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神田 やぶそば [日本蕎麦]

6月某日
神田 やぶそば せいろうそば 700円 2枚

やはりお蕎麦と言えは、このお店は外せないだろう。気合をいれて食べに行ったあの日を思い出しながら書いてみる。お店の場所がわかりずらかった、、、近所のコンビニの店員さんに恥を忍んで聞いてみたら、親切にもやぶそばまで案内して下さった。下町は最高だ! ビルの合間に突然背の低い日本家屋が出現し、ご丁寧に広いお庭まである。早速入らせて頂いた。待合室もある、広くて開放的、天井の高い店内。小ぶりなテーブルが沢山あり、結構広い小上がり(言葉が矛盾している)もある。トイレは別棟っぽいつくりになっていて、お蕎麦を食べる場所からやや離れており、大変結構。昼からお酒を飲んでいる人もいれば、ボーっとしているだけのお年よりもいた。いい雰囲気だ。

いらっしゃいーーーー、、、、だったと思うが、独特の声がかかった。 大盛り蕎麦ね、と注文したら、お店のおば様が”野暮な客だ”といった表情を浮かべてあきれ果てた、、、ので、結局せいろうそばを2枚お願いした。せいろう二枚ーーーー、、、、の掛け声と共に注文が通った、、、ようだ。サーブされたのは、、、、使い込まれた食器と共に、底上げ?されたざるに乗った少量の茶そばが2枚。つゆは濃いめ少なめで江戸前の教科書どおり。数回お蕎麦をたぐると、すぐに一枚のざるが終了。次のざるも一瞬で終了、、、、。なんだかよくわからないままに蕎麦湯を頂いて退場。 納得がゆかないままに、このパターンをこれまでに何度も繰り返している。確かに美味しいし、居心地もいい。素敵な空間だと思うのだが、いまひとつ満足できず肩透かしをくったような気持ちで食事が終わってしまう。お蕎麦でおなかいっぱいは野暮、などという方もおられるようだが、やはりなんだかちょっと寂しい。量が足りないのか、蕎麦のパンチが足りないのか、私にはわからない、、、、、ので、近くに寄った際は又、足を運んでしまうのだろう。

良い;広く清潔な店内 独特のサービス トイレが離れたところにある 味のある建物 外人など連れてゆくと(蕎麦を食べられる人なら)喜ぶ
もっと良くなる;いつも何か足りない気持ちでお店を出る これは経営上の深遠な戦略なのか?

また行く?;Yes 
総括;存在するだけで有難い、有名なお蕎麦屋さん。都会のオアシス。 何をどうすれば、一回の訪問で満足できるのだろうか?又食べに行って考えてみよう。2月19日
その後ずいぶんいろいろなお蕎麦屋さんを訪れ、お蕎麦に関するいろいろなことが少しずつ理解できるようになっていった。原点に戻って、例のクロレラで色をつけたというお蕎麦にまた会いに行こうと考えていた矢先に大変残念なことになった。その後どんなことになっているのか、お蕎麦を食べることはできないことはわかっているが、様子を見にゆこうと何度も神田付近まで足を運んだのだが、なんとなく気が進まずお店の近くまで行っても引き返してしまう。失われてしまったものは帰ってこないけれど、お店の方たちはお店を再建したいと考えておられるようだ。がんばって欲しい、心から。客として、何かできることはないものだろうか?いつかまたあの雰囲気であのお蕎麦を味わうことができれば、と強く強く願っている。



2015年8月 再訪  せいろうそば670円

例の不幸な事件があったのち、初めての再訪だ。恐るおそる足を運んだ。敷地いっぱいに新しい建物が建っており、以前のような優雅なお庭は見当たらない。それでも場所柄から考えると常識外れな贅沢さで敷地を使っていること昔どおり。さっそく奥まっているお店の入り口に足を運び、、、からりと引き戸を開けようとすると、なんとセンサー付きの自動ドアになっており、手を近づけると戸がカラカラと音を立てて開いてくれた。

店の中になんだかすこし緊張しながら足をすすめると、、、以前と同じ大きな天井一杯の電気(というか行燈というか、何を言っているのかよくわからない人はご自分で足を運んで確かめてみてください)。小上がり風の座敷は無く、見渡す限りテーブルとイス、窓際にはおひとり様用と思われるカウンターもある。それで帳場には、初老ではなく中年の女性が、例の“せいろういちまいー”という独特のコールを連発している。天井が高いひろい店内に女性の声が響いていつものやぶそばの雰囲気を盛り立てる。お店の内部は、建設現場で実際に私自身が目の当たりにしたたくさんの鉄骨を感じさせるようなことは無く、純然たる和風建築であることを感じさせる。以前の建物と比べて違和感を感じさせるようなことはなく、なごめる空間だ。よしよし。

それでせいろうそばを2枚、キクマサと一緒にお願いした。初めてここに来たとき、大盛りをお願いして嫌がられたっけ。キクマサはねっちりとした蕎麦味噌と一緒に、例の真っ白なとっくりと小ぶりなお猪口で供された。お店自体がリセットされたので、すべて新しい食器と思われるのだが、かつてのものと同じ味わい、というかおそらく同じところに作らせたものなのだろう。懐かしくって安心した。切れ味のよい、さっぱりとしたキクマサの味と薫りを楽しみながら、せいろうそばを待った。キクマサがなくなる前に、塗りの角盆にのってしずしずと到着だ。薬味は細い白いさらし葱と小量の生山葵。なかなかいい景色だ。山葵は薫り高くからくない。その代り葱がピリリと辛さを補っている。こいつらをいつも通りつまみとしてどんどん食べてしまう。それでそれで、例によって、凸型にそりかえったせいろう(と書くべきなのだろう)にのったお蕎麦をこころのなかで“よしよし、これこれ”などとつぶやきながら手繰ってみる。例によってエッジがきりりとした、機械打ち、切りの薫り高いクロレラ蕎麦。やってみると、、、、おお、なんだか昔と違う。私の苔むしつつある記憶とはずいぶん違うぞ。つまりクロレラ少な目、薫り強めであり、お蕎麦の穀物感がややアップしている。噛み心地もすこし強めかも、と感じた。個人的なお蕎麦のクライテリアである“クルミ感”はさほど感じさせないが、なんというか、うん、渋いお蕎麦がやや若々しい方向に変化しているというか。それで蕎麦つゆはどうか?啜ってみると、やや薄めでかつやや甘めになっているようだ。これもちょっと驚いた。しかしこれはこれで素晴らしくおいしい蕎麦つゆだ。何度か啜って鼻に残る薫りを楽しむ。それでお蕎麦の3分の1くらいを蕎麦つゆにくぐらせてやってみる。おお、素晴らしくおいしい。蕎麦と蕎麦つゆのバランスは、かつてのほうが良かったように思うのだが、やはり老舗というのは大したものだ。おそらくはいろいろと初めからやり直すしかなかったであろう蕎麦作りを、短期間で高いレベルにまとめ上げている。おいしい美味しい、うれしい嬉しい。そうではあるが、あっという間に2枚のせいろうを食べ終わってしまったことで再確認させられたように、グルマンの私的には悲しくなるほど少ないもりのお蕎麦であることはいつも通りであった。

渋い名人芸のようなお蕎麦が、若い勢いのいいお蕎麦になった、という印象。これから月日を重ねて、少しずつ渋い方向に向かってゆくのだろう、と思った。ご馳走様でした。いい時間が過ごせました。せいろうが670円、キクマサが770円というのは、何とも微妙な値段だと思った。報告終了であります。


2015年12月 再訪  せいろうそば670円 2枚

私は本当に疲れている。普通に生きているのが不思議なくらい嫌なことが次から次へと私の肩にのしかかってくるのだ。最近はお蕎麦を手繰ることさえ忘れていた。重症だ。

神田に足を運ぶ機会があった。私の心は同じ神田のまつやのお蕎麦のほうが好きなのだが、疲れ切った私の体はやぶ蕎麦を選んだ。清潔で広い空間を体が求めたのだと思う。自分でも意外だが本当だから仕方がない。このあいだと同じように、”ぶわっ”と薫る若い勢いのいいお蕎麦を手繰り、菊正を一本だけなめてやぶ蕎麦をあとにした。

一人で行くとカウンターに座らされてしまうこととか、今一つの食器とか、”いらっしゃい―”はおそらく若いお嫁さんが担当していてちょっと残念なこととか。いろいろといいたいことはあるのだけれど、神田のやぶ蕎麦以上に今の自分がくつろげるお蕎麦屋さんはないようだ。不思議だが本当だ。もうほんの少しでいいから、自宅から近かったらなあ、毎日でも足を運ぶんだが、、、。

それでもすこし元気になって、やぶを後にした私だった。もうしばらく闘えそうな気がした。


2018 /2
せいろうそば   670エン

雑用をさっさと済ませ、幸運にも自分だけのための時間を作ることができた。足を運んだのは久しぶりの神田藪。訪れてみると、週末の夕刻であるにもかかわらず席が空いている。本当か?幸いにしてカウンターではなくテーブルでお蕎麦を楽しむことができた。いつもの袴付きの白い徳利に入った菊正。何故かたっぷりと供された蕎麦味噌。これもいつも通り2枚お願いしたせいろうそば。お酒はいつもよりなぜかさっぱりしているように感じられる。お蕎麦の“ブワッ”とした薫りは少なめだが、これは季節のせいなのか?蕎麦ツユもいつも通りだが、すこし落ち着きがないかのようなブレを感じた。輪切りの葱はだらしなく散っていたが、クリームのように細かくおろされた生山葵はいつも通りなかなかのものだった。全体になんだかまとまりが悪いかな?とは思ったが、落ち着いて清潔感が保たれた店内で、ボーっとしながらのんびりとお蕎麦とお酒を楽しんだ。花番さんの目配りもよく行き届いていた。やはり老舗っていいものだ。夕方に訪れたにもかかわらず、店内は7分の入り。しかしそぞろ歩いてまつやの前に来てみると、こちらはかなりの長蛇の列だ。なぜ?

納得がいかなかったので、時間を作って翌日また足を運んだ。まつやも砂場も閉まっていたためか、今日の藪はほぼ満席だ。あまり好きではないカウンターに陣取る。昨日と全く同じオーダー。お酒の印象は同じであり、蕎麦味噌も昨日同様たっぷりと。しかし刻み葱は量も多く盛りつけも整っており、生山葵だって同様だ。お蕎麦はお蕎麦は、、、っと。建物が新しくなってから、奥ゆかしくない感じに穀物の薫りが立つようなお蕎麦にかわってしまっているように思う。個人的には悪くないと感じている。今日はそのような、若々しい、薫り高いお蕎麦を2枚、楽しむことができた。蕎麦つゆについても昨日と同じようなものなのかとは思うが、落ち着きを取り戻しているような印象。いつもはしないのだが、蕎麦湯で割って何度もしつこく味わってみた。やはり昨日よりもいいように思われた。多分同じものだと思うのだが。私自身の感覚のずれなのか、日によるブレなのか。ともあれ、ようやく納得、満足して藪を後にした私なのだった。今度は久しぶりにまつやでなごみたいな。贅沢な話だ、まったく。

かつてこのブログに”小上がり風の座敷”はない、と記載しているのだが、そいつがなんだか復活しているように見受けられた。最近内装をやり直したのか?ちょっと調べてみよう。




2019/11-1 せいろうそば2枚 1500エン
      お酒        850エン

リセットのために久しぶりの かんだ やぶそばだ。常温の菊正。蕎麦味噌をなめながら結構長い間待たされた。菊正の味わいは昔通り。やがて供されたせいろうそばは、例によって逆ぞりしたせいろに盛られている。やはり私的には2枚お願いする必要がある。やや太めで、エッジはやや丸く、星は目立たず緑いろ。クロレラを使っていると聞いている。お店が新しくなってからそうなったのだが、お蕎麦の“ぶわり”としたコクのある薫りが漂う。蕎麦つゆは例によって濃いめにしつらえてある。薬味は文法通りに輪切りのさらし葱と生山葵。これならどうやったってまずかろうわけがない。昔を思い出しながら、一瞬にして手繰りきった。

やっぱりここのお蕎麦は間違いようがない。お酒だってなかなかおいしかった。疲れた体を休めるために、このお店以上の場所は都心にはあまり見つからないだろう。ごちそうさまでした。



2021/11-1 せいろうそば2枚 1500エン
      お酒        850エン


2年ぶりだ。職務上難しい、いろいろと危なっかしい状況に置かれている。体調も突然悪化したため先が全く見えなくなっている。内的なリセットのため、リスクはあるが”あのお蕎麦”を求めてこちらに伺った。2年ぶりだ。何も変わらない。いつもどおりの やぶ で、久しぶりに旧友に会ったような安心感だった。

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