さて、最大の特徴であるLargeCの断面を持つネックであるが、これは期待よりかなり繊細~細くて残念な気持ち。RKモデルのテレではThickCとなっており、触った感触ではCというよりD的な形で、ネックから指板につながるあたりのMeatがもられていて感覚的にすごく太く感じて好ましかった。ストラトモデルはこのあたりがややスマートなためか、すかすかして個人的には期待外れかな。店頭で弾いてみたときはしっくり来たのだが残念だ。大きなネックが付いたストラトを気軽に弾きたい、というのが購入動機なので、ちょっと残念な結果になってしまった。LargeCの場合、資料によれば1フレットで22mm、12フレットで24mmに設定してあるとのこと。ThickCについてはどうもWeb上では公式の見解が見つからなかった。これも残念。RKテレの実測値を発表しているサイトでは、1フレも12フレも25mmと評価してびっくりしていた。1インチの素材の厚みをを削らずにネックに仕立て上げたということだろう。それが私の欲しかったネックそのものなのだが。それからこのストラトに打たれているJumbo Fretなのだが、実は私、指板の質感を感じられないこの類のフレット、毛嫌いしてこれまで一度も使ったことがなかった。しかし実際に弾いてみると、音程が悪いと感じることもないし、抑えるときにシャープすることもないし、敏感な私の指先がなんら文句を言うこともない。軽い力で雑に抑えてもきれいな音が出るので、普通に使うのには全く問題がないことが分かった。フラットに近い指板のRも、このことに貢献しているのだろう。フレットの仕上げはこの値段の楽器として標準的なもので、特に印象はないがそれなりに丁寧に仕上げられていると思う。ポジションマークのアバロンは派手だが嫌いではない。

ボディは白のモデルと同じく周囲を赤で塗りつぶされており、中央部は透明度が高い赤で、トラ目を強調している。以前にも書いたが、この価格でPRSのような厚さのメイプルを使えるはずがないので、ペラペラの皮のような貼りタイガーメイプルなのだろうと想像した。PRSじゃないんだからね、期待してもね。しかしどこかのサイトには意外と厚いと記載されていたがどうだろう。生音を味わってみると、通常のアッシュのみのボディと比べると高域が強調され低中域もしまった音のように聞こえる。いろいろなサイトに行って確認してみると、トップには5ミリ程度のメイプルが張ってあるようだ。これくらい厚ければ、合板と言わずにメイプルトップと言ってもよさそうだ。良心的だなMIJ。しかしタイガーはミリ以下で、その下にプレーンな厚めのメイプルが張ってある可能性も否定できない。値段から逆算すると、そうなっていると考えるのが妥当だろう。ボディサイドが塗りつぶされているので答えを知ることはできないが。MIMのFenderの廉価なモデルなんかもこの技を使っているようだし。それでもいつものように確認のためだけにあけてみることはしない。しかしこれ、つまり生音は塗装など様々な要素が関係しているので、木部の材料だけで語れる問題ではないと思う。DimarzioのHS2をModifyしたというPUはまだ十分に使っていないのでコメントを控えたいが、ノイズは少な目パワーは大きめのようだ。意外と普通のストラトな感じで使いやすい。パーロイドの派手なPGが使われているが、ハードウェアはすべてVintageスペックのものになっている。内部は国産のパーツが使われているというが、個人的にはそれで全く問題ない。ボディ木部はCNCルーターから出てきたそのままの形といった印象で、手作業で形を変えているような印象は皆無だ。私の手元にきた個体の重量は3.7キロ前後であり、内容を考えると適度な重さだと思う。肩に下げてみると、ややボディが下がるようなバランスなので、やはりもうすこし大きなネックがついているとなおいいな、と思わされてしまう。


3-5Fret.jpg

















ということで、おやじが気楽に弾くのにはまことに結構な楽器を手に入れたと悦に入っていたのだが、PGのビニールをむいてまさに家族に加えようと思っていたところ、小さな問題に気付いてしまった。ポジションマークがきちんとセンターに決まっていないのだ。さて困った気持ちが悪い。手持ちの高額な楽器をチェックしてみると、ほぼすべての楽器で多少のずれが見つかった。しかしFujigenの楽器だけはきっちりセンターにポジションマークが位置しており、弦によって太さが違うので違和感なく収めるのは量産品ではけっこう難しい技のはずなのだが大したものだと思った。さすがFujigenだ。ビニールをむくのをやめ、いろいろ計測してこの問題を一晩考えてみたところ、ネックのセンターズレではなく、トレモロの据え付け位置がくるっているわけでもなく、ナットの切り方が悪いのではないかという結論となった。測定してみるとネックはボディの真ん中に据え付けられており、角度もまっすぐで少なくともハイフレではポジションマークのずれが目立たないからだ。つまり、LowEをナットの部分でかなり内側に設定してあるのではないか?こまかく測定してみると、HighEと比べるとLowEは1mm程度内側に追い込んである。自分でやってみればすぐにわかることなのだが、ナットの切り方は実は簡単ではない、というか非常に高いスキルを要求される。HighEからLowEにむかって弦が太くなるので、弦の中心の間隔を一定に設定してしまうと低音弦の間隔が狭く感じられるし、若干弾きにくくなるからだ。弦の間隔をどうするべきか、いろいろな計算の方法があるようだが、HighからLowにむかって弦の間隔をいい感じに広げるための定規が、たとえばStuMacで売られている、、、ので、私も当然一本持っていて愛用していた。こいつを持っていれば、何も考えずに美しく機能的なナットを作ることができるので、少なくとも修業中のLuthierには必須の道具のひとつである。超ベテランは感覚だけできちんとしたものが作れるのだと思うが私にはムリだ。ともあれ、そのあたり、FenderJapan、もしくはダイナがどう考えているのか私には知る由もないが、この個体では外見がすこし不自然になっていることは間違いなく、気になりだすと止まらず、楽器を抱えていても幸せになれないと思った。ナットを外して切りなおして、、、という作業が自分でできないわけではないが、手元にまだ素材も道具もあるものの、しばらくやっていないし、視力も落ちてきたし時間も体力もないし、、、。新しい買ったばかりの楽器なので自分でやりたくはない、というのが正直なところだ。それで販売店に相談してみた。このお店は遠方にあるのだが、大変対応が良く、最近のFJはこういったナットの切り方をすることが多く、たしかにポジションマークはずれて見えるが、ネックの据え付け等は全く問題がない、と返答してくれた。なるほどそのとおり、応対は誠実かつ正確で、信頼できると思った。それで一度はこのまま楽器を受け入れようと思ったのだが、まだビニルもはがしていないので、もう一度考え直し、お願いして恐縮しつつ交換を申し出た。すると、お店がこの申し出を喜んでいないのは間違いないが、それでも気持ちよく交換に応じてくださった、スバラシイ。ということで現在返送中のこの楽器、どういった個体が帰ってくるのか楽しみにしている私なのだった。

もう認めざるを得ない、私はPlayerというよりLuthierとかCollector的な側面が強いギター好きなのだろう。恥ずかしいが本当だ。出戻り?の新たな個体に期待。重いのが来たらいやだな。


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