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鎌倉 茶織庵  せいろ おおもり 940エン [日本蕎麦]

鎌倉 茶織庵  せいろ おおもり 940エン


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鎌倉に足を運ぶことは私の日常生活の一部になっている。街並みの隅々まで知っているというほどではないが、主だった道や建物、神社やお寺などは、大体頭に入っていると言ってもいいように思う。何といっても私の生まれ故郷にほど近いこの街は、訪れるたびに私のストレスを多少なりとも解消してくれるのだ。さて、話はお蕎麦屋さんだ。

鎌倉でレベルの高いお蕎麦屋さん、もともと街も小さいし、観光客がめちゃめちゃ訪れる土地柄だし、多くは無いように思う。知る限り鎌倉のお店は職種によらずあまりガツガツとしておらず、店じまいも早いお店が多いように思われる。お客さんがいくらでも来てくれるからなのかな?この街、特に観光客があまり来ないような地域をてくてくと歩いて頭を空っぽにするのが私のこの上ないストレス解消法であるのだが、頭が常にもまして空になっている私の目に、なんだか頼りない、街道沿いにへばりつくように立っている頼りない建物が何とはなしに映り込んだ。おお、こんなところにお蕎麦屋さんが。街道筋は道幅が狭いのにかなりの交通量で、大型のバスなども走り回っているため、危なくってしょうがない。向かい側から人に気を使わないおばさんの集団などが向かってきたときなどは、ひやひやしながら車道を歩くことになるくらいだ。さて。

古民家風の建物。しかし側面から見てみると、なんだかさび付いた波板のようなものが張ってあり、お世辞にも高級感があるとは言えない。同じ建物が縦割りになっており、お隣はカジュアルな感じの骨董品屋さんのようだ。品書きに目を通してみると、せいろが780エン。観光地だからこんなもんかな?店内をチラ見してみると、清潔感を感じさせるしつらえだ。床は玉砂利?を散らした、いかにもお蕎麦屋さんらしい作り。いったん通り過ぎたのだが、考え直して引き戸を開けて店内へ。小ぶりの机がたくさん並べられており、奥にある大きな机では、従業員の方々が食事を。営業しているかどうか尋ねてみると、開けておられるとのこと。それで小さな机に陣取ることにした。

いつものようにせいろのおおもりをおねがいした。供された蕎麦茶はアツアツで、冬の寒空をそぞろ歩いて冷え切った私の体を温めてくれた。なかなかいいぞ。ほどなく供されたお蕎麦は、そこそこの盛りの大きさだ。木の角盆の上には、蕎麦猪口、薬味の小皿、蕎麦つゆの小さなとっくり。薬味は繊細に刻まれたさらし葱、生山葵、それから大根おろしだ。お蕎麦はつやつやと輝いており、やや扁平、しかしお蕎麦それ自体は細めといっていいだろう。星は目立たず、お蕎麦のtextureは均一で滑らかだ。手打ち、ということではあったが、私見では機械打ち、手切りなのではないか?と思った。お蕎麦は手打ちだろうが機械打ちだろうが、おいしければいいのだ。こだわらずに早速お箸を割って、お蕎麦の吟味を。

お鼻ペッタリクンクンしてみると、僅かなつなぎの薫り。二八蕎麦というやつだろう。しつこくお鼻に神経を集中してみると、遠くの方でお蕎麦の薫りがして、長野県あたりの蕎麦畑の風景が見えたような気がした。数本手繰ってみると、歯切れ良し、喉越し良し。しかし奥歯で噛んで味わってみても、蕎麦ソバした味と薫りに乏しいのはちょっと寂しいかな?大好きな穀物特有の薫りもほとんど感じられない。しかしおいしいかと問われればおいしいと答えよう。さて蕎麦つゆは、、、と。おお、どうしてだ。徳利の中にはごく少量の蕎麦つゆしか入っていないぞ。これはかなーり残念。蕎麦つゆ自体は上質なもので、ややまとまりに欠けるが、海に近いお蕎麦屋さんでよくあるような、出汁が醤油に勝っているような、カツヲよりも小魚系の味わいが目立つような、それでもなかなかおいしい蕎麦つゆだ。しかしお蕎麦と薬味はかなり上品系、それに比較すると蕎麦つゆはややワイルド系に傾いているため、バランスはあまりよくないようだ。ということで、お蕎麦の八割程度を蕎麦つゆにくぐらせることにして、お蕎麦時間に没入した。例によって薬味はお蕎麦に乗せたりはせず、別々に味わった。その全てが丁寧にしつらえられており、たいへんおいしかった。私にとってはやや量は少ないものの、いわゆる銘店盛りということもなく、そこそこ満足して食べ終えた。その後に供された蕎麦湯は別仕立てのもので、ゆるいポタージュ状となっており、こいつはなかなか結構でした。

店内は和風にしつらえられており、外見はいまいちだが中身には清潔感が漂っている。花番さんをはじめとして、オネイサンたちが全て女性であることも、清潔感を維持するのに役立っているように思われた。ひょっとすると家族経営なのかもしれないと思った全体的な雰囲気も良く、店内が混雑していなければ、のんびりとお酒でも飲みたい風情のお店でありました。冷え切った体を温めることができ、幸せな気分でお店を後にした。

鶴岡八幡宮からほど近いところで営業しておられるお蕎麦屋さんとしては、良心的な価格と品質を維持していると思われた。たまたま店内がすいていただけで、いつもはものすごく繁盛しているお店なのかもしれない。

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