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"もの"としての"楽器"⑤" Fujigen NTL21RAH-WB [音楽]

"もの"としての"楽器"⑤" Fujigen NTL21RAH-WB


今回はネックの話をしたい。Fujigenを信頼して、この楽器を通販で購入したと書いたのだが、最もびっくりしたのはネックのつくりだ。というのも、一般的な最近の国産の楽器の場合、弾きやすさを追求するためにネックが細くて薄めであることが多いからだ。この楽器のネックはU-Shapeと謳われているが、結構幅が広く、UというかDに近い断面をしているように思われる。厚みも結構確保してあり、私の大き目の手のひらにぴったりくる。細くはないネックなので握っていて安心感があり、強度もかなり確保されているのではないか。音に対する影響も大きいはずで、太めのネックの楽器は、やはりしっかりとした芯のある音になりやすいと思う。

指板の端は微妙に丸めてあって指にやさしくいい感じだ。材質はRosewoodとのことだが、伝統的に用いられてきたIndian Rosewoodではなく、なんというか濃い目のチョコレート色をした均質な木材が使ってある。木部の導管はあまり目立たず、全体に十分に脂を含んでいる印象。以前所有していたAmerican Originalのストラトが丁度こんな感じの指板の材質だった。この指板も、削るとバラの香りがするのだろうか?しかし仕上がりは完璧で、ペーパーを自分で当てたくなるような部分は皆無だ。

Fujigenなので当たり前だと言えば当たり前だ。ドットはいわゆるクレイドットではないが、おちついたいい色合いのものが使われている。肌触り(指触り)もさらりとしていて実にいい。以前に入手したダイナ製の楽器の場合、なんだかピカピカした材質のものがつかわれていて興ざめだったのだが、こういった落ち着いた見かけと手触りのドットであれば、私のようないい親父でも納得することができる。なかなかいい。

フレットはMediumで、Fujigen自慢のCFSが施されている。詳細は知らないが、伝説のルシアーである松下氏という方がCFSのシステムを開発したと聞いている。弾いてみても違和感は全くないが、音程がよく、和音に濁りが少ない印象だ。ギターよりもピアノに寄せた響きというべきだろうか。弾きだされる音の響きは私にもすぐにわかるくらい明らかに違う。フレットの端はFender伝統の切り落としたようなスタイルであり、最近の高級楽器のように端が球のように丸めてあるわけではない。指板が端まで使えるので、Fenderスタイルの仕上げで私は十分満足している。

また、ネックの裏は薄く仕上げられたマット塗装になっているが、厚く塗られたマットの場合は経年変化でつるつる、つまりグロス仕上げのようになってしまうのは知っている人は知っている。しかしこの楽器くらいマット塗装の部分が薄ければ、つるつるになるというよりむしろ経年変化で木の地肌が出てくるのではないか?今後の成長が楽しみだ。

ヘッドから回すトラスロッドは、Fujigenなので機能的には100点だろうと思われるが、まだ手を付けていない。弦高を自分の指に合わせある程度下げ、各弦のバランスを微妙に調整して左手がしっくりくるように調整を重ねているのだが、ネックが弦の張力変化を受け止めてある程度落ち着くまで待ってから、まっすぐに調整するつもりだ。出荷されたままの状態ではバズなどを避けるためにわずかに順反りに調整されているのだが、私はネックをまっすぐに調整するほうが好きなので、ロッドの調整は近い将来行わなければならないと考えている。これもネックと弦とのバランスがとれるまでに結構時間がかかるので、気の長い仕事だ。

ネックのサイドには、蓄光物質がしこんであり、ステージではポジション確認に便利だというが、経年変化でサイドドットの機械的な強度が落ちていくような気がしてちょっと心配している。ぽろぽろ崩れたりしたら嫌だな。

この楽器のネックはすごくよくできているのだが、唯一気になることとして、メイプルの木部に鉱物のためのと思われる変色が複数みられることがあげられる。個人的にはあまり気にならないが、こういった“シミ”のような変色があるネックは商品として採用されないことがあると聞いている。木材を含む天然枯渇が叫ばれる昨今、外見にばかりとらわれて、資源を無駄に浪費するのは避けたいと個人的には考えている。

ということで、予想を裏切る太めのネックがついた楽器を手に入れて、大きいな手持つ私は、ごくごく幸せな時間を味わっている。

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