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八王子 車家 おせいろ+かさね 1550円 [日本蕎麦]

八王子 車家 おせいろ+かさね 1550円
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話には聞いていた。なかなか良いお蕎麦屋さんが八王子にあるらしいということを。しかしなかなか機会に恵まれず、訪れることが出来なかった。今日は多少無理をして八王子まで車で足を延ばした。

ここは昼前からお店を開けているのだが、開店前からかなり歳のいった方たちが駐車場に次々と入ってくる。どうも私の予想を超えた超人気店のようだ。私が一番早く駐車場に到着したのだが、集まった方たちのうちで、大きな傷だらけのクルマに乗ってきたご夫婦が(ゴルフ場に行くようなものすごく派手な装い)、順番を無視して一番前に並んだ。そう来るかな?と思っていたが、やっぱりそうなった。あなた方は礼節を重んじる日本人なのか?まあ私は一人なので、席につければそれでいい。それですこし離れたところに並ぶことにした。しばらくするとお店のご亭主風の初老の男性が挨拶をしながらお店を開けてくれた。やれやれ。

それで、古民家を移築したと謳われている建物に入り、机とテーブルのどちらがいいかと尋ねられた。靴を脱ぐのが嫌なのでテーブル、とお願いしたのだが、何のことは無い、靴を脱いで板の間に並べてあるテーブルに案内された。まあ、仕方がない。窓際におかれた小さなテーブルだったのだが、机はどうもムク板で作られているようで、重厚なつくりだ。天井にも壁にも太い梁が通っており、現代に再現するのは不可能と思われる、良質の木材をふんだんに使った建物だ。どうも居心地がいい。お年寄りが集まってくるのもよくわかる。日本に生まれてよかった、という感じだ。

それで例によって大盛りをお願いしたかったのだが、それはここには無いらしいので、“おせいろ“に”お代わり麺“を加えたものを同時に出すようお願いした。すると味のあるお茶碗のなかでゆるゆると揺れている薫り高い煎茶が出されたのだが、、、これがなかなかよかった。やっぱり山に近いので水がいいのか?ずるずると楽しんでいるといいタイミングでお蕎麦が供された。塗りの盆に、秋田のまげわっぱ?を漆で塗ったような丸いせいろが2段に重ねられ乗っている。薬味はやはり塗りの横長のお皿に大根おろし、さらし葱、それから生山葵だ。各々なかなか新鮮で、つまみとしてそのままイケル。それでいつものように、お蕎麦が到着する前に全て食べてしまった。塗りのせいろやお皿というのもなかなか良いものだと思った。

蕎麦つゆは、これもまた上品な徳利に入れて供された。よく冷えている。お蕎麦にいく前にすこしだけ啜ってみる、、、、と、、、後味が、、、、アミノ酸ビンビンで、ちょっと濃厚すぎる?と一口目は感じたのだが、もう一度啜ってみると、そんなことは無い。調度いいようだ。何が起こったのだろう。ともかく、江戸前の濃い奴をわずかに味醂系の調味料で甘くして、すこしだけさらりと伸ばしたような味わいだ。アミノ酸ビンビンがなければかなり私の好みに近い蕎麦つゆだと思った。しかし手繰ったお蕎麦の半分くらいは蕎麦つゆに浸さないとダメな感じだ、、、それで肝心のお蕎麦はどうだろうか?

せいろに盛られたお蕎麦は、中細で縦横の比があまり揃っていない。しかしエッジはきりりと立っており、なかなか凛々しいお姿。長さも短めで、完璧にそろっていないプレゼンテーションが、手打ちそばらしい風情をたたえている。数本手繰って試してみると、私が愛してやまない“栗のような薫り”がする。これはいいお蕎麦だ。見かけは割と白っぽいが、更科系とは違い、細かいがわずかな星が散っており、蕎麦肌?も穀物らしい粒々感をそれなりに残している。なかなかいい。さらに素晴らしいことに、一見小さく見えるせいろは、意外なほど奥行きがあって多めのもりになっている。大食漢の私はとっても助かる。

それでお蕎麦をお鼻にペットリさせたりしつつ、周囲を完全に無視してお蕎麦の薫りに没入し、蕎麦つゆを使わないままで一枚目を食べ終わり、味と薫りとのど越しにうっとりとした。すぐさまお蕎麦がへにょへにょにならないよう次のせいろに取り掛かる。大丈夫だ、まだびしっとしているぞ。

このあたりで給仕のおば様が私の席に近寄ってきて、ひと声かけてから煎茶をひいてしまい、その代わりにほうじ茶を出してくださった。ありがたい、しかしお茶碗に残された煎茶を最後まで楽しみたかった、、、、。そんなせこいことを考えつつ、今度は蕎麦つゆを使いながらお蕎麦をどんどんと手繰ってゆく。蕎麦つゆを使ってもお蕎麦の印象はあまり変わらない。お蕎麦が勝ってしまっているようでもあるが、たっぷりと蕎麦つゆに付け込めばバランスは悪くない。しかし一緒に食べた時に、お口の中で魔法がおきて、別々に食べたときとは違うレベルの違う“掛け算の味”になるようなことはなかった。それでも十分に満足し、タイミングを見計らって供されたトロリとした別仕立ての蕎麦湯を全て飲み干して、心身ともに満足してお店を後にした。

お店はおそらくものすごく繁盛しているのだと思う。ご亭主と、また、会計を担当している若旦那風の方の余裕のある応対がそれを暗示している。いい雰囲気を醸し出している。今後もお蕎麦に打ち込んでいただき、ずっと人気のあるお店であり続けることを期待したい。


良い;八王子にある、古民家を移築したお蕎麦屋さんで、建物に何とも言えない風情がある。客層も上品でとにかく居心地が良い。外の様子を眺めながらお蕎麦を楽しむことも可能だ。夜はちょっとした料亭風になるのかもしれない。
もっと良くなる;このままでいいかな?
また行く?;機会があればYes
総評;八王子にある古民家を移築したことが売りになっているお蕎麦の専門店。店内には豊富に木材が使われており、いい雰囲気を醸し出している。客層も客あしらいもよい。ゆっくりと上質なお蕎麦を楽しめる。
トイレ;なかなか清潔で、気分よく使わせていただきました。人手も十分にあるようなので、店内と同じレベルの清潔感を出していただけると尚よいです。そうですわたしは清潔病です。


2016年2月 再訪
八王子 家 おせいろ+かさね 1550円
疲れてしまい、久しぶりに足をのばしてみた。前回は靴を脱いで座敷でお蕎麦だったのだが(私はこれが苦手)、テーブル席もあることを知って早速テーブルで。お蕎麦は例によって おせいろ プラス かさねだ。

今日は玄関に至る小道には打ち水がしてあり(雨の名残かも)建物の中は非常に清潔で、清潔病の私でもにっこりできるレベル。すがすがしい。メニューは複数並べられており、そのうち数冊がべたべたしているのは仕方がないだろう。席に着くなりメニューを見ずにとっととオーダーを入れる。すぐに抹茶が入ったような見事な緑色の煎茶が供された。ほどなく、まあるいかわいい塗り物の、せいろがかさねて供された。生木のような感じの角盆にのせて。お蕎麦も蕎麦つゆも前回と一緒。薬味はやはり塗りものの小皿の上にさらし葱、大根おろし、生山葵。お蕎麦とは別に口にする。ああ、お酒が欲しい。それでもどんどんお蕎麦を手繰って例によって“栗のような”穀物臭を胸いっぱいに吸いこんで楽しみ、もう少し食べたいな、とおもったあたりで蕎麦湯に突入。これは別仕立ての緩めのポタージュ風のものだ。これでおなかが満たされてようやく幸せになれた。二杯目からのお茶は、湯呑みを変えてほうじ茶を。これも前回と同じか?ともあれ、清潔なお店でゆったりとした蕎麦時間を過ごすことができた。元気になった。足を延ばしたかいがありました。どうもありがとう。

蛇足だが、このお店は、長野県のちょっとした知人の家と全く同じ匂いがする。木とホコリの匂いなのだろうか?お蕎麦の匂いなのだろうか?謎だ。今度また確認してこよう。


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