SSブログ

Warmoth-Moon Superwide Neck Stratocaster Revised 4 [音楽]

Warmoth-Moon Superwide Neck Stratocaster Revised 4

お返事が来た、やはり想像した通りでだった。予想はしていたが、ねじ穴のないPGの注文は受けてもらえなかった。Warmothはマスプロに近い業務形態になりつつあるようで、個別対応はちょっと苦手のようだ。お返事は以下の通り。

Hello again Dr.KJ,
We are not able to manufacture a pickguard without mounting holes. Our shop crew requires the mounting holes of the pickguard to mount the pickguard material to our routing templates.
------------------------------------------------------------------------
既にあきらめていた私は、それ以上粘ることはせずに、すぐにお礼のメールを出して謝意を述べた。

Hi ×:
Thank you very much for your quick response.
I will take care of it somehow.
Thanks again and have a good day!
すると先方はマニュアル通りの、しかし感じは悪くない応対でお返事。
Hello again Dr.KJ,
Not a problem my friend! Always glad to help! 
If you have any questions feel free to reply to this email or to contact us by phone.

さて、どうするか。選択肢としては、
1. 楽器はいじらない ノイズは我慢する シングルのアンプは使わず、Push-Pullのアンプだけで楽しむことにする。
2. PGをダメもとで買ってみる Bodyに合うわないようなら、WarmothのBodyを買い増す(完全に本末転倒だ、改造のための改造になってしまう)
3. PUはどうしよう、、、
毎日クラギのような幅広のナックがついたストラトをいじっているのだが、何度この楽器を手にしても、そのスバラシイ弾き心地と、木部の製作精度の高さにうっとりしてしまう。この楽器をずっと弾いてゆきたい。

Warmothの製品は、これからも同じ品質のものを手に入れることが出来るだろう。そうするための十分な顧客もノウハウも彼らは持っているように思う。しかしB-LawrenceのPUは、奥さんが会社を辞めることにすればそれで終わりだ。Billが亡くなってしまったので、PUが新たに開発されることはもうないわけで(マイクロコイル?と呼ばれる薄いボビンをもったPUが最後の製品になるのだと思う)、現行製品の品質が今まで通りに保たれるかどうか、不安が残る。やはり同じように感じていた人たちが多いらしく、Billが元気だったころに作りためてあったPUがほとんどすべて売れてしまった。奥さんのBeckyがねじり鉢巻きでPUを作っているようだが、長年Billと一緒に製作にかかわってきたとしても、やはりPUの品質はじわじわと落ちてゆくのではないか、と個人的には懸念している(http://wildepickups.com/)。Fenderの伝説のPU製作職人のおばあちゃん(アビゲイル・イバラ女史)の例もあるので(PUやアンプの内部の配線など、細かい作業は伝統的に女性が担当してきた、ということは歴史的事実)あまり心配はしていないが、購入するのであれば、急いだ方がよさそうではある。さて、どうするか。しばらく考えてみることとしたい。

→その後結局WarmothにPGをOrderした。PGが合わなければ、今度はBodyを新調してしまおうという、本末転倒な決断を下した、ということだ。バカだね、ほんと。やや特殊な注文であるため、間違えないで作ってくれるといい。間違えて作ってしまい、3回もタダでやり直してもらった実績がある。このときはWarmothのカスタマーサービスの質の高さに感心したものだ。Bill LawrenceのPUの方は、なかなか注文が通らないので、悪戦苦闘中だ。PayPalの問題のようだ。解決には時間がかかりそう。円が安くなっているので、円建てで購入した場合は、直接アメリカから買っている割安感がない。どうしたものか、、、もう少しこのまま楽しみつつ頑張りたい。

→問題解決!注文が通った!Noiseless Single と、Twin bladeを両方買ってしまった。これでしばらく楽しめるだろう。到着したらまた、報告するつもりだ。

Billがいなくなった-11 ネックのすげ替え USACG-Warmoth Tele [音楽]

Billがいなくなった-11 ネックのすげ替え USACG-Warmoth Tele

水色ボディで真っ白なPG、ほんとは白が良かったけれど、都合で黒くなったPU,それからUSACGGのネックで作り上げたTeleなのだが、これは本当に軽く、何時でも手にしようという気になる楽器だ。普通のスネークヘッドの形をした唯一のTeleでもある。しかしこの楽器のネックは私の手にはいかにも小さすぎる、、、ので、何となく登場の機会が減っていた。しかしノイズが乗らないシングルPUの楽器で、現在使用に耐えるものはあまりたくさん持っていないので、対外的には結構活躍する機会がある。さて。それでこの楽器に、昔々購入して放置してあったWarmothのストラト用のSuper Wideネックを装着してみようという企画だ。広めのネックを刺して、フィンガースタイルのギターの練習に使おうという腹である。さて、どうなることやら。

このボディと結婚させようとしているネックは、数年前、円が高かったころにWarmothで衝動的にカスタムメイドしたネックであり、勢いで買ってしまってその後死蔵していた。いろいろと問題があり、ナットを剥ぎ取り、ペグを剥ぎ取り、放置していたのだが、これを倉庫から取り出してしげしげと見つめると、悪くないではないか。木目は派手ではないが、きちんと柾目に取ったものを指定してある。指板はやはりメイプル、しかしクラギのようにポジションマークはない。フレットは極細のヴィンテージを髣髴とさせるものだ。塗装はラッカーのマットにすればよかったのだが、血迷ってクリアグロスに。当然ポリ仕様なので、全体にプラスちっきーでピカピカとしている。むむー。

この楽器には、昔懐かしいゴールドのゴトーのクルーソンモデル、しかもロック付、しかし軸の長さ調節はできない、というややグレードの低いペグを合わせてあったが、気に入らず取り外し、それをまた取り付けた。これはたしかStu-Macでえらく安く手に入れたのだが、Gotohに聞いたところ、”大量に買ってくれるので安く売ることができるのだろう”とのことであった。ギヤ比もやや低めで、精密なチューニングはやや慣れを要するが、オールドのクルーソンと比較すれば段違いに正確だ。それにメッキが厚めで、なんともいい味わいを醸し出している。ともあれ、国産のパーツがアメリカ経由で安く変えるというのは何とも納得がいかない。Gotohが、私のような人間に直接パーツを売ってくれればいいのに、、、と強く主張したい。さてさて。

それで結婚の準備が整ったこのネックなのだが、ナットがついていない。購入時はコリアンの白いものがついていたのだが気に入らず、これを取り外した。ナット用の溝をきれいに掃除して、2時間ほどかけてナットを自作、出来上がりはいまいちであったが、とりあえず音を出すためには使える。そのうち作り直してネタにしてみるつもりだ。そしてとにかく出来上がったナットをボディに組み付けたのが、この写真だWarmoth Super Wide Tele.jpgHead and Neck.jpg
指板の幅がオリジナルと比較するとずいぶん広いこと、ポジションマークがないこと、などがはっきりわかるだろう。ナットの溝が高音側と低温側と、幅を変えてあるのがわかるだろうか?6弦を指板の中心に寄せすぎたことが惜しまれる。やっぱりそのうちやり直すしかない。しかしこの楽器、細めのフラットワウンドを張ってフィンガースタイルで弾こうと考えているのだが、普通のラウンドワウンドでもものすごく鳴る。ネックの質量とボディの質量のバランスがいいのだろうか?弾いていると時を忘れて、気が付くと指先がぼろぼろになっていた。ちょっと血も出てしまった。なかなかいい。しばらくはこのまま、ほそーい10のセット(アニーボールのregular slinkyだ)を張りっぱなしにして弾いてみようと考えている。しかし実際、エレキの音は材料の値段ではなく、各々のパーツの組み合わせに秘密があるような気がしている。生音がいいので、アンプを通した音は、いうまでもなく極上だ。

このネックは本来ストラト用で、ヘッドの形もいわゆるクローシャンヘッドになっている。ネックエンドもラウンドしており、本来はテレのボディと娶せるのは不適切なのだが、結婚させても大きな問題はない。しかし逆は不可能であることは、知っている人は知っている。ストラトのボディーにテレネックを装着するためには、ボディーの結構シリアスな加工が必要なのだ。それはともあれ、あとは、ブリッジをGotohの新しいものに変更するかどうか。ブリッジの駒を、真鍮にするか、チタンに変えるか。そんなことを考えて楽しんでいる。たぶんあまり弾いていない楽器のブリッジを移植することになるだろう。やっぱり手作り楽器はいい。ギター音楽はもっといい。久しぶりに楽器のアセンブルに熱中した数時間を過ごすことができた。こんなことばかりやっていると音楽それ自体に費やすべき時間が減ってしまうのだが、、、。楽しかったからまあいいこととする。今日はなかなかいい一日だった。

Billがいなくなった-12 ナットの作り直し USACG-Warmoth Tele [音楽]

Billがいなくなった-12 ナットの作り直し USACG-Warmoth Tele

ということで、ナットの作り直しだ。このネックは幅が広く、ナットはほとんどクラギと同じくらいの広さがあるため、既製品のポン付けは不可能だ。やはり規格外の楽器は欲しいのであれば、自分で作るか大金を払うしかないということだろう。ともあれ、とりあえず使えるナットは作ってあるので、焦る必要はない。しかし弦の間隔が特に低音側が狭く、弾くたびごとにちょっと不愉快になる。また、2弦の解放の音がいまいち、どうもナットファイルの調子が悪いらしい、、、。ストリングガイドを使っていないので、テンションが足りない可能性も否定できないが、いままでこんなことはなかった。弦に余計なフリクションを与えたくないので、ストリングガイドは使いたくないのだ。ポストの長さや、弦の巻き方でテンションを最適化するのがいいと、個人的には考えている。

Nut Files.jpg今使っているナットファイルはこんな感じであり、結構なお金を払って手に入れた。普通のやすりではナットの溝の底が丸くならないため、こればかりは専用のやすりを購入するしか無い。それでずいぶんたくさんファイルを購入したのだが、どうもうまくない、つまり、解放弦の音が納得いかないわけだ。弦にぴったしカンカンの溝を切ることが基本で、ヘッドに向かうにしたがって弦から離れるような加工をすれば、音色(解放弦のみ)とテンション(いつでもどのポジションでも)の調整ができるのだが、まずは基本に忠実に、ナットの全長で弦と無漂白の牛コツがふれるように加工したい。それでStu-Macと相談して、とくに2弦と3弦に気を使って、溝の幅が弦にぴったり合うように、やすりを買い足した。これで安心、幸せになれるかな、、、、と思っていたのだが、そうはイカのキンタマ、2弦がどうもびりつく。やすりの幅を図ってみると、規格よりも広くなっているではないか!Stu-Macを信じた私がいけなかった。それでもう一度相談し、正規の製品と取り換えるよう交渉してみると、送り返す必要はない、新しいのを送るよ、と、スバラシイ、というかアメリカ企業的な対応、その方が安いからそうするのだろうと思う。それで新しいファイルは完璧か、というとそうでもなく、やはり2弦の解放音が僅かに濁ってしまう、、、、過去にこんなことはなかったし、ほかの弦は完璧にいい音で鳴っているので、私の加工技術のせいではないと思う。

それで私は考えた。我々は匠の国、日本に住んでいるわけで、おそらくナットを完璧に加工するためのナットファイルを作っている会社があるのではないか?と。それでいろいろと手間暇かけて見つけ出したのが、これだ。広島の会社が作っているナットファイルのUo-Chikyu。世界的なブランドの一つであるらしい。こういうのが日本の会社のすごいところで、割と小規模な企業が、世界中に製品を売っていて、その市場を席巻しているという。例えばGotohのペグなども、同じような例だろう。広島まで電話をしたのだが、直接売ってもらうことはできないのだという。つまらないことに、代理店にマージンを払うことなしには手に入れることはできないらしい。広島まで車で買いに行く、と根性を見せたのだが、どれでもダメだということだ。仕方がないので、わりと高めの料金を払って代理店から一式購入した。その一本をここに示そう。UO Chikyu.jpg測るまでもないが、切り込む溝の幅は、きっちりと規格通りに作りこまれている。使い心地も上々で、やはりいい道具を使うと仕事も丁寧になるというものだ。満足して、じっくりと時間をかけてナットを作り上げた。弦高さはとりあえず高めにしておいて、しばらくして落ち着いたら、目標にしている数値まで追い込もうと考えている。現時点で楽器に装着した様子がこれだ。Nut.jpg低音弦は半分くらい顔を出しているし、高音弦はちょうど全部もぐりこんでいて、いい感じでしょう?完璧ではないけれど、割と満足なできだ。道具がいいので時間がかからなかったし、何よりも解放弦の音がいい。しばらくこれで弾きこんで、弦高を追い込んで、そのあと心身に余裕があれば角度などを少しいじってテンションを下げてみたい。そしたらコンパウンドでピカピカにしようと考えている。現状では艶消しなので。時間が余ったので、今日は音楽それ自体に時間を費やすことができる。ありがたいことだ。さあ、練習頑張ろう。

USACG Jazzy Telecaster 2 [音楽]

USACG Jazzy Telecaster 2

USACG Tele.jpg

この楽器はだんだんと楽器として仕上がってきた。楽器というものはすべからく、経年変化でその状態が少しずつ変わってゆく。弾きこんでいくと音が良くなる、という人がいるが、私は、ある程度以上のポテンシャルを持った楽器においてのみそういった議論が成立すると思っている。この楽器の場合はどうだろうか?多くの問題を抱えて何度も放り出しそうになったことは事実であるが、アセンブルする私の技術はともかく、素材は全て一級品だ。しかしそうだからと言って、いい音の出る楽器になるとは限らないのだが。個人的にはいい感じに枯れ始めている、と思っている。これはバックからの写真だ。2ピースのスワンプアッシュボディであることがわかるだろう。Back.jpg美しいタイガーまじりのバーズアイネックNeck.jpg、それからヘッドもだHead.jpg

この楽器は、時々取り出してはいじり倒し、そのたびごとに小さな変更を加えたり、手を入れたりしている。今回はブリッジとナットに手を入れて、生音でも楽しく弾くことのできる方向に楽器をもっていった。ブリッジを固定するもくねじのヘッドが少し大きく、駒に当たってしまうため正しく調弦できない。それでこの木ねじ4本を交換。ボディはスワンプアッシュであり、あまり固い木ではないので、ねじくぎを締めこむときは要注意だ。木と会話をする感じで、ゆっくりと、しかも4本をかわるがわる、しかも均等に締めていかないとだめだ。ただ、残念なことに下穴の角度がやや斜めっているため、木の持つあいまいさを利用して、きっちりとブリッジを固定する。垂直はでているかな?よし、大丈夫だ。穴が斜めになる、というのは、CNCルーターで作ったボディの場合考えられないのだが、目の前にある事実なのだから仕方がない。

また、この楽器はボディとネックを作ってもらってからしばらく、実を言うと年単位で倉庫に放置してあったため(温度と湿度はきっちりと管理している)、その間に乾燥が進んで、ネックとネックポケットの組み合わせが完璧ではなくなってしまったらしく、わずかに平面で合わない部分があることも、アセンブルをてこずらせた理由だ。これもやはり紙やすりで時間をかけて平面を出して解決した。


その後ブリッジのオクターブから始めて、17F で弦高を調節し、その後再びナットを微調整して本日のメンテを終了した。低音弦を高めに、高音弦を低めに設定した。アンプを使わなくてもかなりの音量で鳴らすことができるようになった。

ストリングファレルの打ち込み(合わないファレルを力ずくで入れてしまった)、ペグを固定する複数の木ねじの中折れ(ペグを付けたのでもう見えない)、ナットの溝の成型(ルーターやジグを駆使して乗り切った。溝の成形不良、というか初期不良にもっと早く気が付いて、Tommyに直してもらえば良かった)、ネック指板の欠け(自分で埋めてラッカで塗った)、狭くてポットが入らないキャビティ(無理やり押し込んだ)、大きすぎるbridge固定ネジ(木ネジの取り換えだけで何とかなった)、、、、様々な問題が発生して何度も投げてしまおうと思ったのだが、あきらめないでよかった。ネックポケットのあたりをもう少しきっちりと組み合わさるように木部をいじれば、個人的にはほぼ完璧な楽器だ。ナットももう少し成形したいけれど、やりだすときりがない。一度は捨ててしまおうと思った木部だが、素晴らしい音と弾き心地だ。幸せな一日を過ごすことができた。

いいパーツを集めて、きっちりくみ上げて、時間をかけてセッティングを決めれば、やっぱりUSACGのパーツをつかったギターはポテンシャルが高い。半日弾いていたらグワングワン鳴りだして、弦なんか指に吸い付くようだ、、、、。ああ、こいつらをあきらめなくてよかった、とヨダレをたらしてみる。

Bridges, bridges, bridges [音楽]

Bridges, bridges, bridges

何度も何度も書いているが、Telecasterが好きだ。すべての部分が気に入っているが、一番好きなのはブリッジかもしれない。一番いまいちなのはヘッドの形だ。だからこだわりのブリッジを装着した、クローシャンヘッド(ストラトみたいなやつ)のネックを付けたテレが一番好き、ということになろうか。ブリッジはさんざんいろいろなものを手に入れてみて、結局Gotohのものが好きだということに落ち着いた。細かい注文がないわけではないが、現状で一応は満足している。

ここにたどり着くまでに、買ってはみたものの、いまだにあいて?を見つけられないブリッジがいくつかあるので紹介してみよう。雑用があって机の前から動けないので、暇つぶしだ。喜んでいる人がいるとよいのだが、そうでなくてもまあいい。どんどん行く。こいつから行ってみよう、Joe Bardenだ。Joe Barden.jpgこれはオリジナルの欠点を全てつぶし、bridgeとしての機能を更に発展させたと言っていいもので、一見シンプルな見かけの中に、様々なノウハウが詰まっている。ベースプレートはスチールでやや厚めに作ってあり、フィンガープレイをするときに、指にあたってしまう部分はあらかじめ切り取ってある。これであなたの指も二度と血まみれにならなくて済むというわけだ。銀色のメッキは高級感を漂わせており、誇り高くJoe Bardenと彫り込んである。また、駒は真鍮製の3Wayであり、スラントさせることである程度オクターブを合わせることができる。駒は真鍮で、1弦と6弦を低くセッティングするために、駒の裏側を少しだけ削りこんである。芸が細かい。Danny Gattonの友人であったJoe Bardenの名前がついているわけで、おそらくDanny のオリジナルのステンレスbridgeをもとにして開発したのだろうと思われる。このあたり、興味がある人は、Unfinished Business - The Life and Times of Danny Gatton という本を読んでみるといい。私は読みましたが、英語なので少し疲れました。このこともいつか書いたように記憶しているが、私の好みのセッティングにするために、駒の高さを調節する芋ネジの長さが足りず困っていた。JBE(Joe Barden Engineering)にダメもとで連絡したら$1で芋ネジを売ってくれた。親切!カスタマーサポートの質も含め、Gotohの次にお勧めしたいブリッジだ。駒が真鍮だと、なんとなくノー天気な音が出るような気がする。プレートの浮き上がりを防ぐために(テレ好きなら定番の問題)、ブリッジの端っこに穴が開いており、好みによってはねじ止めすることもできるが、私は使ったことがない。きちんと設定すれば、ブリッジはほとんど浮かないからだ。また、この会社は一度倒産?しているらしい。製品の売り上げがJoeの懐に入っているといいのだが、、、。真相は謎に包まれている。今度暇なときに調べてみようか。


さて、どんどん行こう。お次は本家本元、Fenderの現行品だ。プレートだけだけれど。たしかビンテレの部品的な感じで売ってもらったように記憶している。Fender.jpg

これはアメリカの楽器店で正式に売ってもらったのだが、安いものだ。5-6百円くらい?Fender純正なのに。まあ、そんなもんか。しかし製品としての品質は、、、。よく写真を見てほしい。一枚のスチールをプレスして作られていることが写真を見ればわかるだろう。しかし折りたたんだ部分の処理とか、、、。どうなんだろう。微妙な味を感じさせる金メッキ、梨地の部分などはいい味を出している。材質は当然スチールだと思われる。少なくとも磁石に反応する。これにスラントさせた駒を移植して(駒だけで購入可能だ)何度か実際に楽器に装着して使ってみた。見かけは好いが、ネジ穴の加工精度が低く、一部の穴なんかお結び型になっている。音的には、特別な変化を感じるようなことはなかった。確かにパーツとしてはなかなかいい味を出していて、文句の言いようもないが、私は細部にこだわる日本人だ。加工精度が低いものを自分の楽器に付けておくわけにはいかない、、、、ということでお蔵入りになってしまった。


次、これもFenderの製品で、昔買ったアメリカFenderの楽器に附属してきたもの。Fender 2.jpg簡素な造りだが、必要十分と言えるかもしれない。6Wayになっているのはいいのだが、何せ見かけが安っぽい。駒に刺さっている芋ネジが、いくらなんでも長すぎるだろう。コード弾きをするたびに、手首が血まみれになってしまうのではないか?アメリカ国内で作ったものではないのかもしれない。むかしこの手のブリッジを使っていたことがあるのだが、使っているうちにどうしても駒が斜めになってしまう。それが気持ち悪いことをわかっているので、買ってから、もったいないが一回も使っていない。しかし将来、心変わりしてこれを使うことはあるかもしれない。現在のところ死蔵している。悪くないはが今はなんか使いたくないのだ。6Wayの製品は3Wayとは音が違うんだよほんとなんだよ。合理的ということが必ずしもいい、ということにはならない好例だ。

さて次、これはかつてWarmothから買ったものだ。Warmoth.jpgWarmothは、知ってのとおり一通りのHarewareを提供しており、それなりに納得のいく品を手に入れることができる。おそらく大量に仕入れるためか、結構安く売ってもらえる。素晴らしい。それでBridgeに凝りだす前に、1つサンプルしてみたわけだ。厚めのスチールでできており、高級っぽい金メッキが施していある。ネジ類は真黒であるため、全体に金と黒という、とってもゴージャス、というか下品なルックスになってしまっている。Webサイトには、オリジナルの誠実な復元と記載されているが、私にはどうもそうは見えない。駒の造りもちょっと謎だ。使ってみてもなんだか不思議な音になってしまうため、しばらくしまい込んでおくこととしたい。なんだか金属っぽい音になってしまうのだ。製品全体の造りがGotohのものと違う。調べてみると、どうもKorea製の製品のようだ。加工精度は高いが、味わいが違う、というのは面白いと思った。そのうち使ってみる気になるかもしれない。



まだある。無駄に貴重なスペースを費やしている私だ。これはGotohの製品で、ここでひとついい話をさせていただきたい。Gotoh.jpg私は数年前に、Warmothと相談して、フロントにハム、リヤにシングルというボディを調達したのだが、先方はなぜかリヤにもハム用の穴を掘って送ってきた。珍しいがそういうこともあるようだ。それで電話をして、マネージャーと話をしてみた。やり直すとすると、間違った製品を送り返す必要があるという。マネジャーが言うには、日本までの送料はバカにならないから、PUとBridgeをタダで送ってあげるから、そのボディで我慢してくんない?仕様は変わっちゃうけれど、誰かほかの人に売ってみてくんない?とのことであった。私がWarmothから結構大量に買っているので、プロなのだと思われているらしい。確かに頼まれて楽器をアセンブルすることは珍しくないのだが、私はプロではない。先方は、自分たちのミスなのに、”日本!遠いぜー!”とか言ってげらげら笑っていたっけ。しかしこれは、アメリカ企業としては例外的に素晴らしい対応だ、、、何度も書いているけれど、私はWarmothを愛している!ともあれ、その際は、しばらく考えた末、ボディを送り返して、さらに何週間も待たされるのはかなわないので、先方の提案に乗って、PUとBriegeを送ってもらうことにした。その時のBridgeがこれだ。ものすごいぶあつくって、重い。金ぴかだ。駒は6Wayで独立しており、スチールに見えるがブラスでできている。全体に重厚長大。英語でいうとBeefyという奴だ。”象が乗っても壊れない”と思う。人が踏むと足が痛そうだ。かつてはこの手の重いBridgeが一世を風靡したが、これを使うと、独特のいい音にはなるが、ボディの材質が音に反映されないような気がする。スペアナによる音の分析とかの証拠はないけれどね。しかしさすがは日本製品、設計の可否はともかくとして(好みの問題にすぎないし)、加工技術はぴか一だ。これのシングルPU版を実は一つ持っており、ものすごく重いテレにつけている。それでいて結構bridgeごと振動しているのが面白い。かつてGotohのブリッジ(二ケタは買っている)を買って、金属部分がゆがんでいることがあった。通常は相談に乗ってもらえないらしいのだが、幸いにもGotohの社員の方に直接メールで対応していただき、歪みの少ない新品と取り換えてもらったことがある。やはり日本の会社の品質管理とカスタマーサービスは最高だ。今後も世界中に、良い製品を広めていただきたいと考えている。Gotoh最高!Warmothも大好きだ。

私が史上最高だと思っている、チタンの駒がついた最近売り出されたGotohのブリッジをみてみたい人は、過去の記事を見てみてほしい。さて、そろそろネタが尽きつつあるし、ちょっと疲れてきた。気が向いたらまた続きを書こうと思う。それでは、また。


Billがいなくなった-13 やってしまった USACG-Warmoth Tele [音楽]

Billがいなくなった-13 やってしまった USACG-Warmoth Tele

Injured.jpg
私はやってしまった。この写真を見て、何かを感じる人はいないだろう、私以外には。私はストリングリテイナが嫌いだ。ヘッド周辺の弦の鳴りを抑え、ヘッドに角度がついていないフェンダーギターの高音弦のテンションを低音弦とそろえるという、画期的な発明であることはわかっているのだが、無駄に弦を切り、フリクションを加えるという側面がどうも気に入らず、わざわざ高いお金を払ってストリングポストの長さを変えることのできるものを選んだり、高音弦だけたくさん弦をまいて、低音減とテンションをそろえたりしていた。そうすることによって少しでも6本の弦のテンションをそろえて、弾いたときの指の感覚を快適にし、見た目もシンプルにしたいのだ。それが私のアセンブルするギターの基本であったのだが、このWarmothの売れ残りボディと、一度はあきらめたネックを、丁寧な時間をかけた工作で生き返らせた楽器があまりに出来が良いので、ついつい欲が出てしまったのだ。

ストリングリテイナを取り付けるべく、美しく光り輝くヘッドに穴をあけた。ここまではよかった。穴を開けながら、このネックのメイプルはあまり固くないな、などと評価しつつ、小さ目の穴をあけた。同じ太さのねじくぎを使うのであれば、固い素材には大き目の穴を、柔らかい素材には小さ目の穴をあけることは常識だ。そうしないと、本来ムリがある、木材と金属をしっかりと結合することはできない。それで、穴をあけて、その大きさを客観的に10分の一ミリまで評価して、リテイナを取り付けることにしたわけだ。ねじをゆっくりと締めこむ。このリテイナはStu-Macから取り寄せたもので、めっきの感じもいいので、附属してきたねじくぎをそのまま使うことにした。ゆっくりゆっくりとねじを締めこんでいく。この時、上からあまり大きな力を加えず、ネジが木部に食い込んでゆくに任せるのがいいと思う。トルクは回転方向に9で上下方向に1位。上手くやらないと舐めてしまうので、慎重に、、、じっくりと、、、、よし。いいぞ。うん、でもまだリテイナがすこし動いてしまうからもうすこし、、、、”スコッ”、、、、え?なんだこの懐かしい嫌な感じは?”スコッ”ていうのはどうしてだ?あれあれ、、、?

そしてどうなったかというと、、、
Broken screw.jpgこうなった。金色に美しく張られたWarmothのデカールのWの上あたりを見てほしい。オシャレなドットを象嵌したわけではなく、残念ながらこれはねじくぎの断面だ、、、、。オレは何年こんなことをしているんだ!数年前にあんなに悲しい思いをして、にどとこれをやらないと誓ったじゃあないか!それなのにそれなのに、、、、。死にそうに悲しい。Pretty bad.jpgこれが壊れたリテイナのネジだ。

この楽器は本当によくできていて、軽いし、きれいだし、音がいいし。ボディもネックも素材は一級品ではないが、工作精度と調整がうまくいって、非常にレベルの高い、音楽的な音がする楽器に仕上がっていたのだ。最後に手を入れた、ナットなんかこれまでの最高傑作だ。ああそれなのにそれなのに、、、。

このまま弾いていようか、とも考えた。しかし弾くたびに悲しい気持ちになるのは間違いない。ネックを交換するか、修理して納得のいくヘッドにしていくか。一晩楽器をしまってから、考えた。やることにした。手を入れるにあたって、徹底的にやること、絶対にあきらめない事、納得する結果が出るまで何度でもやり直すこと、などを自分に誓った。(バカみたいだ、しかし趣味はマジでやらないと面白くない)

穴をあけて、折れた木ねじを取り出してダボで埋めて、ダボを切って磨いて平面をだして周囲から少しへこませて、ラッカーを塗って磨いて出来上がりだ、、、なんて簡単なんだ、書くだけならば。しかし書くとやるとは大違いなのだ。こういった面倒くさい作業は”段取り”が全てで、それさえきっちりとできれば、あとは時間と根気の問題なのだ。

まず、ネジの取り出しをどうするか考えた。折れてしまった木ねじの直径は、太いところで1.9㍉から2㍉程度だ。かつてこれを上から、金属用のドリルで壊してしまおうとどりリングしてみたことがあったのだが、結果は悲惨で、結局ねじ周囲の木部をずいぶん破損してしまい、その後木部のリカバリーにはものすごく時間がかかった。だからまず、こういう時は、頭をクールにして”段取り”だ。まず、お金に糸目をつけないことにして、Stu-MacからScrew Rescue Kit(http://www.stewmac.com/Luthier_Tools/Types_of_Tools/Routers_and_Bits/Bits/Guitar_Screw_Rescue_Kit_Complete_kit.html)というのを購入して、心の安心を手に入れた。どうやって使うか、興味のある人はWebサイトを読んで学んでほしい。7千円と送料だ。しかしこれを使うと、結構大きめの穴が開いてしまうことになることが、よく考えると明らかになった。それで、自分で真鍮のパイプを買って、その先端をのこぎりの様に加工して、ネジの取り出しができないかどうか考えてみた。やれそうか?やれそうだ。それで穴の大きさを考えたのだが、外径3㍉、内径2㍉のものを使えば最小の穴ですむ。しかし3ミリの穴に叩き込むダボを作るのは結構難しい。それで妥協して、外径4、内径3ミリの真鍮パイプを購入した。実は以前に痛い思いをしたときに、鳥目模様の出たメイプルで作ったダボを特注して作ってもらってあるのだ。だからダボを作る手間暇は必要ない。パイプ切りとパイプを合わせて、なんと1000円で手に入った。これでうまくいくかも?Maple and.jpg

1つの記事をあまり長く書くと読む気がしない、というご意見をいただいたので、何回かに分けてこのお話を書いていきたいと思う。この後どうなるか、興味のある人はお付き合いいただきたい。書き飛ばしたので構成が適当だが、勢いでアップしてしまうことにした。あとで手を入れることとしたい。

Billがいなくなった-14 やってしまった USACG-Warmoth Tele [音楽]

Billがいなくなった-14 やってしまった USACG-Warmoth Tele

それで、真鍮のパイプをバイスでつぶさないようにはさんで、ぐりぐりとやすりで削りこんで先端に刃をつける。これはパイプが柔らかいので、大した仕事ではない。それから慎重に何ミリ穴をあけるかを設定して、ドリルに加えこませて、、、、折れてしまったネジ釘の周囲を掘るべし!掘るべし!
Drilling.jpg案ずるより産むがやすしとはよく言ったもので、時間はかかったが、何の問題もなく折れたねじを取り出すことができた。







この写真がドリル代わりに使った刃を付けた真鍮のパイプと、にっくき折れたねじの本体だ。途中で木部が焦げて煙が出るので、同じようなことをやろうとしている人は要注意だ。この折れネジは、呪詛の言葉を浴びせてからゴミ箱に行ってもらった。
Success.jpg











それで、これがその即席自家製ドリルであけた穴なのだが、内側が焦げていることがわかるだろうか?
Success1.jpg









それから、穴の内部を慎重にきれいにして、やりすぎるとダボがゆるゆるになってしまうのでほどほどにして、、、ダボをがっつりと挿入したのがこの写真だ。Dobel.jpg










それでそれから、あさりのないのこぎりで塗装を傷つけないようにきをつけながらダボをぎこぎこやって切る。こういうのを私は使っている。上手にできてしまった。つまり、いま太平洋をゆっくりと日本に向かっていると思われる、Rescue Kitはとりあえず無駄になったということだ。まあいい、結果良ければすべて良しとしよう。Life Saw.jpg













そしてそして、ダボの断面を平滑に、しかも周囲の塗装面からわずかにへこませるために、ダボを叩いたり、StuMacで売っている小さなのみをつかって作業する。調べてみたら、これはアメリカのお金持ちが良く楽しんでいるデコイを作るための道具のようだ。MCT.jpgともあれ、ここまではよかった。そこそこ満足のいく仕事ができたと思う。この後が大変だったんです、、、、。

to be continued



Billがいなくなった-15 やってしまった USACG-Warmoth Tele [音楽]

Billがいなくなった-15 やってしまった USACG-Warmoth Tele


Okay.jpg
これは何をしたところかわかるだろうか?ペグを外すことなく、プロを気取ってタッチアップをしたところだ。ダボを切り、ノミで削り込んで周囲と高さを合わせ、ラッカーを数層塗りこめて可能な限り本来の塗装と一体化させた。ダボが目立つのは、横断面が木口になっているので仕方がない。想定済みなのでがっかりすることは無い。しかし残念ながらダボのすぐ近くに金属製のWarmothロゴを貼ってあったため、どうしてもサンディングと磨きがうまくゆかずに、キレてしまった私がロゴをはがしたところだ。ダボ周囲のラッカーがいまいちポリと一体化していないのだが、まあ、我慢できる範囲の仕上がりだ。しかし、意外と頑固に張り付いたWarmothロゴをはがすのに手間取り、ポリ塗装に数か所、線上の傷をつけてしまったのだ。なんということだ!だからプロ気取りはだめだというのだ。私のようなアマチュアルシアー(ルシアーなんて、なんていう良い響きだ)は、道具に頼って作業を行い、段取りを重視しして、塗装や木工作業は”最低限”というのが原則なのに。大きなため息をついて、自分の愚かさを塗装の傷ごと受け入れようとしたのが、作業に入る前の誓いの言葉を思い出してしまった。”徹底的にやる”と。これが間違いだったのかもしれない。



Sanded down.jpg
そしてやってしまった。#1000のやすりでヘッドをくまなく磨き、残った傷を完全に消そうと試みたわけだ。気合を入れてペグをはずし、本格的に塗装と向き合うことを決意した。本来の塗装がラッカーの艶消しであれば、細かいやすりで番手を上げながらどんどん磨いてゆけばいいのだが、今回は本気でグロス塗装を回復することを目指したわけだ。Warmothのポリ塗装はメイプルの木目が透けるほど薄いが、やはり角の部分や穴の部分にはずいぶんこってりと塗装が乗っており、均一な厚さにするのには時間がかかる。一部木部が出てきてしまう可能性もある、しかしやると決めたのだから仕方がない。徹底的に付き合うことにする。



Final results.jpgそれで、#1000から3種類のコンパウンドを使ったところがこの写真で、磨きは機械の力に頼った。ポリはやっぱり固いみたい。ラッカの部分だけが早く削れていくので気を使った。ドレメルと電動ドリルが活躍した。ドレメルはバフが小さめだったので、塗装にムラが入ってしまったようだ。


Final Results.jpg
その後コンパウンド入りのフィニッシュを使ってさらに磨きをかけたところなのだが、いかがだろうか。一見そこそこの仕上がりに見えるだろう。しかし輝きにムラがあったり、わずかな線状の傷が残っていたり。完璧には程遠い仕上がりだ。点数をつけるとすれば65点だ。90点は欲しいところだ。残念だが現物は写真よりも仕上がりが悪い。悲しくなってしまうので、ついついきれいに取れた写真を載せてしまうわけだ。それに、ポリの下品にギラギラ輝く感じが足りない。どうしたらよいか、、、がっかりした私はついつい全てのハードウェアを取り付けて楽器に仕立て上げて弾いてしまった。うん、やはりこの楽器の魔法は解けていない。素晴らしい音だ。ものすごく弾きやすいし、10(イチゼロ)のセットでボディもネックもフルに鳴っている。ラウンドワウンドを張る必要を感じない。弦とボディ、それからネックの組み合わせは本当に大事なのだ。木部の素材の質がさらに良ければ、、、などとも考えてしまうが、それは望みすぎというものだろう。Warmothの塗装はやや硬度が足りないように思われるが、これも期待しすぎか。このままで十分に素晴らしい楽器だと思う。

これまでにポリの仕上げは何度かやったことがある。失敗したことはなく、仕上がりは満足のゆくものだった。理由は、素晴らしい設備や経験があるということではなく、身の丈に合った材料を使ったからだ。それは、、、

http://www.minwax.com/wood-products/clear-protective-finishes/wipe-ons/minwax-wipe-on-poly

こいつだ。布でふきふきして塗りあげるだけで、美しく仕上がる。これを細かいやすりでこすりながら数層塗ることを繰り返し、最後にコンパウンドで磨けば、ほとんどプロのような仕上がりの美しい楽器を手にすることができる。仕上がった塗装面はあまり固くはないが、継時的に楽器らしい手触りに変化してゆく。黄ばんでくるのは困り者だが、これはポリであれば何でも同じようなものだ。アメリカでの楽器を手作りする人たちの間での評判も上々だと聞いている。しかし楽器の塗装に実績のあるこいつは、日本まで輸出してもらえないのだ。日本のMinwax代理店と相談してはみたのだが、らちが明かない。燃えるものはなかなか送ってもらえないのだ。悔しいがあきらめるしかなさそうだ。

それで、根性でいろいろと調べてみた。国内に同じような製品は無いかなって。そしたらあったぜベイビー!
http://www.asahipen.jp/product/detail.php?top_cat=04&cat=01&middle_cat=05&item_code=17633
しかし仕上がりがなんというか、柔らかいんだそうだ。どうなんだろうか。楽器に使ってみてよいものかどうか。

http://www.soundhouse.co.jp/products/detail/item/185490/
これなんかも結構いけるらしい。

また、これも良さそうだ。
http://www.minwax.com/wood-products/one-step-stain-and-finishes/minwax-express-color-wiping-stain-finish Wipe on polyよりも弱いが、これも結構使えるらしい。これは興味があるので速攻で輸入だ。

一方で、わが国で伝統がある ワシンニスにも、拭き塗りが可能な製品があるという。
http://www.washin-paint.co.jp/sp/product/type/oil-based/door-varnish いかにも信頼できそうな製品だ。

しかし、そんなことまでしなくっても、ポリを全てはぎ取って、勉強と思ってシェラックで塗ってしまってもいい。
塗装としての強度は大幅に劣るが、ヘッドだけなので何の問題もない。塗装の練習と思えばいいわけだ。やり直しだって何度でも効く筈だ。

ということで、徹底的にやることにした。Wipe on polyが使えれば本当に簡単に対応できるのに、結局なかなかしんどいことになってしまった。

今でも塗装のポリ被膜の厚さは十分残っている筈なので、#800くらいのペーパーから下地を作りなおして、楽しくやれそうだったら#2000くらいまで水とぎして、それでバフの処理でてかてかにすることから試みてみる。

木部の加工は深いが面白い。塗装も深く面白いが個人的には付き合いにくいものだ。双方ともに芸術的なセンスが要求されるように思う。


1.下地から作り直して磨き直し  ダメなら
2.min wax 製品を試してみる ためし塗りをして評価するが、それが
3.気に入らなければアサヒペンをやっぱりためし塗りをやって試して、本当に柔らかい仕上げになるかを自分で評価する。
4.それでもだめならシェラックを、練習だと思って使ってみようと、現段階では考えている。
やっぱり塗装は難しい。今後できるだけグロス仕上げとは付き合わないようにしたい、、、、。

興味がある人は、今しばらくお付き合いください。

Billがいなくなった-16 やってしまった USACG-Warmoth Tele [音楽]

Billがいなくなった-16 やってしまった USACG-Warmoth Tele

本当はこんな感じ。現時点での問題を全てさらすような写真を故意に撮ってみた。実物はこれよりもずっと美しく見える。
Before.jpgおそらくドレメルで磨いたときの磨きむらのようなものが消し切れていないのだ。その後羊毛バフなどを使って一生懸命磨いたのだが、むらを取り切れていない。光を強く当てれば、見栄えの良い写真は取れるが、事実は変わらず私の中に不全感が残る。一度完全に仕上げてからの傷はむしろ勲章だが、いい加減に作った楽器はやはり大切に扱う気にならない。

最後まで付き合うつもりで800番からやり直しだ。
800.jpgどうだろう、大体すべての傷が消えており、木地が見えることもなく、上手に平面が出せたように見える。満足して次の段階に。


仕上げのために、細かい耐水ペーパーを新たに用意した。今まで使ってきたのは、米国で買った3Mのブランド品で、あちらではDIV用の道具が安いので、大量に買った。それを持って帰ってきたのがまだ残っているというわけだ。大量にペーパーを買ったとき、売り場のおばちゃんがHappy sanding!といってお店から送り出してくれたことを印象的に覚えている。車の修理をする奴だと思われたらしい。まあそれはいい、耐水ペーパーのことだ。国産だと思って安心して1000番から使ってみたのだが、どうも様子がおかしい。800番が終わった面に軽く当てただけなのになんかがりがりいっている。、、、、やられた、、、、これは失敗だ。品質がきちんとコントロールされておらず、おそらく800番より荒い粒子が混ざっているようだ。こんなものは使えない。やはり耐水ペーパーはブランド物を使う必要があるようだ。そうでなければ同じ失敗を繰り返すことになる。どうなったかというと、1000.jpg
こうなった。どうも800番よりも荒い粒子も混ざっていたとしか思えない。表面が一部灰色になったりして、粗悪品をつかまされたことは明らかだ。一般的な目的で使うのであればおそらく問題がないのだろうが、少なくとも楽器の塗装面につかえる品質ではない、、、、残念だ。Amazonに評価を書いておかなければ。



ともかく、800番に少し戻ったりしたのだが、1000番でベストを尽くした結果がこれだ。おそらく600判程度まで一度戻らないといけないのではないか。浅いが荒い傷がどうしても取り切れないのだ。ペグの穴のふちにでも荒い粒がたまっているのでは、と、きれいにしてみたのだがどうもだめだった。


実はこの後、マイクロメッシュを使ってぬらさずに仕上げてみるつもりだったのだが、迷いに迷ったすえに、マイクロメッシュが届く前にとりあえずコンパウンドでどこまでやれるか、試してみることにした。
粗目.jpg車用の粗目で頑張ったところ、ここまで来た。悪くない。けっこう鏡面になってしまうのではないか?機械も使っていないのに?この先の作業に希望の灯が見える、、、。ごしごしと力を入れてコンパウンドでこするのだが、さほど疲れるわけでもない。コンパウンドを大目に使うのがコツ、と聞いたが、ペグ用の穴に入れてしまわないように気を使った。


それでより細かいものにコンパウンドを変えてみると、、、
中目.jpgここまで来た。鏡面への道をゆっくりと進んでいるようだ。











それで、仕上げ用のコンパウンドを使用してみる。細かめ.jpg








むむう、素人のポリ鏡面仕上げだとこんなものだろうか?この辺で妥協するしかないのか?いやいや、あきらめずにクラギ用のコンパウンドを使ってみる。そうすると、、、Finish.jpg






そしてこれで良しとした結果がこれだ。Finish2.jpg羊毛バフも使ってみたのだが、結局使わない方が仕上がりが良いことがわかり、ハンドバフをもう一度やる必要があった。プロの方は笑うだろうが、ラッカーでなくポリのグロスフィニッシュを仕上げることは初めてで、なかなかムズイことがわかった。家人に見せてメーカーが仕上げた部分と見かけで区別がつかないことを確認して作業を終えた。時間は有限なので、このあたりで許してもらうことにしたい。私の心も”これで許す”といったような気がした。マイクロメッシュはこの件に関しては無駄になったがそのうちまた役に立つこともあるだろう。

アメリカの人たちは、問題を解決するために様々な道具を発明するので、我々もその恩恵にあずかることができるのだが、我々日本人は、やはり器用で勤勉で道を極めようとする性質があるためか、根性で大体同じレベルに達することができるようだ。今回の仕上がりがものすごく良い、というわけではないことはわかっている。

今回、塗装の仕上げ作業を通してわかったことは、、、、
ラッカーはきちんと盛り上げてすべての面で水平面より高くなるようにすること。
ラッカーは乾燥が進むと縮むので、それを計算に入れて厚めに塗装すること。
ラッカーは完全に硬化するまでに時間がかかるので、じっくり待つこと。
固いと言われているメイプルでも、爪でアタックすると結構へこむこと。
耐水ペーパーはブランド物を使う方が無難なこと
手で磨く力は意外と強いこと
塗装に手抜きは通用せず、手を抜けば必ず結果に反映されること

などを学ぶことができた。人生何でも勉強だ、と思った。

楽器をくみ上げてみると、今度は明らかに音が少し変わった。エレキもずいぶんと微妙な部分のある楽器で、なかなかバカにできないな、と感じた。

今回の経験で、どうすれば完璧な仕上げができるかなんとなくわかった。課題は、
どこの耐水ペーパーがベストか
何番まで使うか
水とぎするかどうか
ペグに入ってしまったコンパウンドをどうするか
どんな布で磨くのが良いか(今回はティッシュも活躍したが、塗装に対する攻撃性は結構強いので仕上げには望ましくない)
などなど。またばらしてやり直すかもしれないが、ネジ穴がバカになるのが怖いので可能性は低い。
経験値の高い方、いろいろとご教示いただけると幸いだ。


いろいろあったが、このTeleが、私が今一番手にする時間が長い楽器だ。お金はあまりかけていないし、いわゆるパーツキャスターで、ブランド性も全くないのに、これが本当にお気に入りだ。Warmoth Wideneck Telecaster2.jpgこれが全景なのだが、寄ってみるとよくわかる。ネックの幅がものすごく広いので、PUのポールピースぎりぎりに弦が乗る感じだ。それでも音を拾うことには問題はない。Warmoth Superwideneck Tele.jpg

これをいいと思うか悪いと思うか、人によってさまざまなのではないかと思うのだが、ネックのポケットに入る部分を通常のネックと同じ幅に削り込んであり、その外側に指板が僅かに突き出しているという構造だ。つばだしの22Fというのは日本人の発明として有名な構造だが、これを発展させたような構造をとることによって、スタンダードなテレにワイドネックを乗せることに成功している。USACGはワイドネックを作るにあたって異なるアプローチをとっており、ネックは指板からポケットに入る部分まで全て同じ幅である。つまり、ボディのポケットは、ワイドネック用に特別幅広く掘ってあり、ワイドネックを一般的なボディにつけることは不可能だし、また、PGも専用のサイズに加工しなければならない。このWarmothのポケットを見てほしい。一目見れば私が何を言いたいかわかるだろう。Pocket.jpgどちらが良いかは別として、このギターはフィンガープレイ用のエレキとして、本当に秀逸で、フラットワウンドの弦を張らなくってもJazzyな音を出すことができる。毎日スバラシイ時間を過ごさせてもらっている。

また弄り回すようなことがあれば、追記したい。






Bent Pickguard [音楽]

Bent Pickguard

WarmothのPGが気に入っている。例外的に購入したストラトを少しでも軽くするために、やや特別なPGをOrderした。PUが一つ、V一つ、それ以外は何もなし、というものだ。通常、Warmothにお願いすると、なんと25ドル前後で作ってくれる。おかしなものをお願いすると間違った製品が送られてくることが多いが、連絡すればきちんと対応してくれる。PGは一枚の板なので、郵便のようにして送ってくる。それで問題となったことは今まで一度もなかったのだが、今回は運が悪かった。送られてきた封筒が、派手に汚れかつ曲がっているのだ。ポストに入りきらない感じで、帰宅した私を待っていた。取り出してみると、、、これを見てほしい。
Bent PG.jpgこんなんなっている。
お客さん、ここ笑うとこです。

それで、これを戻そうとしていろいろとやってみたのだが全然だめ。仕方がないのでカスタマーサービスに連絡をしてみた。すると、”すぐに作り直すぜベイビー!”というお返事だ。(表現はちょっと盛ってありますが)それで、”これでいいかい?”と、仕様を書いた紙をPDFで送ってくれた。しかしアメリカの会社ではよくあることなのだが、これが間違っているわけだ。デジタルな情報を送ってあるので、間違うはずがないのだが、それでも間違ってしまうのがアメリカの会社の面白いところだ。

”ちょっと違うよーん””こんなのが欲しいんだよーン”と送り返すと、”分かった分かった””じゃあこれでどう?”という素早いお返事だ。今度はきちんと合っているようだ。こんなやりとりに3日ほどかかったが、これからすぐに作り直して送ってくれるという。やはりWarmothはアメリカ企業としては例外的に素晴らしいサポートのシステムを持っているといってよいだろう。

というわけで、今度は曲がっていないPGを心待ちにしている私である。

PGは曲がっていたが、それでも I still love Warmoth
である。


PG-new.jpg
来た来た。けっこう待たされたけれど、ようやく来ました。箱で送るって言っていたのに、懲りずに厚紙の封筒に入って送られてきた。表面が多少汚れている以外は、全く問題ない。封筒から出してみると、、、おお、これはいい。ちゃんとしている。表面にOrderシートが張ってあり、仕様通りに作ってある。曲がって送られてきたものはけっこう傷だらけだったが、これは丁寧に作ってあるようだ。これならいい。許す。

あとはBillLawrenceのPUが届くのを待つばかりだ。Billはいなくなってしまったので、結構お年寄りの奥さんのBeckyが娘さんたちと一緒に頑張って作ってくれるのを待つしかない。急ぐことはないので、まったり待とうと思う。あと1か月くらいはかかりそうだ。