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Billがいなくなった-1 [雑文]

図1.pngBill Lawrenceがいなくなってしまった。

11月の2日にいなくなってしまった。

じいちゃんだったので仕方がないことだが、やっぱりちょっと寂しい。奥さんのBeckyは、ちょっとあたりがきつい人だったが、何度か電話でお話したことがあった。名前は忘れてしまったが、娘さんとも電話で短時間お話をしたこともあったっけ。米国のいいところの一つに、”表面的な平等”というのがあると思うのだが、実際に有名な人とも私のような一般人が割と簡単に連絡が取れてしまう。しかしBill本人とお話したことはなかった。返すがえすも残念だ。

エレキのピックアップは、個人的には謎と迷信、噂の飛び交う怪しい世界である、と考えてるのだが、たとえばディマジオなどの先駆者たちがピックアップ単体の商売を開拓して、現在に至っているのだと理解している。ダンカンなんかももちろん忘れてはならない名前だ。伝聞だが、彼らのほとんどはBillにPUの手ほどきを受けたのだという。知名度とかお金儲けなどを別とすれば、Billは業界の大ボスなんだと思う。

有名ブランドの単体PUは結構高価であり、いつも文句を言いながらお財布をはたいてきた。自分のほしい音を作るためには、普通に考えて弦からアンプまでトータルに考える必要があるのだと思うが、PUを変えるとなんだかいいことがありそうで、ついつい新しいものに手を出してしまう。たぶんエレキ好きはみんなそんなもんだと思う。はんだ付けも楽しいしね。

今を去ること20数年前、知り合いになったブルーズギタリストが、PUをBillのものに変えていい音を出していた。ギター本体はもちろん国産の、あまり高くない、しかし素性の良いものだった。しかし当時はBillのPUの独特のルックスが好きになれず(ツインブレードのハムだった)、手を出すことはなかった。当時はお金もなかったし。10年ほど前だろうか、多少お金もできて、いろいろとPUを買いあさっているときに、Billの噂を再び耳にした。独特の音だが、好みに合えばものすごいバーゲンだ、と。私は昔から今に至るまでTeleが大好きなので、シングルPUでノイズが少ないものを探してきた。しかしブレードを使っているものは美しくない(今は受け入れているけれど)。何かないかな?と思っていたたので、BillのPUはドンピシャでツボにはまった。Billの”作品”の中で、いちばん基本的なNoiseless Singleを買ってみたところ、やや頼りない作り(ボビンが薄い、蝋が少なめ、ポールピースやねじが細め等々)であったが、ノイズは皆無でルックスはFenderの伝統的なものと全く同じで、大変満足した。本当に静か -dead quiet- だ。サウンドの印象は、誤解を恐れずに言えば”オーディオっぽい”ものであり、上品でまとまりすぎる嫌いのあるものだった。それでなんとなく物足りなくなってメインの楽器からははずしてしまい、今は倉庫の中で眠っている。なんともったいないことだ。

しかしチャンスがあるとちょこちょことBillのPUを買い足し、今ではBillのものだけでも10個前後のPUを持っている。すべてTelecaster用だ。マニアといってもいいかもしれない。多分そうだと思う。電話をかけたりメールをしたりして(ものすごい待たされるので急ぐときは電話するしかない)Beckyと相談し、PUを何個か購入すると、簡素なパッケージでプチプチに包まれただけのPUが送られてくる。”いなたい”のりのコピーや、配線の説明書などが入っていることもあった。娘さんの手書きの”Thank you for your support!”のメモはなかなか泣かせるものだった。それらのすべてを今でも大切に持っている。

エレキを作る(パーツを集めてアセンブルするだけだが。時間があれば塗装まではやるけれど)のは手間暇がかかり、気合が必要なので、よっぽど時間と体力に余裕が無いと取り掛かることが出来ない。だからたまにBillのPUを手にとって、出てくるであろう音に思いを馳せて楽しんだりしていた。人が見たら完全な変態だ。お酒でも飲みながらPUを撫でて話しかけている様子を誰かに見られたらそれはまさにき〇が〇だ。言い訳はできないだろう。

もちろん、当然、彼のもの以外のPUにも手を出している。FenderやGibsonの純正物は言うに及ばず、ダンカンなどの定番ものに加え、リオグランデなどのマイナーなもの、さらにダニーガットンモデルで有名なブティック物と呼ばれる高価なバーデンにも手を出した。最近注目しているのは、、、、流行って値段が上がると悲しいのでやめておこう。とにかく、車が好きな人がオイルやタイヤに凝るように、ギターが好きな人はPUにこだわるものだ。多分そうだと思う。

昔はいろいろとトラブルがあったようだが、Billの会社は基本家族経営だ。PUを作るための機械や測定機器は、大企業のために働いていたころに買い揃えたので、PUを安く作って売ることが出来るんだよ、といろいろなところに自ら書いている。広告などはしないため、製品の噂はウェブと業界の噂でしか伝わることがないが、それでも一部に熱心なファンがいるのだと思われる。私もその一人だ。

Billの奥さんで共同経営者のBeckyの人あたりがややきつい印象があるため、個人的には会社全体としてあまりフレンドリーではない印象を受けるが、値段が安く品質が高いため、製品自体はものすごく気に入っている。エレキ関係のコミュニティーでは、Bill夫婦は尊敬を集めているようだし、自分としてもそれが当然だと思う。電話すればいつでもすきなPUを手に入れることができるぜ、と安心していたため、最近あまり彼のウェブサイトをチェックすることはなかった。それがいきなり今回のニュースだ。頭をドカンと殴られたような気がした。まあ、人生そんなもんだろう。

もうエレキをアセンブルするのはやめようと思っていた。実際工具などは倉庫にしまってしまった。今あるものだけをいじりながら、死ぬまで弾いてゆこうと思っていた、、、のだが、BillのPUを生かすボディがない。BillのPUだけのために、かつて買いためて遊んでいるUSACGのネックに、Warmothのボディを合わせて、-両方ともWebSpecialのような売れのこりてきなものなのだが- もう一本だけ楽器をでっち上げてみようと思った。

暫くギター関係の話を続けるつもり。
今回はちょっと、写真を多くしてみようかな、と思っている。

ともあれ、
to be continued
タグ:ギター
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