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日本のクルマを買ったよ-1 [雑文]

9月7日 日本のクルマを買ったよ


国外に住んでいた頃は、日本のT社のクルマしか買ったことがない。車が壊れてしまうと命が危険にさらされるようなところに住んでいたからだ。自分のこれまでの経験を鑑みると、世界中で一番壊れにくいクルマを作っている会社は、間違いなくT社だと思ふ。私がいた国では、自分的にはちょっと不思議なのだが、H社のクルマのほうが信頼性が高いと考えられているようで、現地のクルマ好きの人達とよく話題にしたものだ。T社のCや、H社のAが、最も信頼性が高い車だと考えられていたようだ。確かに両方とも信頼性の高い、壊れにくい車であることは間違いがない。ともあれ、そのような過酷な状況で使うのであれば、クルマを購入するにあたって最も大切なことは、言うまでもなく機械としての信頼性である。Fun to driveとか、全く関係ない、といっても言い過ぎではない。私のボスも、古くなって、ペンキが剥げてぼろぼろになったT社のCを、うれしそうに転がして買い物に行っていた。もちろんC以外にも複数のクルマを持っていたが。たまたまT社ディーラーで知り合いになった地元のお金持ちは、”油さえかえていれば絶対に壊れない”と、T社に対する忠誠心?が篤く、T社のクルマをおそらく10台以上持っていた。好きな車をなんでも買えるとんでもないお金持ちなのに。日本のクルマは、海外では我々日本人の予想以上に高く評価されていることが多いようだ。さて。


というわけでT社のクルマを2台乗り継いだ。某国では中古車の価格が比較的高く設定されていることなども鑑みて、新車で購入してセーフティーマージンがまだ残っていると考えられる5年目まで、できるだけ大切に乗り、6年目に入る前にそこそこの値段で引き取ってもらって次のクルマに乗り換える、という基本的な戦略をとった。これはなかなかうまくいった。この間、約10年ほどになるが、過酷な環境の中、長距離を毎日のように走りまわったが、一度たりとも大きな問題が起きたことはなかった。ネズミがエンジンルームに潜り込んで、スポンジを齧った事件があったくらいだ。そういえば、パワステのベルトが縦にさけて、珍しい故障、として現地で有名になったこともあったっけ。しかしこの時でさえ、実用上問題となるようなことはなかった。現地のメカニックのスキルは低く、作業は雑である一方、人件費が驚くほど高いので、オイルもフィルターも自分で交換し、タイヤのローテーション、冷却水交換、などなど、できることはなんでも自分でやった。ザイモールという秘密?のワックスのおかげで、車は酷使にも関わらずいつもピカピカだった。現地では、冬季に融雪剤(平たく言えば塩)を撒きまくるため、下回りやさびそうなところにはさびチェンジャーを水で薄めて塗りつけ(某Webサイトで学ばせていただいた)、錆の予防もしっかりとやったものだった。手をかければクルマは長持ちするし、維持費も安くなるし、何より自分のクルマに愛着が増して楽しい。いいことずくめだ。


T社の一代目の小さなセダンは何度も冬の吹雪を経験し、高速道路で走りながらの一回転を演じたり、倉庫の中に半年以上も放置したしたこともあったが、最後までけなげに走ってくれて、地元のディーラーで買い取られ、二代目のRVの資金源になってくれた。とってもいいクルマだった。ちょっとおかしな形をしているので、現地の人に笑われたり、ハイブリッド車と間違われて試乗をねだられたりしたことも何度かあった。売られた車はかなりきれいであったため、ディーラーに整備もしないままにそのまま並べられ、すぐに売れた。びっくりした。二代目のRVは少し大き目のクルマで、洗車がずいぶん大変だったことを覚えている。この車も私と家族を乗せて大陸を横断したり、大きなものを遠くの街まで買い物に行ったり、ずいぶんといろいろなところに連れて行ってくれた。日本生まれで左ハンドルのこの子?を、一時は真剣に船で送って日本で乗ろうかと考えてもいたのだが、国境を超えてからいろいろと手続きがあり、さまざまな手続きに大金がかかることが判明したため、結局現地の同僚夫婦に良心的な値段を提示して買いとってもらった。今でも彼らを乗せて元気に働いていることだろう。

さて、帰国するにあたって、私は日本でクルマを買うことを大きな楽しみにしていた。せっかく日本に帰ってきたのだから、日本ならではのすごい日本車を買って、クルマの寿命が尽きるまで付き合って乗り倒してやろう、と意気込んでいた。いろいろな候補を挙げて楽しんだ。

T社やはり“いつかはC”とか、モーターがついているPなどを候補に挙げた。系列のL社の車は、食指が動かずに試乗すらしていない。面白いし、物としては間違いなく良いものなのだが、今一つ決め手を欠いたため却下。S社の四輪駆動ハイパワーのIをほとんど買いそうになっていたのだが、購入直前にモデルチェンジとなり、かなり大柄なクルマになってしまって、それがどうしても受け入れられずに断念。同社上位モデルのLも試乗してみたのだが、やはりその大きさがどうしても気に入らず却下とした。M社のクルマについてはS社同様、四輪駆動ハイパワーのLに興味があったのだが、ディーラーに行ってみても全く売る気がない応対で、案内もしてくれなかったのであきらめた。実はかつて同社のクロカンモデルPを愛用していたのだが、例のリコール隠し事件に巻き込まれて頭にきて売ってしまった経緯がある。M社はイメージとして日本が誇る戦闘機Zを彷彿とさせ、独特のデザインを含め個人的に好感を持っているのだが、今回は残念ながらあきらめた。

さて、もう一つのM社のクルマと言へば、世界唯一のRエンジンを持つRや、乗って楽しいオープンモデルのRだ。どちらもとっても興味があった。特にRエンジンのRは気になっており、大きな羽が生えた限定販売のスポーツモデルに試乗させていただいた。かなりいい、と思ったのだが、エンジンを高回転で回した際の“んざざざー ざばざばー“というような音があまり官能的ではなく、さんざん考えて結局購入を見合わせた。オープンモデルのほうのRは意外と小ぶりであり、とっても好印象であったのだが、家族が2人乗りの車はダメ!というので断念。

N社のクルマで日本ならでは、というとおそらくGとかZとかになろうと思うのだが、私の生まれ故郷に本社を置くにもかかわらず、なぜか食指が動かなかった。

困った、欲しいクルマがない、、、と仕方がないのでフランスやドイツのクルマを試していた折に、H社のクルマを試していないことに気が付いた。H社のC、しかも世界最高の四気筒NAエンジンを積んだモデルがあるではないか!早速試乗に向かった。試乗車はなかなか見つからず、散々探した末に、関東某県のものすごく小さなディーラーに行って試乗させていただいた。眺めてみると、なんと大きな羽が生えている。これはおじさんには正直恥ずかしい。タイヤは紙のように薄く、B社の例の真っ赤なディスクブレーキを持つ。それ以外の見かけは、普通のCそのもので、大したことはないな、と思った。しかしコクピットに乗り込んでみると、とんでもないクルマであることがわかった。

R社ではなく自社製のバケットシートに腰を沈める。エンジンをかけると、誰かが低い声で”へらへら”と笑っているようなサウンド。アクセルを踏んでから緩めれば、“シュコー“といったような渋い吸気音が聞こえる。この音はどうも意図的につくっているようだが。エンジンそのものからは、”ヒイー“という猫の鳴き声のような音が奏でられ、高性能エンジンの予感がひしひし。ギアをコクリといれ、意外と軽いクラッチを踏み込んで慎重に車を走らせる、、、、と揺れる揺れる。足が固めてあるため、地面の轍をストレートに腰に伝えてくる。体全体が派手に揺さぶられる。これは本当にノーマルなのか?スピードを上げると”んががー“というような大きなギア鳴り。ディーラーの人のお話では、”こんなもんです“と。とってもにぎやかなクルマだ。しかしアクセルを踏み込むと、素晴らしいエンジン音の高鳴りと共に、胸のすくような、頭でイメージした通りの加速。これは気持ちがいい。昔のターボの様に一定の回転数を超えるとすごい加速、というわけではなく、連続性を保ってリニアに、しかしすごい勢いでスピードを重ねてゆく。もちろん試乗なのでVtec領域までエンジンを回すことは出来ないが。直進しながらハンドルを左右に振ってみると、ほとんど遊びはなく、車体を左右にユサユサと振ることもなく、頭だけを軽々と振り回すことが出来る。車体の剛性が高いことも実感。故意に轍を横切ってみると、、、、おお、、、このクルマ飛んだ!ウサギかお前は!こんなクルマを一般人に売ってもいいのだろうか?これはまごう事なき、日本ならではの、すごいクルマだ。ダブルクラッチ、ヒールアンドトー、私はあまり上手ではないのだが、面白いように自然に使える。両手両足を使って運転するのがとっても楽しい。運転はスポーツだ、ということを実感できる。

ということですっかり気に入ってしまった私は、すぐにこの車を購入した。オヤジが乗るクルマではないな、、、。
SH380078.jpg
(to be continued)

タグ:日本車
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