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USACG Tele Practice Guitar 4 [音楽]

USACG Tele Practice Guitar 4

Tele.jpg木工はとても難しい。間口は広いように思うのだが、奥も底知れないくらい深い。加工そのものも難しいが、相手にする木材が多種多様であることが、木工をさらに困難なものにしているように思われる。たとえ同じ種類の木材であっても、部位によって、切り出し方によって、それから乾燥の度合いによっても大きな特性のばらつきが生じるので、加工するときには、木のその場その場での持ち味に加え、木目を読むなどして、目の前にある材料に対して柔軟に対応する必要がある。生物を扱う感覚だ。であるからして、思った通りの結果を一定の水準で得るためには、かなりの技術と経験が求められる。そこが楽しいとも言える。一方、楽器の制作において必須である塗装は、まるで別の領域だと思っている。こちらも広くて深い、職人の世界だ。高いレベルの施工をするためには、木工と同じく、芸術的な素養を必要とするように思われる。

そうであるから、塗装と木工の両方をこなす、というのは趣味としてはその範囲が広すぎ、かつ深すぎるため、不適切だと考えてきた。だから塗装に関しては、ラッカーによる小規模なタッチアップは例外として(時間と手間暇をかければある程度のレベルの塗装は十分可能)、これまで全て専門家の手に委ねてきた。これからもそうするつもりだ。

今回、このUSACG製のボディを使ってPractice Guitarを制作するに当たり、今持っている技術を最大限活用して、長く使えるできるだけ良質の楽器を作ろうと思っているのだが(楽器が増えすぎたので、もうそろそろ終わりにしたい、これまでにアセンブルした楽器を幾つか売ってしまうことも考えている)、ボディを弄り回しているうちに、ボディについた細かい傷が気になるようになってきた。購入した際に傷がついていたわけではなく、導電塗料の塗装や加工の途中で、どうしても各部がいろいろなものに触れるため、そうなってしまうわけだ。加工する際にはボディを可能な限り保護材で覆い、保管もかなり厳重に養生して行うのであるが、やはり完璧を期することは不可能だ。明りにかざしてみると、こまかい磨き傷のようなものがやや目立ってきた。

何事も経験だ。ボディの塗装を磨いて、鏡みたいにピカピカにしてみたい、という好奇心~誘惑に負けて、ついに電気ドリルに取り付けて使うバフのセットを手に入れてしまった。これがそのセットだ。Yanase.jpg1500円程度の廉価な製品ではあるが、質実剛健でそれなりの実力を持っているものと見た。本来はもちろん車用だ。

さて、何を使って磨いてやろうか、と考え、手持ちのコンパウンドを使ってみようとか、車用のワックスを買いこんで使ってみようかとも考えたのだが、結局、まず現在愛用しているポリッシュをつかってみることにした。Polish.jpgPolish2.jpg3ドル98セントと表示されているので、高級品ではない。これは昔々ラッカーフィニッシュの楽器を買った時に勧められて手にしたもので、シリコンが入っていない、全て天然素材で作られたものだと言う。高級な楽器や手作りのマニアックな真空管アンプばかり売っていた店で、リペアを担当していたGaryという名前の爺ちゃんが実際に売り物の楽器に使用しているというので、信用して買ってみた。劇的な効果は得られないが、それなりに重宝して使ってきた。幸いにもなかなか減らず、今でも結構たくさん残っている。

さて、これをウエスにプッシュっとやって、ボディをやさしく撫でさすり、そのまま乾いた面でふきあげた。ポリッシュが完全に乾くまで待ってから、羊毛でできた仕上げ用のパッドをおもむろに塗装面にあてた。最初はゆっくりと、次第に速度を上げながら注意深くシュコシュコと磨いた。ほとんど抵抗はなく、するするとパッドは塗装面をすべるだけだ。調子に乗ってドリルの速度を上げて、磨き続けた。ただしパッドは磨き傷を避けるために故意に中心をわずかにずらして取り付けてあるため、回転させるとけっこう暴れ、回転速度はあまり上がらない。故意にやっていることなのだが。

これを飽きずに、塗装面がわずかに暖かくなるまで繰り返して光に当ててみると、、、、驚きの美しさだ!とろりとしたつやのなかに、蛍光灯が美しく映りこんでいる。これはスバラシイ。(向かって左が磨いたところ 右はまだ磨き切れていない)あまりきれいに輝いているので、塗装前に着いたと思われる、微妙な打痕が目に付いてしまう。ボディ購入当初は、カットアウェイ周辺の一か所だけかと思っていたが、(塗装の下にパテのようなもので修正した跡があるのでわかった)、実はもう2か所あったようだ。知らないほうが幸せだったかも。でもこれも痘痕も笑窪と理解して、受け入れるしかないだろう。人間のする仕事なので仕方がない。

更にサルの様に裏面を全て磨きこんだ後は、問題の前面の研磨だ。これはキャビティがたくさんあるのでなかなか能率が上がらない。キャビティに塗ってある導電塗料がパッドに付着すると、パッドが真っ黒になってしまうので最大限の注意を払わなくてはならない。それでも多少はパッドに付着してしまう、、、。

全てがピカピカになったわけではないが、満足のいく仕上がりとなった。技術を持たない人間が、道具の力だけでこんなことが出来るというのは、やはりすごい事だ。

やはり塗装は深い。面白いが深すぎる。悲しい目に合わないうちに、手を引くのがよさそうだ。

-to be continued-
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