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成田 一福  せいろ おおもり 1000円 [日本蕎麦]

2017年1月
成田 一福  せいろ おおもり 1000円

お正月に成田山に足を運んだ。遠出をするのであればやはりお蕎麦だろう。ということで、夕暮れせまる底冷えのする成田を歩き回り、スマホの力を借りて一福さんを探し当ててにお邪魔した。スマホがなければ土地勘のない場所で目的とする場所など見つけられる筈がない。今回の一幅さんも地元の人にしかわからないような場所にあった。少なくとも私にはそう思えた。ありがとうスマホ。

まずは成田山にお参りを済ませ、定番のお土産を手に入れてからお蕎麦屋さんの探索へ。
観光地の雰囲気が漂う門前町成田、駅前は比較的混雑していなかった。しかしここは都内と比べると格段に寒い。細く曲がりくねった道を歩き、なんだかよくわからない混沌とした細い路地に入り込むと、、、あった、一幅さんだ。門構えのわきに蕎麦粉の仕入れについて薀蓄が記されており、おお、やってるな、とうれしくなる。期待はいやがうえにも高まる。静かなお蕎麦屋さんで、じっくりと温まることができると嬉しいな、と。

カラリと戸を開けて訪いを入れる。店内では大宴会が張られている。帰ろうと思ったが、まあ仕方がない。店内に。それで案内された席は、、、一人だから仕方がないのかもしれないが、従業員が食事をとるような、あまりよくない場所にしつらえてあった。一瞬頭に血が上るが、グッとこらえて椅子に座ってメニューを拝見する。いつものようにせいろのおおもりをお願いした。

ほどなく供されたお蕎麦は、、、と。角盆にのせられた3枚の使い込まれたせいろ、もりはいわゆる銘店盛りに近い量。“ちょっとだけ“だ。蕎麦猪口にはすでに蕎麦つゆが入れられ、小皿に輪切りの葱とひと手間加えてあるであろう粉山葵。残念ながらお箸は洗い箸であり、蕎麦を愛する私の心はここで半分折れてしまった。だってプラスチックのつるつる滑るお箸でどうやってお箸を手繰れというの?ここは四角い割り箸でないと、、、。まあいい、文句をつけるよりも人生を楽しむべきだ。そうだろう?それでお蕎麦に集中して細かいことを無視することに決めた。それでもお店のおばさんやオネイサンがお盆を携えて頻繁にわきをすり抜けるため、危なくて仕方がない。いつアツイお蕎麦のツユを浴びせられるかわかったものではない。さすがにだんだん機嫌が悪くなる。しかしここでけなげな私は心に蹴りを入れて、お蕎麦に集中する。人生一回きりなんだから。

お蕎麦は中細、星はほとんど散っておらず、エッジが立って長さはそろっている。つなぎ多め、機械打ち機械切りということだろう。数本手繰ってみると、かなり弱めではあるが、お蕎麦のかそけき薫りは漂ってくる。やはり二八か、つなぎはさらに多めなのかもしれない。しかしお蕎麦の茹で加減は最適であり、丁寧に水で〆たあとにきちんと水切りがなされている。仕事は丁寧だ。ややぽきぽき感があるが、むっちり加減もいい感じで、調理場の仕事はなかなかだ。蕎麦つゆは、、、カツオ系の出汁はかなりしっかり。甘さは少なめで、全体のバランスはやや心もとない。しかし十分合格点おいしい蕎麦つゆであり、蕎麦とのバランスも取れている。それなりに満足して、オネイサンやおばさんにひやひやしつつ、一心に蕎麦を手繰ることにした。当初は銘店盛りと思えたお蕎麦のもりは、某有名店のようにザルが凸型に逆ぞりしているようなことがないためかそこそこの量があり、3枚手繰り終えるころにはすっかり満足していた。おかげさまで機嫌も直り、いいタイミングで湯桶が出てきたことにさらに気をよくする。が、出てきた湯桶は傷だらけで粉だらけで興ざめしてしまった。残念だ。またまた心がザラザラとしてしまう。しかしおそらくは別仕立ての濃いめだがサラサラの蕎麦湯はなかなかおいしく、例によって3杯、楽しませていただいた。蕎麦つゆを蕎麦湯で伸ばしてみた感じでは、かえしの出来が今一つなのかも、もう少し寝かせてみたほうがいいのかも?などと思わされた。しかしそれでも供されたものすべてを能う限り楽しんで、温まった体を抱きしめつつ?お店を後にしたのであった。ごちそうさまでした。

観光客が多い土地柄なのか、客あしらいがややぞんざいであり、テーブルを置くべきではないところに通されて大変残念だった。お蕎麦それ自体は、値段相応とはいかないが、満足できるものだった。宴会で騒々しかったこと、酔客がドアにぶつかって大音声を立てても客に一言もなかったこと、店中が煙草とアブラの薫りで充満しており、帰途に体についてしまった匂いで閉口したこと、、、私的にはあまりないことなのだが、お蕎麦屋さんに伺ったにしては、ちょっと残念な後味が残ってしまった。ただただお蕎麦を心静かに楽しみたい、私のような人間は、このお店には合わないのかな、と思った。零細なお蕎麦屋応援隊としては、大変残念でした。それでも今後のお店の発展を願っております。

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