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"もの"としての"楽器"⑥" Fujigen NTL21RAH-WB [音楽]

"もの"としての"楽器"⑥" Fujigen NTL21RAH-WB


ということでトラスロッドの話だ。最近入手したすべてのエレキは、家に連れて帰ってすぐにトラスロッドを調整している。もう慣れてしまったが、結果的にすべての楽器で調整が不十分であった。結構高額な楽器のばあいであっても、残念ながら事情はかわらない。楽器を倉庫や店頭に並べている間に木部の乾燥がすすみ、まあ加湿をしないなど保存状態が悪いともいえるが、ロッドがあまり効いていない状態になっているのだ。なので、楽器を手に取って弾いてみるとややぼやけたような音像となり、木部とトラスロッドが協調しておりなす、ちょっとだけ金属的な、いわゆる“いい音”にはなっていないことが多い。なので、ロッドを少しずつ回して弦の張力とのバランスを取ってあげると、ほぼすべての楽器がスバラシイ生音になった、というか本来の輝きを取り戻した。ある程度楽器の経験がある方に、という前提ではあるが、新しい楽器はすぐに細かく調整することをお勧めしたい。楽器は最大公約数的な設定で出荷されるということがその一つの理由であるが、店頭や倉庫での管理が必ずしも良くないということも事実として認識する必要があると思う。我々は理想的な世界に住んでいるわけではないので、事実を認識して受け入れる必要があるのだ。私の限られた楽器人生ですら、例外的な事と思いたいのだが、購入したばかりの新しい楽器なのにネックを固定しているボルト、一般的な言葉をつかえばネジ釘がゆるゆるといっていいほど緩んでいた個体を経験している。これに気づいたときは本当にびっくりした。製造段階での木部の乾燥もしくは店頭での湿度の調整がかなり不十分だったという事だろう。

この楽器は信頼と安心のFujigenだ。出荷前にFujigenの規定に合わせて細かく調整済みと聞いていたので、トラスロッドをいじらずに調整を進めていたのだがこれは間違いだった。やはり原則を守ることは大事なのだ。購入したての楽器を弾いてみると、全体の印象から受ける音とは違う、ややぼけたような、つまりトラスロッドが緩んだような音がでてきたので、どうもいまひとつ納得がいかなかったのだが、Fujigenさまの設定に“間違いない筈”と思い込んでいたのでこれまで放置してきた。しかしこの先長く付き合っていく楽器なので、いい状態を長く保ちたい。ということで時間を作って弦を緩めて外し、トラスロッドを慎重にチェックしてみた。

ヘッド側からアクセスできるため、気軽にロッドを回せるのがいい。左右に回してみると、きちんとロッドが効いている。おかしいな。ロッドを緩めてみると、すこし抵抗を感じる。ロッドを締めてみると、今度はいきなり六角ナットの回転が軽くなった。あれ?おかしいぞ?私の理解に間違いがないかどうかネットで詳しく調べてみると、トラスロッドのねじの切りかたは通常のFender系ギターとなんらかわらないとのこと。まああたりまえか。逆ネジを切る必然性がないからだ。ということは、、、何が起こっているのかというと、ロッドが順ぞりの方向に効いているという事だ!これは自分的にはありえないことで、少なくともいままで一度も経験したことがない。このネックはFujigenが選んだ木材が使われているのだがら、乾燥や製材の過程に問題がある筈がない。おそらくロッドを効かせなくてもそこそこの太さのゲージなら受け止められるように作られているはずだ。作った段階ではおそらくまっすぐ。なので元から逆ぞりしている可能性はないだろうと断定。ということは、出荷前後では適正に調整されていたはずのロッドが、輸送の過程でおかしなことになったのだろうか?質素だがきっちりと組まれた段ボールに入って運ばれてきたので無条件に信頼してしまった私が悪かったのかもしれない。出荷中に乾燥が進むようなことはありえないし。もしかしてレリーフをつけるために故意に順ぞり状態に調整?あ、そういう可能性はあるか、うん、そうかも。まあ、謎は深まるばかりだが、自分が何をすればいいかはっきり分かった。私のバイブルであるStuMacのDanが書いた“教科書”に従って、まずはロッドを緩め、逆ぞり方向に効かせる様に六角ナットを回し、抵抗を感じたところから1/8回転ずつ締めこんで弦をはって弦高を確認、という過程を何度か繰り返してほぼ完ぺきにまっすぐなネックに調整した。個人的な好みでレリーフは設定しない。私の指に合わせて弦高を調整し、それでバズがどうしても気になったらレリーフを僅かにつければいいだけのことだ。話は簡単だ。ストラトと違ってトレモロのことを心配しないでいいのでテレの調整はずいぶん簡単なのだが、この楽器は指板のRが大きめに設定されているので、調整がさらに容易になっている。ともあれ、納得のいく生音が出るようになった。こんなにいい楽器だったのねこのヒトは。アンプを通した音は言うまでもなくスバラシイ。いい楽器買ったなあ、やっぱりFujigenは最高だなあ、今回は運がよかったなあ、スバラシイ楽器が手に入ったなあ、幸せだなあ、ずっとこれ弾いていたいなあ。ああ楽しい。

ついでにネックを固定するボルトも注意深くチェックしてみたが、さすがFujigen、最適と思われるトルクできっちりと〆こまれていた。やっぱり安心と信頼のFujigen、細かいところまでスバラシイ。

あ、それと、たまたまFujigenのサイトをチェックしたらこの楽器の在庫がなくなってしまったようだ。同じ楽器はもう買えないのかな。
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