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結晶化したもの⑤    エレキギター Fender Telecaster [雑文]

結晶化したもの⑤    エレキギター Fender Telecaster

エレキギターとのお付き合いはとても長い。もう40年に喃々としている。私が手に入れた初めてのエレキギターは、ESP 製、Navigator ブランドのテレキャスターだった。こいつは普通のテレであり、もう人手に渡ってしまったので記憶に頼って書くしかないが、ゴトー製のペグ、当時はやっていたブラスナット、ローズ指板、アッシュではなく日本のメーカーが好んで採用するセンでできたワンピースボディ、PUはフロントもリヤもESPのオリジナルの出力の低いもの、ブリッジは3Pではなく6Pの独立した駒を持ち、プレートは厚手のブラスで作られたものだった。これを買ったのは今から思えば正解だったのだが、使いこなすのが非常に難しい、じゃじゃ馬のようなギターだった。こいつを無理をして買ったJagg Boxにつないで毎日飽きるほど弾き倒したので、フレットはすぐにぼこぼこに減ってしまった。そのうちにギターの改造に興味を持った私は、リヤのPUをダンカンのビンテージタイプのものに交換したりして悦に入ったものだった。自由になるお金があまりなかった当時は、こいつでKISSからなにから、なんでも弾いていたものだ。レスポールのようなゴージャスな楽器と違い、誰でも弦をピックで弾けばそれなりの音になるわけではないので、まともな音が出せるようになるまでずいぶん時間がかかったように記憶している。よく言われているように、Telecasterはおそらく最もフォークギターに近いエレキであり、サスティンが乏しく、PUは必要以上にトレブリー、パワーはない割におかしな具合に敏感で両手の動きを音として拾ってしまうため、弾き手が両手で作り出す音がそれなりに安定していないと、聞く気になるような音を出すことができないのだ。弾いてみればすぐにわかる。だからといって弾きづらいこの楽器を手なずけるために、トーンを絞って音を丸くしたりすると、楽器本来の魅力である生々しい音が完全にスポイルされてしまう。痛しかゆしといったところだ。だから私は初心者の使う楽器としては、Telecasterはお勧めしない。エレキとしては最小限の機能しか持たないこの楽器だが、それゆえに使い方、もしくは使われ方の自由度は驚くほど大きく、ある程度の腕さえあれば、Tele一本でCountryのみならず、RockであろうがBluesであろうが、多少無理をすればJazzであろうが何とかなってしまう。さすがにヘビメタは無理だと思うが。こいつを使っていると、何ともダサいバナナのような形をしたヘッドや、洗濯板のようなボディがだんだん美しく見えてくるから不思議だ。いろんな意見はあるだろうが、エレキに関していえば初めて作られたエレキであるFender Telecasterが今でも最高の楽器の一つであることは間違いない。少なくとも私自身はそう確信している。

ともあれ、最初のエレキがTeleであったことで、その後の私の音楽人生はかなり偏ったものになってしまった。そのことを後悔はしていない。私の部屋を見渡してみると、沢山の楽器がそこここに転がっているのだが、今でも手元に残っている全てのソリッドエレキは気づいてみればTeleばかりである。

タグ:Fender Telecaster
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