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並木 藪 ざる 750円 [日本蕎麦]

並木 藪 ざる 750円並木藪.jpg

巨人大鵬卵焼き、といっても最近の人は知らないだろう。つまりクルマならベンツ、大学なら東大、おねいちゃんなら、、、、これはよくわからないや。論理に飛躍はあるがとにかくそういうことで、江戸前のお蕎麦なら並木藪、といっても文句を言う人はあまりいないのではないか。

私はこの店を避けて避けて避けてきたのだが、いろいろあって考えが変わり、
足をはこんでみることにした。時間を作って浅草へ、、、、雷門を背にして
国際色豊かな観光客に紛れてとぼとぼとあるく、、、とすぐに白塗りの壁に藪の行燈を目にした。

こんなわかりやすいとこにあったの!早くいってよ!いままで何百回通り過ぎたんだろうここを。ということで、暖簾をくぐってどんどんお店に入ってゆく。どんな高級店でもどんなさびれた店でもお蕎麦屋さんである限りは私の領域だ、私の心に躊躇の文字はない。このお店はどうも最近建て替えたらしく、玉石をめり込ませた床などは昔通りだというが、壁、天井、柱など、すべてが新しく清潔な印象を与える。店内は並木通り同様に、これまた国際色豊かな人々でいっぱいだ。怪しい英語?と思われる言語が飛び交っている。私はおじさん一人なのですぐに上がれるかな?と期待すると、すぐに小上がりの座卓、相席で、と言われた。よしよし。座るとすぐにスポーツ新聞のサービス。この有名なサービスは今でも行われているようで、ありがたかった。すぐに冷酒とざるを2枚お願いした。

菊正のこもかぶり、しかしこれは樽から直接ではなくどこか別のところから徳利に注がれているようだ。お酒は盆にのり、白木の四角い袴をはいた白い徳利に入って登場。徳利の相棒はおちょこではなくガラスのビールグラスだ。ぐびぐびと呑んでしまえばいいのだろうか?いやそれはやめておこう。それではお蕎麦がわからなくなってしまう。例によって濃い色をしたいい薫りの蕎麦味噌がちょっぴり。キンキンではなく常温、木の薫りをぷんぷんさせている菊正をゆっくりと楽しんでいると、おお、かなりのスピードで一枚目のざる蕎麦が供された。これもやはり塗りの盆、丸いざるを裏返すよくあるスタイル、お蕎麦の量は”銘店盛り”というやつで、私なら数秒で終了する量だ。わかってはいたがグルマンの私はちょっと悲しい。薬味はさらし葱とちょっと大根っぽい生山葵だ。こいつらをつまみにして菊正を飲み続けているわけにはいかない。お蕎麦は繊細な生き物で、刻々と状態が変わってしまうのだ。勝負だ!なんのこっちゃ。

機械切りであろう、中細の細かい星がわずかに散った、エッジがたち気味の長ーいお蕎麦。見目麗しくざるの上に身を横たえている。穀物の薫り(私は栗の薫りに似ていると思う)がお蕎麦をたぐると”ぶわっ”とひろがり、”こいつできるな”と思わされた。いつものようにお鼻にぺったりとお蕎麦を押し付けて穀物の気高い薫りを満喫する。幸せだ。なんだか調理場から見られているような気もするが関係ない。気にならない。そのまま数本やってみると、歯切れの良い、のど越しがやさしめの大変おいしいお蕎麦だった。蕎麦つゆいらないんじゃないの?うまいよこれ。たいしたもんだよ。しかし名にしおう藪のからつゆを味わってみなければ。

少量すすってみると、やはりカツヲ系のパンチのある出汁の強めに効いた、塩辛い蕎麦つゆだった。煮詰めたような濃厚なものを想像していたのだが、そんなことは無い。正直、個人的には常識的な範囲を超えない塩からさだ。塩ではなく醤油を感じさせる方向のからさで、奥のほうに甘みもしっかりと効いている。当たり前だが悪くない。しかしこのままごくごくはちょっと無理かも。それでお蕎麦の端っこを1割くらいお蕎麦にくぐらせて手繰ると、、、、文句のつけようもない味と香りの恍惚のハーモニーだ。やはり老舗というのは大したもんだ。頭が下がる。しかし個人的には、蕎麦だけで食べたほうが幸せ度が高いような気がした。無粋ですいません。

タイミングを見計らってもう一枚ざるを追加していただいたのだが、大食漢の私はあっという間にすべてを平らげてしまった。しかし蕎麦猪口や徳利など、さりげない、あまり高級感が漂わないものを使っているんだなあ、と食べ終わってからようやく気が付いた。

残されたお酒を蕎麦つゆを肴にして悠々とすすり、その後さらに大きな急須で供された蕎麦湯を大量にのみまくって幸せな気分になってお店を後にした。ごちそうさまでした。菊正樽酒は大好きなのだが、昔あれを大量に呑んでリバースしたことを思い出したので(翌朝の苦しみは筆舌に尽くしがたかった)、一合でやめておいた。短時間ではあったが、濃厚な時を過ごすことができた。なるほどなるほど。並木藪ってこんなお店だったのか、、、、。もっと早く来ればよかった。

北海道から出てきて、東京のお蕎麦屋さんめぐりをしている青年をみかけた。日本のお蕎麦の将来はなんだか明るいような気がした。あとは池之端に足を運べば、御三家すべてにうかがったことになる。

良い;泣く子も黙る老舗。黙って座れば幸せになれる。
もっと良くなる;なんの文句もございません。ありがとうございます、というかんじ?
また行く?;Yes
総評;浅草雷門前並木通りにある、超有名江戸前お蕎麦屋さん。何気ないお店であるが、お蕎麦のレベルは高い。伝統の技が広く知られた銘店。文句なし。しかし店内に隠れ場所がなく長居できる雰囲気ではない。それだけが残念。
トイレ;未使用
駐車場;多分ないと思う。場所がよすぎる。




2016年12月 再訪 ざる2枚 菊正1本  2250円

機会に恵まれて並木藪を再訪。一人でうかがったのだが新聞は読ませてくれないし、メニューはわかっているでしょう、と。ちょっと寂しいが仕方がない。お蕎麦はいつもながら大変結構でした。さらし葱が期待を超えて深い味がして大変おいしく、あっという間に菊正を呑み終えてしまった。それはそれでやっぱり大変結構でした。空いている時間を選んだつもりだったがどんどん人が入ってくるので早々に退散した。ゆっくりできれば文句ないのだが仕方がない。満足だ。




2019/3再訪 天盛り 1800エン

機会に恵まれて並木藪を再訪。祝日なので店内は人ひとヒト。それでも座敷の一角に陣取ることができたので幸運だったと言えよう。かいがいしく働く兄さんがなかなかよかった。いろいろあって珍しく天盛り。蕎麦つゆはやや甘く、天つゆのしつらえで温めて供された。天ぷらはこぶりのエビが4匹と獅子唐。あとはいつも通り、葱、山葵、小盛?のお蕎麦だ。

しかしやはり私はいつもの冷たい蕎麦つゆがいいなあ。今日はなぜか蕎麦湯が塩素臭かったので、残念ながらあまり幸せにはなれなかった。しかしあんなに混んでいるのに、ほとんどの人たちがのんびりと呑んでいるのが不思議だった。デートしているカップルまでいたし、、、。嬉しそうに蕎麦をOrderしていた若い白人カップルは楽しめただろうか?

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