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Billがいなくなった-11 ナットとセットアップ USACG-Warmoth Tele [音楽]

Billがいなくなった-11 ナットとセットアップ USACG-Warmoth Tele

NutFiling.jpgこの楽器のアセンブルはかなり時間をかけて丁寧にやったつもりなのだが、ナットはありものを適当につけておいた。ひどいものだ。しかし専用のケースを買って大切に扱っている。そろそろ数か月たって木部も安定した筈なので、きちんと調整をしてあげようと思ふ。とりあえずナットだ。ちゃんとしてあげなくっちゃあ。ナットはほんとに小さく安いパーツなのだが、これ一つで音も弾き心地もものすごく変わる。めちゃめちゃ重要なパーツだ。私はStuMacで手に入れることが多いのだが、たいてい無漂白音牛骨を使う。漂白されたものと比べて加工中に欠けにくいし、実際にナットにすると弦の滑りがいいし、音もわずかに良い、というか自分の好みに合う(コシが強い)ような気がするからだ。材料を塊で買うこともあるが、楽をしようとして半分出来上がっている製品を買うこともある。どちらを買っても数百円程度のものだ。今回はたまたま昔買った、出来合いのナットがあったため、これを使うことにした。出来合いといっても幅も高さも自分の楽器に合わせて調整しないと使えないため、手間暇がかかるのは覚悟しなければならない。それでもずいぶんとラクだ。今調べてみたら900円くらい。溝なしの大体ナットサイズに成型したものは400円だ。

これは大体ナットの形に切ってあって、弦の溝までつけてあるので、まず実際のネックスロットに合わせて幅を削る。ぴったりにすることが出来ればボンドで張り付ける必要がないので、めちゃめちゃ慎重にやる。Nut.jpg320番程度の紙やすりから始めて、段階的に1000番まで細かい目のものまでを使った。そのうち気が向いたらコンパウンドで磨くかも。そうするとピカピカになって光を放つのだ。ぴったしカンカン(旧い)の幅に削ることが出来たから、これでボンドはいらないかな?クラシックギターのナットは伝統的に接着していないが、問題になることは無い。だからエレキでも大丈夫なはずだ、と考えている。ただしクラシックのナットは高音弦と低温弦側のナットの厚さを微妙にかえてあり(テーパーがついている)、特定の方向からしか押し込むことが出来ない。ぐいっと押し込めばピタリとネックの端で止まるわけだ。これは名人でないと作れないと思う。私には残念ながらそんなスキルはないので、きつきつの幅でナットを削り、ぐりぐりとはめ込む。そうすることで満足する、、、しかない。

ナットの溝切りはけっこうシビアな作業で、弦の間の幅は、高音弦から低温弦に向かうに従って少しずつ広くしなければならないし、深さも弦の太さの半分くらいにして弦がめり込まないようにしないといけない。溝の底はあくまでも滑らかに、また弦を受け止めるところからリリースする部分までの角度も大切で、直線の溝をきる派と、曲線で迫る派があるようだ。そのたもろもろ、ナット作りには様々なコツや秘伝があるように思われる。

弦の間の幅や、指板の端から何ミリくらいの場所に弦を置くか、そのあたりは大体自分の好みがわかってきた。幅を決定するのはStuMacで売っている専用のルーラーを使うのがもっとも現実的だろう。今回のナットは、あらかじめ溝が切ってあるのでこの作業は必要ない。というか受け入れるしかない。幅を決めた後は、ナットの高さをやすりで調節するのだが、これはナットを何度もつけたり外したりしながら、弦の下面と1フレットの距離を専用のルーラーで測りながらやる。これでなんとか楽器を弾くことのできる状態になる。そうしてナットをスロットにはめ込んでしまえば、あとは溝の深さの微調節を残すのみだ。StuMacで買った半製品のナットは、一番外側の弦から指板の端までの距離がやや長めであることが私の好みに合わないが、まあ今回は良いこととする。高いEの中心から低いEの中心まで、目の子で測って36.5ミリというところ。このわずかな幅の中に人生をかける人たちがたくさんいるのだ!などと考えると感無量だ。私の楽器のナットの幅はわずかに45ミリで、低音側は4ミリ、高音側は4.5ミリもの”余白”があることになる。個人的にはもう少し弦を外側に寄せたほうが好みなのだが、演奏中に弦が指板から落ちてしまっても困る。現状でもプレイアビリティは悪くないため、このままでいくことにした。

ここまでできた段階で、もう一度アクション(弦高等)のセットアップをする。上述したが、楽器を組み上げてしばらくたったので、木部が落ち着いてきている筈だ。今きちんとセットアップをすれば、しばらくは安定した状態で演奏できることが期待できる。

セッティングは、、、、
1.まず、ネックを外してロッドを調節してネックをまっすぐにする。当初はロッドが効き始めてから半回転ほど  回して、弦を張って放置しておいたのだが、今回チェックしてみると木が動いてロッドが全く効いていない。
  結局経験値で0.75回転ほどロッドを締めこんでネックを再装着した。落ち着くまでに1週間くらいはかかる
  はずだ。
2.チューナーを使って、ブリッジを動かしてオクターブを合わせる。テレの場合は、残念ながら完全には合
わないので、できる範囲で最善を尽くすしかない。
3.カポを1Fに使って、ナットの高さをパラメターから外したうえで17Fで6本の弦の高さを合わせる。今回
  はサドウスキーの数値を使ってみた。Burderのブリッジは、弦高の可動範囲がやや狭いのでとってもやり
  にくい。
4.その後カポを外し、ナットの溝の深さを専用のやすりで調節する。
という流れになる。


ここで秘密兵器が登場だ。写真を見てほしい。指板の上に渡したものは実はシックネスゲージで、フレットの厚さに加えて、どれくらい弦の高さを確保するかを決めて、合計した数値に最も近いゲージを使ってナットの直前にクランプし、これをガイドにしてナットの溝を切る、というものだ。これを使えば、”だろかん”を完全に排除して溝を切ることができる。これはすごいアイディアだ、と思うのだが、欠点がないわけではなく、指板のRにゲージを合わせるのが大変であるとか、シックネスゲージを複数枚重ねると誤差が出るとか、ネックの裏側や指板を微妙に傷つけるとか、細かい問題はいくつか無いわけではない。しかしそれらすべて解決することは簡単で、逆にこの道具を使うことで得られることは無限大?だ。私の場合、これを使っても、溝の深さが0.05ミリくらい、狙いよりも深くなった。だからその分をあらかじめ加えてセッティングしておけば、狙った通りの溝の深さが得られるわけだ。何事も経験だ。道具は使いこなしが大切なのだ。写真の奥に、ピンボケぎみに映っている赤い取っ手が付いたやすりが溝を調節するための専用のやすりだ。

今回はナットの溝の深さもサドウスキーの数値を使ったのだが、アコギから始めた自分にはやや低いようで、弾いているときの指の”喜び”が損なわれるようだ。今後何回か調節を繰り返して、自分なりのセッティングを出してゆくつもりだ。この楽器は納得がゆくまで作りこもうと思っている。ブリッジも代えてしまうかも。

忘備録として、以下に今回使った参考数値を記載しておく。と思ったが、メモを職場に忘れたので、暇なときにアップすることにしよう。

付記

この楽器は大変音が良く、弾いていても気持ちがよく、ついついこの楽器ばかり手に取ってしまう。楽器自体が軽いことも大きな要因だ。その後ブリッジにちょっとした調節をしてブリッジ側の弦高を上げたり、ロッドを調節してネックをまっすぐにしたり、いじり倒しているのだが、どんどん良くなるばかりで手放せない楽器になっている。近日中、気力が充実しているときに、ナットを作り直すことを考えている。少し弦の間隔を広げてみるつもりだ。データブックに載っている数字よりも少しナット側の弦高を高めに設定してみる予定。プレーン弦と巻き弦の設定を少し変えてみるつもりだ。どんな音の変化が楽しめるのか、楽しみで仕方がない。自分で組んでおいておこがましいのだが、素晴らしい楽器だ。


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