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A long way to find a good classical (type) guitar. 1 [音楽]

A long way to find a good classical (type) guitar. 120140526_06[2].JPG

I have been experiencing whole bunch of difficulties in finding a good classical guitar for the last two years, I do not know why. To comfort myself, I would write what has been happening for the last a couple of years. This is a story of my quest for a good classical guitar.

I have been playing the guitar over the last 3 decades, mostly jazz and popular music. I am currently nothing but an amateur weekend musician. I mean, not a great player. When high school student, I had an opportunity to work with a local professional folk musicians and I was able to play in one of their recording sessions. I wanted to become a professional musician but I was indecisive and finally gave up working with them. I did not drop out from my high school. Probably it was a good choice, I guess. At which time, I was pretty good guitar player as a high school boy, but mediocre player thereafter with slow progress.

Recently I found how fascinating classical music is. Too late, huh? There is basically no ad-lib part: however, even so, you can find lots of space in classical pieces to express your personality. It’s like enjoying freedom within limited space. The space is not infinite like jazz music. For people -including myself- who feel comfortable to keep things in order, classical music may be your choice. I bought a hand-made classical guitar more than 2 decades ago to play popular / jazz music, which still gives me lots of fun, however, recently, I found the neck of the guitar got twisted after two decades of abuse and probably due to low humidity. I thought it was time to find a new classical guitar to study classic music seriously. I mean, it’s time for hunting!


Most people who love guitars want to buy multiple instruments like myself, right? If you have a Strat, you might want a Tele. If you have a few Fenders, you are probably interested in buying some Gibsons, etc. As you know, people call an impulsive emotion to buy guitars as a “guitar purchasing attack (GPA)”. Of course, I suffered from GPAs many times myself. You do not know when and how GPAs hit you. It happens suddenly and unexpectedly. No Dr. can fix GPAs as far as I know. Some would enjoy GPAs, others try hard to control GPAs. In my terrible case, I have bought several guitars (my wife hates this, really) and making this difficult situation worse, I’ve built several electric guitars. Actually, all of them are Telly. It’s a big fun to buy bodies, necks, pickups, and stuff like that. I talked to people at Warmoth, USACG, and more. The more you get information and experience, the better the quality of your hand made guitar get. You do not want to buy another Fender / Gibson after making a few electric guitars. However, making acoustic guitars requires lots of expertise. It’s virtually impossible to build a high quality acoustic guitar without education / experience IMHO. Classical type guitars are, definitely the most difficult type of guitars to build. You have to ask luthiers to get a classical guitar with specific option to your specific needs. You can not build it if you are not a guitar building genius. Obviously and unfortunately, I am not. So I decided to find a good local luthier in Japan to get the last and the best classical guitar in my life. At this point, my wife got obviously unhappy. I promised her to buy whatever she wanted to calm her down,,,.

You think it’s easy to find a good classical guitar, probably. You go to a local guitar shop, play some guitars, find a good one, pay several grand or somethimes more if you are rich, and that's it. Yes, indeed. I totally agree. That's the way I bought gutiars before. However, unfortunately, things did not go smoothly like that in this case. My guitar teacher (oh, yes. I found a classcal guitar teacher. I am pretty much serious about studying classical guitar.) kindly tried multiple classical guitars suitable for me when he went to a local guitar shop for teaching. He recommended some luthiers on my lesson day. I started from there. I tried Nagasaki, Kohno, Sakurai, Ono, Nejime, and some other luthiers. All of them were pretty good, but I did not fall in love with any of them. There should be some kind of chemical reaction between guitars and yourself when you buy a guitar, right? If you do not fall in love with a specific guitar, you probably should not buy any. You should wait until you find a special one, specifically made for you. This is what I think. You need to "meet" your guitar somehow. So I went to different guitar shops. This was the very beginning of my quest.

-to be continued-

タグ:classical gutar

USACG Tele Practice Guitar 7 -Potensiometer- [音楽]

USACG Tele Practice Guitar 7 -Potensiometer-

実際にやってみた人はわかると思うのだが、USACGのテレボディにあいたキャビディはかなりタイトだ。キャビディに特殊な回路を組み込もうとしたり、電池を入れようとしたりすると、えらい目に合う。おそらくオリジナルに倣った深さ~大きさということなのだと思うが、それが常にいいことなのかどうか、疑問がないわけではない。その点Warmothのキャビディはやや広めにざぐってあるため、多少の無理は聞いてくれる、というか、多少のモディファイをしてもそのまま使うことができることが多い。どちらがいいということではないだろうし、キャビティ大きさの僅かな差異が音に反映されるとは思わない。しかし実際に楽器をアセンブルする際は僅かな差が大きな意味を持つことがある。

Tocos.jpgこれが私がいつも愛用しているTocosの製品なのだが、密閉型で埃は入らないし、耐久性はあるし、回し心地は好いし、とにかく最高だ。オーディオであろうが楽器であろうが、Potが必要となれば私は必ずこの会社の製品を使うようにしている。直径は24㍉と記載されている。軸は6㍉だと思う。

不幸にして、USACGのテレキャビディ(ホットドッグ型と称するらしい)には、私の愛するTocosはぎりぎり入らない。(WarmothはOK)Potをやすりで削って、、、、とか、キャビティをルーターで加工して、、、とか、かつていろいろと考えてみたのだが、それはしないことにした。前回のUSACGのテレボディには、、世界標準のPotである、CTSを使った。これはTocosのものより僅かーに幅が狭いため、なんとかキャビディを加工することなく、ぎりぎりおさめることができるのだ。CTS.jpgこれは世界標準で安心感があるが、造りは結構いい加減で埃も中に入ってしまうし、回し心地もTocosの様に”快感”というほどではない。しかしそれでも十分許容範囲で高品質だと言えよう。軸の直径が6.3ミリであるため、つまみはインチサイズのものを用意する必要がある。

今回、キャビディのシールディングのやり方を変えたところ、(導電塗料の塗装をしたうえに銅箔を張り込んだ)このCTSでさえキャビディに収めることができなくなってしまった。さあ、困った。CTSをちょっとだけゴリゴリ削ってみた、、、、むりをしてぐりぐり押し込めば、おさまらないことはないが、しまった、これをやると導電塗料が剥げてしまう、、、これは許せない。却下だ。それでいろいろと探してみた。

まず、最初に試したのはTocosの直径16㍉のもの。Tocos2.jpg写真はステレオ用の2連のものであるが、ギターに使うのはもちろん1連のものだ。これは性能的には申し分ないし、回し心地も最高なのだが、軸の径が細すぎて、パネルの穴に固定することができない、、、、あきらめるしかない。つまみも小さなものしかつけることができないし。

そして次に採用しようか考えたのがこれ、Alphaのものだ。Alpha.jpgこれは小ぶりでオープンで、埃を防ぐことはできないが、安い割によくできた製品で、十分な品質を持っていると思う。やはり軸がやや細目であることが玉に瑕なのだが、使えないことはない。Alphaはかなりメジャーな存在であり、様々な楽器に採用されている。私の知る限り、日本製、台湾製、韓国製があるようだが、私は根性で探しまくって日本製で、かつシャフトにスリットが深く入っていないものを手に入れた。歩きすぎて健康になってしまったよ。暫定的にこれを使うこととして、それでもその後より良いPotを探し続けた。しつこいやつだな、オレ。

いろいろと調べてみると、なんとTocosのPotには、24㍉と16㍉のものに加えて、少なくともカタログ上は20㍉というやつがある。これだオレが欲しいのは!さっそくTocosに連絡を取ってみた。ワタシは行動力だけはいつでも旺盛なのだ。しかし残念なことにTocosにも在庫はなく、代理店を通して特注してほしいという。20㍉のものは、ほとんど使われないのだそうな。どんどん連絡を取ると、2-3件目に連絡した代理店さんは、個人注文であっても特注を受けてくれるという。素晴らしい!必要なのは500㌔のAカーブというやつで、1か月も待てば作ってくれるとおっしゃる。これはありがたい!しかし最低10個は買って欲しいとのこと。まあそれはそうだろう。2個作ってくれ、なんて言えるわけがない。Tocosは非常に良心的な会社だと思った。それでニコニコと笑いながら見積もりを出してもらうと、、、、10個で約二万円とのこと。一つ2000円だ。特注なので悪くない値段だと思うのだが、さすがに10個はいらない。楽器をあと5個作るつもりはない。それでしばらくどうするか考えることにした。

様々な手段を使って日本中を調べまくると、なんと、福井県にTocosの20㍉のものの在庫があるというではないですか!しびれた。喜び勇んで値段を尋ねると、700円だという。素晴らしい!Bカーブであるという以外は私が必要としているものそのものであったため、(おそらく死蔵された古めの在庫だと思うが、Tocosの製品であれば大丈夫だろうと踏んだ)少し考えて、無駄になってもいいから買うことにした。軸受けの太さも24㍉のものと変わらないし、Bカーブだって、慣れれば使えないことはないだろう。それがこの写真だ。Tocos3.jpgなかなか可愛い形をしている。軸の回転は、封入されたグリスが固まってしまったためかやや硬めだが、まごうことないTocos特有の高級な触感だ。これで一つの山を乗り越えることができた。あー、疲れたでしょう。お金をあまり使わずに、ずいぶん楽しい目に合うことができた。

これを使って、さらにこの楽器のアセンブルを進めていきたい。またなにか問題が勃発するだろうか?楽しみだ。

USACG Tele Practice Guitar 8 -Electrosocket and PG- [音楽]

USACG Tele Practice Guitar 8 -Electrosocket and PG-

今回のボディも、今まで通りElectrosocketを使ってくみ上げる予定だ。これは優れもののパーツで、テレの弱点である、スチールのプレートを無理やり木部に突き刺して固定するという”漢らしい”アウトプットジャックの構造的な欠陥を、木部の加工なしで解決するというパーツだ。取り付けには、局面に斜めにねじ穴をあけるというやや難しい加工を要するが、慣れてしまえばどうということもない。まずはジャックのための穴とソケットのフィッティングから開始しよう。

以前にも書いたような気がするが、ジャックホール?には大量の塗装がたまってしまっていることがほとんどで、塗装を削ってあげないとソケットはフィットしない。鉄のやすりで削ってみたり、円柱の木材に紙やすりを貼り付けて削ってみたりといろいろと試してみたのだが、(StuMac のDanは、鉄のやすりで対応しているようだ)結局大き目のリーマで最小限塗装をはがすのが簡単でしかも仕上げが美しい、という結論に達した。Output Jack.JPGこんな感じで塗装が厚く乗ったジャックホールにリーマ.jpgぶっといリーマを優しく差し込んで、ゆっくりと左右に回して最小限の塗装を削り取る、というわけだ。この時に注意することは、きれいにまんべんなく塗装を削り取るためには、力を入れずにリーマの刃を意識してゆっくりと回すことと、数回に一度、右手を持ち替えて少しずつリーマの”あたり”を変えてゆくことだ。これをしないと、なんだか多角形みたいなかくかくとした穴になってしまうことがある。けっこうたくさんの塗料を削り落とさないといけないことにわれながら驚く。新聞の内容には全く意味はない。それで、丁寧に加工を進め、きっちりと穴にフィットさせることができた。Electrosocket.jpgこれは時間さえかければ難しいことは全くない。

問題はこの後の穴あけだ。ボディを足で挟んで、細目のドリルを使って穴をあけるのだが、2段階で作業することを勧めたい。まずはキリのようにとがったもので位置を決めてやる、もしくはすごく細いドリルでガイディングホールをあけることが望ましい。それを済ませてから、おもむろにねじに合った最小限の穴をあけてやる。ソケットを装着したままで現物合わせて穴をあけるのが失敗しにくいように思われるのだが、ソケットは比較的柔らかいアルミでできているため、ドリルで削ってしまわないように最大限の注意を払う必要がある。

角度と深さが最適になされれば、固定用のねじくぎはかなり深い位置で落ち着くのであるが、お分かりいただけるだろうか。無題.png向かって右のねじくぎは、最も望ましい部位に穴をあけることができたため、ばっちりと決まって100点なのだが、向かって左のものは、ごく僅かーにずれてしまったようで、98点のできだ。力ずくでさらに深くねじ込むことは私はしない。また、写真の撮り方のためソケットが斜めっているように見えるが、実際はばっちり真横につけることができている。念の為。仕上がりは、伝統的なテレとは違うけれど、機能美にあふれていると思うのだがどうだろうか。機能的なものは全て美しい、というのが私の持論だ。ソケットの素材が柔らかいため、購入して手元に届いたものはすでに細かい傷がついていることが多いのが気に入らないが仕方がない。例外なくこすったような細かい傷がついている。さて、これが終わるとひと段落、という気がする。PGの加工に移ろう。

このギターのネックは標準サイズではないため、ネックポケットも通常のテレと比べて幅広になっている。だからPGも通常のものを使うことができない。私はWarmothにorderして作ってもらうことが多いのだが(実は送料もかかるしけっこう割高だ。通常のサイズで良いなら、国産のものを手に入れることをお勧めする。まめに探せば、Fenderに準拠したスペックで、完璧に加工された新品が1000円も出せば購入できる、ということを最近知った)今回は特別仕様なので、レギュラーの製品を購入してネックポケットを自分で加工するしかない。

どこかで書いたような気もするのだが、USACGがお勧めするPickguardianというサイトでPGをorderしようと連絡を取ってみた。”すぐやるよ”というのだが、待てど暮らせど連絡がこない。結局"USACGがテンプレートをくれないからできない"という話になってしまい、私が欲しいPGを手に入れることはできないことになってしまった。それで、手もとに転がっていたWarmoth製のPGを加工して使うことになった。私はWarmothが作るPGの材質が気に入っており、折々に買って数枚ため込んでいるのだが、それを有効に活用しようというわけだ。

どこかのプロも書いていたが、PGの加工は手でやることはあまりお勧めしない。なんとなく野暮ったい手作り感満載のしあがりになってしまうのだ。どうしてなのだろう。ルーターを使って加工し、その後やすりなどであまり手を入れずにボディにねじ止めする方が最終的には見栄えがするのだ。不思議だが本当だ。それで今回も、テンプレとルーターを使って加工することにした。PG.jpgこんな感じだ。ルーターの使い方には慣れているつもりなのだが、プラを扱う時には2か所でクランプするのが基本だ。だって素材があばれやすいからね。この写真でわかるように、私は基本をおろそかにした。それで、あまり書きたくないのだが、ルーター加工を失敗して、テンプレと机を削ってしまい、PGを一枚台なしにしてしまった、、、Oh my God、、、しかしこれは身から出た錆というべきだろう。それで基本に戻って、仕上がりは多少悪くなってもいいから大きな失敗は起きない手作業でPGをしこしこと加工することにした。悲しかった。PG2.jpgシールディングももちろんやり直した。今回は銅箔の張り込みを必要最小限にしてみた。あまり見栄えはしないが機能的にはこれで十分のはずだ。
PG3.jpgPUを取り付けるとPG4.jpgなかなかいいバランスだ。最終的にはPG5.jpgBody.jpgこのような仕上がりとなった。穴あけの位置決めを確実にこなすためのジグを手に入れたのだが、これはマニアックな話なのでそのうちまた暇なときにでも報告しようと思う。穴をあけて、穴の周りを丁寧に面取りして、ムリせずゆっくりとねじくぎをいれ、おのおののパーツを固定した。

前回指摘したように、キャビディがタイトなので、全てのパーツを装着してから穴をあけることをお勧めしたい。そうでないと、後でパーツがおさまらずに大変なことになる。経験済みだ。USACGのパーツは、けっこうシビアな設計となっているので、全てをそつなくこなすプロ向きだと思う。わずかな狂いとか、遊びとかを許容してくれる範囲が非常に狭いのだ。その点Warmothの製品はある程度の遊びを許容する設計となっているように思われる。アマチュアに優しい仕様になっているようだ。どこまで考えてやっているのか、故意にそうしているのかどうか、本当のところはわからないが、何度も楽器を作ってみればだれでも実感するだろう。個人的には、ネックはやはりUSACGの製品を選択したいが、Bodyに関しては迷うところだ。vintage仕様ならUSACG、そうでなければWarmothを選択するかも。

とろりとした金メッキの艶が魅力的なボディの写真を楽しんでほしい。この写真には実は大きな”問題”が写しこまれているのだが、わかるだろうか?これだけ見てそれに気がつくようなひとは、相当のテレマニアだ。暇な人はちょっと考えてみてほしい。この写真では、一見完成されたボディのように見えるが、内部の配線はまだ行っておらず、全ての配線はブラブラだ。残された工程はあと僅か。楽しみながら進めてゆきたい。


USACG Tele Practice Guitar 9 -Shielding and Nut- [音楽]

USACG Tele Practice Guitar 9 -Shielding and Nut-
Cavity2.jpgシールディングに関しては、結構苦労してきた。アルミを張り込むのは見かけが安っぽいのでちょっと気に入らない。銅のテープを張り込みたいところなのだが、最近売られているものは薄っぺらいテープが多く、10年ほど前によく売られていた結構厚みのあるものはなかなか手に入らない。薄いとぺなぺなとしてしまって、きれいに張り込むのには手間がかかる、、、。

導電塗料を塗れば簡単じゃあないか?と思ったのだが、ボディの表面をきれいに塗るのがなかなかの手間だ。きちんとマスキングテープを張り込んで、何度も塗料の塗装に挑んだのだが、どうしてもきれいな曲線や直線が出ない。修正をする方法は身に着けたのだが、それでもどこか素人くさい、泥臭い仕上がりになってしまうのだ。許せん。気に入らん。

それでたどり着いたのがこの方法だ。

まず、キャビティの底面から側面にかけてたっぷりと導電塗料を塗りこむ。キャビティのふちまではなかなかきれいにぬれないので、ぎりぎりまで攻めない。それで、これを2-3回繰り返して、十分に乾くまで待ち、側面だけを銅箔テープで仕上げるというわけだ。実際の写真は、ふちの直線を出そうと奮闘して塗料を塗って敗北した後なので、あまり美しい仕上がりとはなっていないが、まあ許容範囲だろう。修正は上記のように十分可能なのであるが、今回はあまりこだわらないことにした。許してくれ。敗者復活戦はなかなか気合が入らないのだ。これを全てのキャビディに行って、各々をコントロールパネル、ブリッジプレート、それからピックガードを介して電気的に結合すれば、立派なシールドの完成だ。(この写真にリアPUのキャビティから出した”ベロ”が写っているが、幅と長さが美しくないので完成前に少し細く短いものにやり直した。どうも黄金比のような、かっこよく見える比率があるようだ)次に楽器をアセンブルする機会があれば(もうやめようと思っているけれど)この知識を経験を生かしてより美しい仕上がりを期待できるだろう、たぶん。Electrosocketの周囲は例によってきちんと塗料を塗りこむことが困難なので(やってみればわかる)、無理せずにシールド線を使って凌ぐことにした。これでシールドは理論的にはほぼ完璧だ。アースはボディにラグをねじ止めして落としても良いのだが、頭をひねってコントロールパネルに落とすことにした。この方が簡単だし合理的だし、シールド効果は同じはずだ。”合理的”というのはFenderが作った楽器に一貫していることなので見習うことにしたわけだ。後々中身をいじるときなどにもその方がやりやすい。全体として、一応、オーディオの世界でうるさく言われる一点アースの形になっている。これでハムノイズとはほぼ完全におさらばできるだろう。最近アセンブルした楽器は全てこの方式を採用しているのだが、例外なくうまくいっており、ノイズの多いシングルアンプ(真空管)を使っても、ハムが気にならない。高音域が失われて物足りないようなこともない。さて。

次なる仕事はナットとセットアップだ。これは真剣に向き合おうとするとなかなか手ごわい仕事で、やりがいがある。まだまだ勉強中、といったところた。あまり時間がないが、ざっと書いてみようと思う。しかも今回の楽器はクラギの夜間練習用、という役割を負っているので、クラギに準じたセットアップを心掛ける必要がある。つまり弦高高め、幅広目、弦太目ということだ。10から始まるフラットワウンドを張るつもりだ。経験的に、Fenderスケールのエレキにこれ以上太いフラットワウンドを張ると、指は痛いしネックはそるし、とてもじゃあないが弾きたくなるような魅力的な楽器にはならない、個人的には。だからなんとかしてあ指に負担をかけないような設定にしないとダメなわけだ。弾き心地が悪いと、結局その楽器を手に取ることがなくなってしまう(経験済み)。それでは元も子もない。だからテンションを緩める工夫をすることが必要だ。とにかく作業を始めてみよう。

Nut1.jpg最初の仕事は、ネック材に刻まれたナットスロットのお掃除だ。結構な量の塗装がここに入り込んでおり、このままナットを乗せても平面でネック材と接することにはならないので、いい音になりようがない。だから小さなのみを使って必要のない塗装をしこしこと掃除する。これをやりたくって、わざわざ高いお金を払って、StuMacから”のみ”を輸入した。他に売っているところがないから仕方がない。これはどうももともとはデコイかなんかを作るための道具のようだ。力を入れず、木部を傷めずに塗装だけを削り取るのはなかなか難しい、しかし結構楽しい。この作業に没頭して結構きれいにすることができた。その後、Nut2.jpgナットブランクの幅を調整し、スリットにぴったんこに入るように調整する。ナットはいつもの無漂白の牛骨だ。ここまでは全く難しいことはない。時間をかけて丁寧にやりさえすればいいのだ。さて、次に進もう。この先からある程度の技術を要求される作業段階になる。

次にナットブランクに指板のRを写し取る。それからフレットの高さ、さらにフレットから弦の下面までの高さ(ざっくり0.5㍉位)を足して、さらに多少の余裕を見積もってRをそのまま上にずらして、鉛筆で線を引き、その線に沿ってナット材の荒削りをする。上記の理由でいつもより高さに余裕をもって下書きをする。実際はちょっと高すぎて無駄に手間がかかってしまったのだが、それはまあいい。低すぎればその瞬間にそれまでの作業が無駄になるわけだから。Nut3.jpgこんな風にざっと計算し、鉛筆でできるだけ滑らかな線を引いて、数種類のやすりでごしごしして、削る、削る、また削る。Nut4.jpgそれでNut5.jpgナットのラフな原型を作るわけだ。

ここまで来たら、ナット製作に特化したバイスにナットを傷つけないように挟み込み作業を進めることをお勧めしたい。作業能率が違う。最終的な仕上がりが違う。爺になって目が悪くなってきたので、私は時々、おでこに取り付けるルーペを使う。”だろ勘”の作業は、厳に慎むべきだ。そしておもむろに、StuMacで売っている優れもののスペーシング用ルーラーを使って弦の溝を掘る場所を決める。これはものすごい大事な作業だ。こうやって客観的に書いてみると、これまでずいぶんStuMacにお布施を払ってきたことが明らかになる、、、しかしそれはまあいいことにしよう。このルーラー、何が優れているかというと、細い弦の間隔は狭く、太い弦の間隔は広めにとってあることが素晴らしい。難しい計算をすることなく、自然な弦の間隔を教えてくれるのだ。実際にやってみるとわかるのだが、弦の太さを無視して間隔を全く同じにとってナットを作ってみると、なんとなく弾きにくい楽器になることは請け合いだ。なんというか、左手が嫌がる感じ。そのうちにひかなくなること請け合いだ。しかしこのルーラーを使って弦のスペーシングをしさえすれば、左手が笑って喜ぶような夢のようなナットを作ることができるのだ!だからこのルーラーは、趣味でたまにしかやらない人であっても購入する意義があると思う。この製品が売れても私は一銭も儲からないけれど。こんな具合に使う。決して上下を間違えてはいけないよ!Nut6.jpg

それから、この先は、青いギターを作った時にも書いたけれど、シックネスゲージとジグを使ってナットに掘った溝を少しずつコントロールして削りこむ作業にうつる。やすりはナット製作につかう専用のものをお勧めしたい。今回、3弦が巻き弦を使うことを想定したので、0.02というStuMacやすりを使ったのだが、なんとこのやすりのゲージが狂っており、倍近く幅広い溝が掘れてしまった。途中で気が付いたから良いものの、時間をかけて仕上げつつあったナットを”飛ばして”しまうところだった。6つの溝のうち、一つでも使い物にならない者を掘ってしまうと、そのナットをあきらめなければならない。そこがナットづくりの恐ろしくも厳しいところで、失敗が許されないミッションなのだ!まあ、多少のごまかしは利くけれどね。それで、このナットのことなのだけれど、StuMacに相談してみたところ、”すぐに新しいものを送ります”とのこと。相変わらず素晴らしいサポートだ。その後届いた新しいナットファイルは完璧な製品で、ゲージもきっちりとあっている。最初に買ったものは、間違えて幅が広いファイルを売ったのだろう、というのが正直な感想だ。まあいいか。ともあれ、ナットはなかなか上手にでき、弾き心地も満点だ。

1フレットの弦高は、1弦から、0.35-0.35-0.5-0.5-0.6-0.6とした。インチ法にはなかなか慣れることができないため、私は今でも㍉で測っている。だって感覚的に分からないんだよ!また、ナットのボディ寄りの部分はシャープでなければいけないが、ヘッドに向かうにしたがって溝をさらに深くして弦とナットとの接触をナットの幅の大体半分になるくらいに設定している。わかっていただけるだろうか?こうすると、音が変わるという説もあるのだが、それは私にはいまひとつ実感できない。しかし一方でテンションが大きく変わることはものすごく実感している。こうすると、テンション緩めの指にやさしく弾きやすい楽器になるのだ。不思議だが本当だ。ナットの幅いっぱいに弦を接触させたときと比べると、指に対する負担が大幅に、主観的には半分程度になるくらい減るのだ。これを知ったおかげで、太めの弦を張っても指が疲れない楽器を作ることができるようになった。結局12フレットでの弦高は、1弦から1.1-1.2-1.35-1.5-1.6-2.0という結果になった。これでバズは出ないし、大変弾きやすい。レリーフはほぼゼロ、ものすごくまっすぐなネックに調整した。ビビるようなら多少ロッドを緩めてやればいいのだ。巻き弦は半分くらいナットに沈め、プレーン弦は直径よりやや深めに沈めることにした。口で言うのは簡単だが、実際にやってみるとこれもなかなか難しい。それから、とんがった部分や、鋭い全ての部分をすこしだけ丸めて、ナットの制作は完了とした。90点くらいの出来だ。暇なときにコンパウンドで磨いてピカピカにしてやるつもりだ。

ナット製作の奥は深い。軽い弦を張っているときは、とにかく力で抑えこんでしまえばよく、ごまかしがきくのだが、太めの弦を張った時はナットの加工精度が大きくものをいい、弾きやすい、弾くこと自体が快感になる楽器になったり、テンションが高すぎてとても弾く気にならない楽器になってしまったりするのだ。こんな小さなパーツなのになんと重大な使命を帯びているのだろう。また、今回はナットを上から見てわずかに矩形にする、という試みを行った。クラギの真似をしてみたのだ。6弦側がやや細く、1弦側が太い、という設定で、1弦側からナットを滑り込ませると6弦側に届く寸前にピタリと止まるという寸法だ。今回は何故か、普段の行いがよいのか、一発でびしっと決まった。まぐれまぐれ。唯一の欠点として、ナットの素材が0.1㍉ほどナットスロットよりも短いのが玉に瑕だ。売っていた規格品のナットブランクがネックの幅と比較してわずかに短めだったので仕方がない。アメリカ系の文化の中でスタンダートではないことをしようとすると、たいていこうなる。仕方がない。

グダグダと内容の薄いことを書き連ねてしまった。ともあれ、自分の持っている技術を確認しがなら、理屈をこねまわし、楽しんでナットを作って、製作は順調に進んでいる。

USACG Tele Practice Guitar 10 -Circuit and Final Touch- [音楽]

USACG Tele Practice Guitar 10 -Circuit and Final Touch-

 ずいぶん間が空いてしまったが、始めてしまったので終わりまで書いてみよう。この楽器は実際にはとっくに完成しており、すでに私の毎日の音楽生活に欠かせない相棒になっている。特殊な設定を施したエレキであるため、組み上げにはいろいろと苦労したが、夜間はクラギの代わりに役立ってくれている。弦高が低いこと、弦が固く柔軟性に乏しいこと、ボディがクラギと比較するとずいぶん小さいのに結構重いこと、などなど、クラギとの違いはたくさんあるのだが、私の場合はいわゆるサイレントギターよりもこの方が断然いいようだ。例えばナットなどの一部の仕上げなど、なかなか精神的に余裕がないので詰めていない部分もあるのだが(ナットの高さを弾きながら少しずつ落ち着かせてOptimizeしているので、不要になった部分を削り落として全体を滑らかに成形する必要があるのだが、失敗の許されない細かい作業で時間がかかる)、実用上支障がないのでついついそのままにしてしまっている。ともあれ、手短に紹介を。
P7191010.jpg
 これが今回の楽器の”内臓”だ。フロントにハム、リアにノイズレスではあるがシングルPUを乗せているので、ポットの抵抗をどうするかが問題だ。250Kでいくか、500kでいくか。375kという手もあるらしいのだが、結局フェンダーの回路をなぞらせていただいた。つまり、抵抗をかませて、シングルには見かけ上250k、ハムには500kのポットを繋いだ。具体的な回路を知りたい人は質問を。回路を組み上げて実際に音を出してみると、聴感上はこれで問題ないようだ。フロントであれリアであれ、きちんとテレの音がする。ただしフロントとリアの音量にずいぶん違いがあるので、フロントを大胆に下げてリアを上げる必要がある。また、いろいろと考えてはみたが、この楽器にはボリウムを絞った時の高音の劣化を防ぐR-Cを使ったバイパス回路はつけないこととし、シンプルにC一つだけで決めてみた。パーツは全て、真空管の製作に使うための、耐圧が高く、音が良く、品質が安定しているといわれているものだけを選んだ。また、これは趣味の楽器なので、見栄えが”かわいい”ものを選択したつもりだ。写真に写っているちょっと変わった形をしているポットが、今回苦労して手に入れたものだ。このサイズであれば、タイトに彫り込まれているUSACG Teleのキャビティであっても、余裕をもって無理せず収めることができる。こんなことは、実際にパーツを購入してみなければわからない。だってWarmothのボディであれば、余裕でワンサイズ大きなコスモスのポットが入るんだから。やや複雑な回路を内蔵させる余裕も十分にある。私はCTSのオープンタイプのPotが今一つ好きになれないので、これ(小ぶりなコスモスの存在)は素晴らしい発見だ。古い在庫を探し出して手に入れたため、回転がやや渋くはあるが、さすが東京コスモス、雑音とは無縁で高級感あふれる回し心地だ。ちょっとだけ力がいるのでボリューム奏法には向かないけれど。また、ポットの軸がやや長いため、つまみがコントロールプレートから僅かに浮いてしまっているのだが、これもそのうち気が向いたときに対応しようと思っている。(プレートとノブの距離は、名刺一枚分くらいのギリギリがカッコイイと思う)

全景.jpgボディ.jpg
ややピンが甘いが、これが完成した楽器の全景だ。少なくとも二つ、この写真に”問題”が映り込んでいるのだが、分かるだろうか?これも気力が充実したときに修正するつもりではあるのだが、いつになることやら。しかし全体的な雰囲気はとてもよく、個人的にはなかなかいけていると感じている。ボディと比較してものすごく太いネックに注目してほしい。弦の間隔は、私が20年以上愛用しているクラギと完全に同じだ。また、設定にやや苦労したが、全ての弦をPUのポールピースに乗せることができている。

ネック.jpgヘッド.jpgネックや指板のゴージャスなメイプルの鳥目がはっきりとわかるだろうと思うが、太くって固くってとっても頼りがいのあるネックだ。シェイプは太めのUになっており、指板の端は、お願いしたわけではないのだが、弾き込んだ楽器のようにやや丸められている。ヘッドは、70年代を彷彿とさせる、個人的なお気に入りのUS3 というシェイプだ。これまでに購入したUS3の形は低音側の形状がもっとシャープで格好良かったように記憶しているのだが、この個体は角の所がダルで、どうにも気に入らない。写真をよく見てほしい。ペグが並んだあたりの直線が、ぎりぎりまで伸びていてほしいのだが、6弦のペグが終わったあたりでゆるく丸くなってしまっている、これが気に入らないわけだ。しかし木を足すわけにはいかないのでこれはこのまま受け入れるしかない。やはりこのように特殊なネックをお願いすると、いろいろと問題が起こりやすいということだろう。

雑でまとまりの悪いレポートではあるが、この楽器については一応これで終了としたい。そのうち加筆する可能性大。

Fender Telecaster Custom [音楽]

Fender Telecaster Custom

TeleCustom.jpg

いろいろとあったのだが、ドルがえらいこと安くなっていた時に、久しぶりにUSAものを一本手に入れてしまった。昔から気になっていたテレのカスタム、フロントが出力の低いハムになっているやつだ。今までにないことだが、直輸入で有名な某店から、物をみることなく、思い切って買ってみた。写真のできがいまいちで申し訳なく、サンバースト塗装の仕上がりもいまいちなのだが、全体にけっこういい雰囲気がでているのが伝わるだろうか。

楽器の出来はなかなかよく、爪弾くとしけったような音がするのだが、アンプに通せばご機嫌なフェンダーサウンドを楽しめる。アッシュと書いてあるのだが、木目はなんだかアルダーのよう、それでいて結構重い。2ピースものを頼んだのだが、どうも1ピースボディのようで、喜ぶべきか悲しむべきか。私は1ピースがいいとは思っていない。狂いの少ない良質な木材、しかも幅の大きいものが、通常のプロダクションラインに入ってくることはないはずだし。また、ネックはビンテージに倣ったアールのきついもので、コードワークはほとんど快感だが、チョーキングをするとさちってしまうことあるのは構造上仕方がない。古く見えるように故意にネックを黄色く着色しているのも気に入らないが、オリジナルの分厚いポリと比べて、ラッカーが塗ってある分上等な仕上げであり、まあ文句はない。

ナットは人工素材で、加工制度はいまいちで美しさが足りないのだが、実用上は十分だ。ナットの溝は余裕をもって切ってあって、弦高を下げる余裕がたっぷりある。ブリッジはプレスの安っぽいベースに三つの溝が切ってある鉄製のタイプの駒が乗っているタイプで、ビンテレの文法に従ったものであるためオクターブは完全には合わないが、弦の幅は固定されており狂うようなことはない。また、親切にも6つの駒バージョンの、これもかなり安っぽい交換用のブリッジが同梱されていていた。使う気は今のところないので、テレのブリッジコレクションが増えてしまった。


Tele Pocket.jpg
われながら唐突で大胆な買い物であったのだが、ちょっとした問題が。写真ではいまいち上手に表現されていなのだが、ネックポケットの塗装にムラがあり、かつて山野が国内に入れていたころならはねられたであろう、問題のある仕上がりだ。売ってくれた某店と相談してみたところ、”これが最後の一本で次はいつ入るかわからない”ということで、返金か傷物を受け入れるか、ということとなった。しかし楽器自体は音もよく、雰囲気もいいので気に入り、結局傷を受け入れることとした。これまでもこのお店にはけっこうよくしてもらったように思うので、値引き交渉などもしなかった。ちょっと残念だがまあ大した問題ではない。これから弾きこんでいけば、傷は避けることのできないものなのだし。

オリジナルではないが、現在持っている唯一のUSAものがこの一本なので、たまに取り出してはさすったり眺めたり舐めたり?している。最近人前で演奏する機会があまりないので、家から出したことのない、座敷ギターになってしまっておりもったいない。良い楽器に慣れてしまっているため、フェンダーだからといって感動するようなことはなく、なんだかつまらない。

久しぶりにUSAものを手元に置いて、しげしげと観察してみると、品質管理はいまいちだが、楽器としての完成度自体はかなりのものだ。音もバカにできない、納得のいく良い音だ。ブランドが与える満足度を考えると、自分で楽器をアセンブルすることの意味がなんだかむなしくなってしまったりした。欲しい楽器そのものが売られているのであれば、やはりそれを買っちゃうのが簡単なのかな、と思う。楽器は弾いてナンボのものだから、弾くことに時間とお金と情熱を集中させた方が幸せになれるかも。


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箱もの買うなら [音楽]

箱もの買うなら

昔々のその昔、多分20年以上昔になるのではないかと思うのだが、Ibanez(そのころはイバニーズと呼んでいた)がジョーパスモデルのフルアコ(JP20だったかな?10だったかな?)を出し、ジャズ系のギター弾きに好評であったように記憶している。当時若かった私には、その1PUでサンバースト、花のような文字でヘッドにJPと刻まれている、渋いJPを手にすることはさすがにためらわれたのであるが、同時に展示されていたパットメセニーモデルはずいぶん気に入った。これはカタログモデルとして販売されていたかどうかわからないが、私の記憶によれば、JPのボディをもとにしてギブソンのES175 を現代的にリファインしたような楽器で、高級感は皆無であったけれど、自分の体になじみそうな気がしてほとんど買いそうになったのだが、悩んでいるうちに店頭から姿を消してしまった。残念だった。1PUでナチュラル仕上げ、ボディはメイプルのプライをプレスしたものだと記憶しているが、ピックガードもついておらず、言ってみればギブソンのES150のような、楽器として最小限の機能しか持っていない、しかし基本的な機能は特定の方向にむけて意図的に磨き上げられたような、そんな楽器だった。私は当時メセニーをコピーしていたわけではないが、楽器自体はとてもかっこよかった。それからずいぶん経ってからリリースされたPMシリーズは、ダブルカッタウェイだったりボディが薄かったり、インレイやテイルピースなどが変わった形であったり、きわどいセンスでぎりぎり楽器としてまとめられている印象で、何本か弾かせてもらった実際の楽器は、ネックなどの仕上げも個人的には納得が行かないものであり、手を出すことはなかった。

H575C.jpg
私はJazzを弾くためのBasicな楽器として、結局Heritageを手に入れて大変満足しているのだが、ボディが小ぶりであることや、PUが二つ付いていること、ボディはメイプルのプライではなく、タイガーストライプ入りの柔らか目のメイプル単板を削りだしたものであることなど、いわゆる175からは距離を置いた楽器であり、管理と保管には結構気を遣う。しかし今後これを置き換えるようなことはないだろう。










PM200.jpg
最近PM200がリリースされたことをたまたま知り、なんだか感無量だ。これは私の記憶の中のPMモデルとほぼ同じものだ。ヘッドの微妙な形、インレイ、ペグなどの細かいところは変更されているようだが、あとは昔見たものと瓜二つだ。これならオヤジでもいけるのではないか、、、と思った。しかしHeritageに満足している私は、これを買おうとは思わない。Heritageを盗まれたり壊れたりしたら別であるが、そんなことは恐ろしいので考えたくもない。そうではあるのだが、37万円っていう値段はどうなのよ?ちょっとびっくりだ。昔の倍くらいかな?確かにこの楽器はよさそうだけれど、実売ではけっこう安くなるのだろうか?比較のために銘器GB10はどうかっていうと、、、32万5千円!、、、うーんそうかそうなのか。昔は実売で20万軽く切っていたような、、、それじゃあセミアコのじょんすこモデルで、、、29万円、これは実売価格がこなれてきている印象だけど安くはないかな?


FA245.jpg
私は音楽を、また、楽器を弾くことを深く深く愛しているが、楽器それ自体もなんだかどうしようもなく好きだ。それで、今から買えるBasicなジャズ用新品ギター、しかも国産、ということでいろいろと調べてみたところ、、、あったあった、、、東海楽器がいまも頑張っているじゃあないか。爺になって、いくつも楽器を買って、ブランドに惑わされなくなった私からのお勧めはこれだ。東海FA245。価格は新品で10万後半までこなれてきており、この値段で日本の楽器職人の手がけたフルアコを手に入れることができるのは素晴らしいと思う。しかもラッカー仕上げだ。東海楽器は、詳細は覚えていないが、一時会社経営があまり良い状態でない時期があったように聞いている(未確認なので誤解かも)。しかし最近手にすることの出来た東海の箱モノは、かなりの高レベルで、かつて精度の高いレプリカを製作して業界を席巻していたころを思い出させた。同じ値段で購入できる楽器に使われる木材のグレードが落ちてきているようにも思われるが、他社と比較した場合、実売価格を考えると望外の出来だ。今自腹を切るのなら、私なら迷わず東海だ。

ああ、脳内ショッピングを楽しんだ数時間であった、なんだか非生産的だったでしょう。

Warmoth-Moon Superwide Neck Stratocaster Revised 1 [音楽]

Warmoth-Moon Superwide Neck Stratocaster Revised 1
Warmoth Wide Strat.jpg最近いろいろと忙しく、遊んでいる暇がない。寄る年波で元気もない。やりたいことはいくらでもあるのだが、活動の幅を限定して、内容を深めるように努力している。音楽も、クラシックに限定して、一人でしこしこと楽器の練習に励んでいる。夜間や早朝に、ネックを挿げ替えたエレキでバッハなんかを弾いているのだが、これがなかなか楽しい、、、、。

私はエレキはFenderが好きで、テレのファンであるのだが、楽器としてはやはりストラトの方が優れているのではないか、と考えている。一本だけ、昔々、教科書でも買うつもりで国産で比較的高価格、加工精度の高いストラトを購入した。それを大切にしているのだが、数年前にネックをフィンガープレイに適する幅を持ったものに挿げ替えた。これはわれながら素晴らしい楽器だと思う。ものすごく重いことを除いて。といってもレスポール位のものなので大したことはない。一時はネックをオリジナルに戻して売り飛ばそうかとも考えたのだが、ウレタンのフィニッシュが少しずつ白濁してきており、これはこれでいい味が出ていると言えなくもないのだが、これを嫌う人は多いと思われ、いい値段はつかないだろう。あたらスバラシイ楽器を捨て値で売ってしまうこともないかな、と考えて、手を入れて弾き続けることにした。よく見ればわかると思うが、木部は数十年前のWarmoth製で、パテント等の問題を避けるためか、微妙にオリジナルとは形を変えてある。しかしこれをくみ上げたのはMoonで有名なPGMであり、購入した時の楽器の仕上がりは完璧であった。

これを弾いていると、やはり少しずつ欲が出てきて、もっと軽くならないか、とか、もっとレスポンスが良くならないか、とか、アンプを通したノイズが減らないか、とか、楽器に対する要求が募ってしまう。最近は自作のチャンプのコピーアンプを使うことが多いのだが、これの内容はいわゆる5F1と呼ばれるシングルアンプなので、ピックアップのノイズがあれば、それが露骨に増幅されてしまう。それで、結局、

1.レスポンスの向上
2.重量の軽減 (現在4.5㌔)
3.ノイズの軽減

を目指して、楽器を仕上げなおすことにした。具体的には、

1.トレモロの駒を、プレスに変更 
現在はブリッジはゴトー製の精度が高いものがついている。しかし重い。私はトレモロを使わないのでべたづけにしてあり、スプリングはゴトーの強化したものをつけてある。スプリングの鳴きを拾うのもストラトの音のうちなので、スプリングを取り外すつもりはない。駒を変更するとブリッジ全体の強度は落ちるが、ある程度のレスポンスの向上が期待できるのではないかと考えている。状況によってはbridgeごと交換するかもしれない。ゴトー製のものを使うつもりでいる。

2.PUを1つに、Toneを省略、トグルスイッチを省略 
3.PUを変更
現在ついているPUは、エレクトロハーモニクスのタップ付きのものであり、ポールピースが太いことをみれば、いにしえのシエクターに倣ったものであることがわかるだろう。つまり高出力でノイジーなPUだ。しかしそこはPGM、回路にいくつかの工夫がしてあって、シングルにもなるし(きちんとしたビンテージトーンが出るのはたいしたもの)、フェーズも使えるし、3PU前回という面白いサウンドも得られる。しかし多彩な音色は必要ないので、V一つの漢らしい回路に変更しようと考えている。トーンはアンプをいじって調節すればいいのだ。
私のチャンプコピーにはトーンがついていないけれども。

PUは、ビルローレンスのものを使ってみたい。ビルはなくなってしまったが、奥さんが家族で頑張っているようなので、微力ながら応援する意味もある。一番基本的なノイズレスか、もしくはブレードタイプのPUを使ってみるつもりである。

 
楽しみながら、心身に余裕があるときに、ここまではやってみることにした。この楽器に関しては、すでに木部は完璧に加工されており、振動系としては、ナットやブリッジの調整以外にはやることがない。失敗するということはあり得ない(筈だ)。どうなることか、少しずつ書いてゆくこととしたい。お暇な人はこうご期待。

Warmoth-Moon Superwide Neck Stratocaster Revised 2 [音楽]

Warmoth-Moon Superwide Neck Stratocaster Revised 2

ということで、USACGもしくはThe Complete Telecaster(サイトを移動中でつながらないこともあるみたい)のKisekae Guitarを使わせていただいて(これは超おすすめ。自分が作りたいギターを実際に画面上のアニメで確認することができる;画像をコピペすることはできないようだ、残念だ)、パーツを変更した後の楽器のお姿を確認し、なんだかさみしい感じになるが、それを受け入れることにしたので、部品の調達に入ろう。

私は、PickguardはWarmothで購入することにしている。今までで一番質が良く、しかも何度購入しても加工精度が安定していると思うからだ。Teleであれば余っているPGが沢山あるのだが(これは普通ではないね)、Stratoは全く持っていない。私は基本的にTele者なのだ。それでWarmothのサイトを覗いてみると、フロント1PUのみ、というのはやはりカスタムメイドするしかなさそうだ。Warmothの刺青とか入れた職人さんが、ピンルーターとテンプレートを使って手作りしてくれるのだろうか?$25というのは悪くない値段だと思う。送料はもっとかかるけどまあ仕方がない。WarmothのPickguardは、買ってみればわかるのだが、プラスチックというよりは、若干ビニールっぽい感じで、素材に粘りがあって加工しやすいのが取り柄だ。私は好きだ。

私のStratoは、8つの木ねじを使ってPGを固定してあるのだが、これがビンテージの位置に合わせてあるようでいて、微妙に違うようにも見受けられる。Warmothは穴の位置の選択をあまり与えてくれず、穴数は11か8。8穴の場合、モダンとビンテージで微妙に位置が変えてあるのだが、それ以外の選択はない。おそらくビンテージで、、、とも思ったのだが、Will it fit my guitar?とかで、PGの穴の位置がわかるようなPDFを見ることができる。これをプリントアウトして、、、、実際に楽器と合わせてみると、、、、残念ながらやはり少しずれているようだ。PGMは昔、ビンテージでもなく、モダンでもなく、自分たちで穴の位置を決めたということなのだろう。写真とかを参考にして決めたんだろうか?

それでさっそくWarmothにメールをして、PGをマウントするねじ穴を開けていないものを作ってくれるかどうか尋ねてみた。文面はこんな感じだ。

-------------------------------引用--------------------------------------
Hi there:

This is ○○ in Japan. One of your loyal customers.
I have tried other companies; however, in my opinion, Warmoth is the best, really.
I am planning to update my old Stratocaster using Warmoth quality parts.
Would it be possible to sell me a Strato pickguard without 8 mounting holes?
If possible, please let me know how to order.
Your customer support has been very helpful and I am pretty much satisfied with your quality parts and service so far.
Thank you very very much, keep warm, and have a great winter day!


○○ in Japan
-------------------------------引用終わり-------------------------------

Warmothの顧客サービスで、これまでにがっかりしたことは一度もない、ので、
今回も何とかしてくれることを期待している。多分何とかしてくれるだろう。お返事を待ってみようと思う。

お暇な方は こうご期待。

Warmoth-Moon Superwide Neck Stratocaster Revised 3 [音楽]

Warmoth-Moon Superwide Neck Stratocaster Revised 3

お返事がWarmothから来た。これはアメリカの会社のカスタマーサポートとしては例外的で、早いし、フレンドリーだし、本当に素晴らしい。アメリカにしばらく住んでみれば分かる。日本の多くの会社のように、懇切丁寧なサポートを提供している会社なんでありゃしないのだ。電話をかければ録音ばかり聞かされて延々と待たされるし、サポートの人が出てくると、おかしな英語で理解できなかったり、普通の英語をしゃべる人が担当になっても、こちらの話を聞く態度が悪かったり、切れて怒鳴りだしたり。とにかく、Warmothのサポートは一流と言ってもいいと思う。私はWarmoth社からものすごくたくさん買っているので、それが理由かもしれないけれど。いろんなことを言う人がいるけれど、私的にはお勧めの会社だ。

------------------------------------引用-----------------------------------
Hello 〇

Thank you for your question

Yes, we have the option for either an 8 Hole or 8 Hole conversion Stratocaster pickguard. You can select this option on our Stratocaster pickguard builder page which I am attaching a direct link to below for you to review this and other options available to you.
http://www.warmoth.com/Pickguard/StratPickguard.aspx

中略

If you have any questions feel free to reply to this email or to contact us by phone.
------------------------------------引用終わり---------------------------

こういった対応はよくあることで、私のメールなんてろくすっぽ読んじゃあいないのだ。オタクのPGは私のギターには合わないので、穴がないやつを売ってね、とお願いしたのだが、Webサイトをよく見てね、ときたもんだ。私は当然、あらかじめできることは全てやったうえでお願いしてるわけだ。

WebサイトからPDFを拾ってきて、印刷して、、、Warmoth.jpg

楽器をバラバラにして、PGを取り出して、PDFと実際のPGがきちんと合うかどうかを確認する。Will it fit.jpgどうも微妙にずれているような気がする。印刷の問題なのかもしれないが、これ以上の精度で比較ができるとは思えない。たぶん大丈夫だろう、という”だろ勘”に基づいて、無駄を承知でOrderしてみてもいいが(私の人生はそんなことばかりだ)、やっぱり穴が開いていない奴を手に入れて、自分で加工する方が無難そう、と判断した。

それでも十分、スバラシイ対応だと思うので丁寧にもう一度お願いしてみた。こんな感じだ
----------------------------------------------引用----------------------------------------
Hello ✕:

Thanks for your quick response.
I really appreciate it.
Sounds like we have some misunderstandings.
I mean, I want to get a pickguard WITHOUT any mounting hole.

中略


The new pickguard should be a retrofit to my old Warmoth body.
If you have an option like “no mounting holes”, that would be great.
If you do not, just let me know.

Thanks again.
-------------------------------------------------引用終わり-------------------------------

Warmothは結構沢山の商品を扱っており、OEMもたくさんやっているらしい。全般的に、商品に対する加工の細かい変更等を嫌うことが多い印象なので、穴なしのPGを売ってもらえる可能性は、どうも低そうだ。さて、どうするか。売ってもらえなかった場合はどうしようか。

PGがWarmothのものと合うかどうかを確かめるために、上記のようにギターを徹底的にバラバラにしてPGを取り出してみた。その際、細部までしげしげと眺めてみたのだが、さすがPGM製、ネジの一つにまで気を配った、スバラシイ作りをしている。木部の加工は完璧だ(木部はいにしえのWarmoth製だが)。パーツは全て選び抜かれたものであり、導電塗料もきちんと美しく塗ってあるし、内部配線も、手だれが作った真空管アンプのように綺麗にまとめ上げられている。ノイズに対する対策も、極めてリーズナブルになされているのだが、PUそれ自体がノイズに弱い性質を持っているのでどうにも仕方がない。

Warmothがいやだよーんと言ったら、もう改良はやめてしまおうか、、、。パーツを極限まで減らしても、ボディが重いのでたいして軽くはならないわけだし。

ちょっと落ち込んでいる私であった。