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2022/12/15   Telecaster [音楽]

2022/12/15   Telecaster



Teleに取りつかれたように生きていた時期が確かにあった。アコギからエレキに乗り換えたとき、迷わずテレを選んだ。某〇×▽社のオーダーメイド、しかしまるで学生さんが作ったような、失礼ながらあまり出来がよろしくない楽器が私にとって初めてのテレだった。それでも私はこの楽器を長いながい間深くふかく愛した。メイプルネックローズ指板、ボディはセンのワンピース。PUはESPのオリジナルという仕様で、ペグは今でいうSD91、ナットはブラス、ブリッジもブラスでテイルピースは6P仕様であった。PGはBlackのペカペカのプラスチック、コントローププレートもノブもすべてブラスであった。それだけ聞くとそれなりにまっとうな楽器のように思われるかもしれないが、残念ながら上記したように仕上がりはあまり上出来とは言えず、ナットの溝の間隔は狂っているし、入手時には指板のローズがカラカラでひびが入ったようになっており、フレットはVintage仕様を期待したがなぜかベースのフレットのように太くて背が高いもの(当時はジャンボフレットという概念はなかった)が打たれているナゾ仕様、ボディの塗装は非常に薄く、木目が指でなぞれるような特殊なものだった。どうしてあんな塗装をしたんだろう?下塗りだけ?吹きっぱなし?シンラッカーとかいう仕様ではなかったとおもう。レリックだって始まる前だしね。謎は深まるばかりというやつだ。しかもネックのメイプルはかなり柔らかいもので、若干トラがでており、見かけは良いのだが、どこかに軽くぶつけるだけで派手に凹んで私の心をずたずたにした。ボディのセンという木材は国産であり、アッシュに似た材質で、楽器の材料としては悪くないと思うのだが、私の手元にきた個体の木部はなぜか非常にもろく、使っているうちにネックポケットの平面性が失われてネックが根元から起き上がってしまったりした。それでもこの奇妙なテレを私はとてもとても大切にして、毎日まいにちマイニチ弾き倒しては十二分に楽しんでいた。大好きな楽器だったのだ。まあ他の楽器を持っていないともいえるが。数年でフレットはボコボコにすり減ったが、他人に楽器を任せる気にはなれず、メンテにも出さずにそのまま長い間大切に弾き続けたものだった。いまはもう手元にはない、大切にしてくれそうな方に譲ってしまったからだ。

この楽器にOD1をつないでKISSをやったりした一方で、フロントのPUを生かして何とかしてジャズっぽい音楽をやろうと試みたものだった。友人たちはテレにOD1をつなぐ私を笑ってレスポに持ちかえるよう勧めたし、Jazzをやるならフルアコに代えるべきだろうと真顔でモノ申した友人もいた。それでもその頃苦労して手に入れて溺愛していたJuggBoxのStaff60Gという真空管アンプにつなぐと夢のような音がして幸せだった。自宅で大音量は出せずアンプの実力すべてを味わうことはできなかったが、楽しい時間を長い間過ごさせてもらった。ありがとう日本ハモンド。当時の機材はもう手元にはないけれど、ヤフオクなどで見かけるとついついポチりそうになる。たまにスタジオにいって友人たちと楽しむこともあったっけ。よそのバンドにかわいいお姉ちゃんがいて、、、。まあそういうハナシはもういいか。機材についていえば、わたしの音楽仲間たちは実家が裕福なやつらが多く、GibsonやFenderは言うに及ばず、BC Richの本物を買った奴までいた。なので正直うらやましかった。それでも腐ることなく、当時はパーツを交換するようなお金も技術も根性もなく、買ったままのTeleを日夜弾き続けて結構幸せな日々を過ごし、そこそこうまくなってからも音楽に身をやつした私なのだった。それでもあの強烈なリヤのキンキンするPUは最後まで使いこなせなかったなあ(遠い目に少し涙)。その後がんばってSDのVintageモデルに取り換えてみたけれどやはりだめだった、うまく使いこなすことができなかった。


しかし時代はかわった。歌もギタープレイもとても気に入っているRichie Kotzenなどは、さほど手が入っていないテレをものすごくハードな音楽に使っているし(あのテレも軽いのがあれば一本欲しいな)、Jazz-Blues系のRoben FordはGibsonで育った人だがテレをかなり弾き込んでいるし(彼のテレが大好きだ)、テレをJazzに使うのは最近の流行で、Jazz系のギタリストがテレを使うのはもはや定番となっている。これはBarkeeの先生だったMethenyに勧められてTeleを弾くようになったというMike Sternあたりが始めたことなのだろうと思われる(Yamahaの彼のテレモデルの開発には有名な松下さんがからんでいるようで、それを聞いて以前一本買いそうになったことがあった。今は値段が上がってしまい、買う気がすっかりうせてしまったが)。テレでできない音楽なんてない。テレに不可能はないのだ。そういえば数年前に亡くなったカナダのJazzギタリストも、長年テレを使っていたことで有名だった。キャリアの途中でフロントPUをギブソンのハムに代えていたけれども。

なので、最近テレでハードな音楽をやると言っても、Jazzをやりたいといっても、誰も文句を言うことなく、ああそうなの?といって誰も笑ったりはせず、運が良ければ仲間にしてくれるかもしれない。時代は変わるもんだ。私も腰さえ痛めなければ(警察官が運転する車が私の車に追突して首と腰をいためてなかなか回復しない)テレ一本でやっていきたいのだが。だってそのほうが何本も持っているよりかっこいいじゃない?

どこかのギターの先生が、いいテレを若い頃に買えば、死ぬまで弾き続けられる、他にギターはいらないと言っていた。ES175の方が守備範囲が広いのでベターだ、という意見もあるが、どちらも同じようなものだ。まあレスポでもストラトでもいいが、やっぱり私はテレか175がいい。道具は単純であるほど使い方の幅が広いということだろう。いろいろな楽器を買いまくってきた私は、テレだけで音楽の海を渡る美しい生き方?を失ってしまったが、できればもう一度、テレだけを弾く毎日に戻りたいと、結構本気で考えている。今日も寝る前にテレを弾いて楽しく睡眠につくことにしたい。長年楽器とかかわってきてわかったことは、ジャンルにこだわらず、好きな楽器で好きな音楽を奏でればいいということだ。人の意見には惑わされないほうがいいみたいだ、長い目でみると。

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