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日本の車を買ったよ -8- 努力は報われることも(稀には)ある [クルマ]

日本の車を買ったよ -8- 努力は報われることも(稀には)ある

日本の車を本気で降りようとしていた。私はオヤジになり、幸いにして多少の金はあるが、車を自分でメンテする場所も時間もなく、頼れる整備工場も見つけることができなかったからだ。情けないが仕方がない。それでもあきらめきれずにいろいろな人に相談したり、電話をかけてみたりした。かつてYに勤めていた現役の車業界の人は、私が期待するようなマニアックな人はもうほとんどディーラーにはいないし、私が希望するようなサービスを受けることはいくらお金を払っても不可能だ、と断言して、マニュアル車を降りることを提案してくれた。それでもやはりあきらめきれず、いくつものH社ディーラーに行っては悲しい思いを繰り返した。詳細はもうこれ以上書きたくない。この過程を通して、数人の信頼できる人と、幸いにして知り合うことができたのだが、車を丸ごと預けるほど信頼できる工場には不幸にして出会うことがなかった。いわゆるチューニングショップにも連絡を取ってみた。自信満々で何でも持ってきてくれというが、自社の製品をプッシュする姿勢がどうにも信頼しずらい。ちょっと怪しい(ごめんなさい)。それでも一度実際に車を持って行ってみよう、などと考えていた。実際に話をしてみないと、何もわからない。頭でっかちになってせっかくの機会を失うのは愚かだ。それでもしかし、H社のディーラーには頭が狂っている私の話を理解してくれる、私のクルマに対する愛情やこだわりを楽勝で受け止めてくれる、オタクのような人はいないのだろうか?手放しで信頼できる営業さんやメカさんはいないのだろうか?H社に勤める知人には、あまりしつこく相談したくない。というかすでに嫌われてしまってみたいだ。それでも、もう一度だけディーラーで信頼できる人を探してみよう、と心に定め、私の愛すべき車をあきらめる前にディーラーに足を運んでみることとした。

いろんな場所にあるディーラーを調べて、何度も電話をして、どこに行ってみるか様々に考えた。割と新しい、大都市の外れにある、ディーラーが直資100%でやっている、駐車場が広々とした、メカニックが沢山いる、、、ところを選びに選んだ(我ながらうるさい奴だ)。結構大変だったよ。毎日そこに行くわけではないので、家からの距離はこの際関係ない。100㌔だろうが200㌔だろうが、満足するケアをしてもらえるならば私的には無問題だ。ドライブの楽しい目的地にもなるし。地元から始めて(残念ながら3箇所行ってみたが、全然だめだった)、最後は50㌔以上自宅から離れた、某ディーラーにたどり着いた。たぶんこれが最後の賭けになるだろう。迷いに迷った末、電話をしてみたところ、感じのいいお姉さんが応対してくれ(ここまではどのディーラーもよくやっている)、私の希望に本日対応してくれるという。それで、ジャブを放って様子を見るようなつもりで、軽い整備をお願いしてみた。

自宅から1時間ほど楽しく走って、新しい、割と構えの大きいディーラーに到着した。大通りに面しており、ディーラーの中に入っていくのはなかなかスリリングだったが、建物の中はピカピカで居心地がいい。しかし駐車場は今日はたまたますいていたものの、あまり数がなく、個々のスペースも不十分だ。私的にはとても安心して駐車ができない。これは、私の限られた経験によれば、H社のディーラーのどこに行っても同じようで、ディーラーが客の持ち物である車に対する態度を表しているようで、悲しくて仕方がない。大きな都市の土地がいかに高価であるか、そんなことは誰だってわかっている。その限られた土地を何にどうやって使うかが問われているのだと思うのだ。経営的にやせ我慢をしてでも、客用の駐車場をもっと広くとるべきではないのだろうか?他社(例えばT社やM社)を観察して、見習ってくれると個人的にはうれしい。

とにかく手際よく狭い駐車スペースに駐車をすると、よくある外車のディーラーのように、スタッフが駐車場に目を光らせており、すぐにお迎えに来てくれた。なかなか感じがいい。それで店内に入り、テーブルに導かれ、応対してくれるスタッフが来てくれるのを待った。お茶を出してくれたが、大変申し訳ないがお味はいまいちだ。そうです私は珈琲にうるさいオヤジなんです。面白いことだが、高級車を売るディーラーだからと言って、珈琲が美味しいとは限らない。このあたりの話は、また機会があったら書いてみよう。ともあれ、油で汚れたつなぎを着たメカニックの方が現れた。本当に本当に残念ながら、お手ても油で真黒だった。ピカピカの建物との対比がとってもシュールだ。これはダメかな、と正直思った。とても大事なことだと思うのだがどうだろうか。それでも初めての整備は決行することにした。にっこりと笑って見学をお願いしたところ、快くOKしていただいた。話をするうちに、けっこう親切な人だな、と肌で感じ、こちらも誠実にしようという気持ちになり、自然に身分を明かして、どういったサービスを期待しているかといったあたりも、かなーり詳しく伝えた。“この車大切にしているから、丁寧に整備してね”と。嫌われようが、くるっていると思われようが、言うことは言わせてもらわないと。それで一緒にピットへ、、、。私の車をちらっと見て、フフン、ラジオとナビがついちゃってますね、、、とおっしゃるのだが、どういう意味なのだろうか?

作業には熟練しており、安心してみていられるものだった。汚れたお手て以外は全くなし。つれづれに話をしてみたころ、この方は筋金入りの車好きであることが明らかになった。私の車を見ていただき、メンテについて的確なアドバイスをいただき、この方自身の車の話なども伺うことができた。私の運転の癖なども的確に言い当てられ、短時間のお付き合いではあったが信頼感は増すばかりであった。この方と私では、車に対する向き合い方がずいぶんと違うようではあったが、私の考え方、感じ方を瞬時に理解していただき、今後の私の車のメンテこの方にを引き受けていただくことができた。”職場に車好きが減ってしまい、私の車のように特殊な車の場合は、きちんと整備できるメカニックがあまりいないんですよ”、とおっしゃっておられた。ラジオとナビの件は、“走るためだけの車に、そんなもの必要なの?”という、もっともなご意見の発露だったということが、後に明らかになった。納得。

20数年前、高速でエンジンが止まるようなボロボロの車に乗っていたことがある。このころは幸いにも気のいいメカニックと知り合うことができ、めちゃめちゃ忙しかったので、メンテはすべてお願いして、安心して車に乗ることができた。この人は、”次はいついつ来いよ”、なんて言ってくれたっけ。今乗っている車は、高級車でも高額車でもないが、価格のほとんど全てを走る機能だけに注ぎ込んである、二度と手に入らない、私にとっては唯一無二の特別な車だ。できるだけ長く、しかし遠慮せずにどんどん鞭を当てながら、この車に乗っていきたいと心の底から思っている。お金はかかっても構わないので、外装でも内装でも機械でも、必要があればバンバン交換して、車をきれいに保ちつつそうしたい。本日我が車を隅々まで観察して、とっても状態がいいことを再確認した。私のやってきたことは無駄ではなかった、、それは、まあいいか。

本日この方と巡り合ったことで、かつてと同じように、安心して車に乗ることが、少なくともしばらくはできそうだ。もし何らかの理由でこの車を失ってしまっても、この方と仲良くしている間は、またH社の車を買うことができるかもしれない。出来ればそうしたい。私は自分でも意外なのだが、H社の車が好きなのだ、ということが最近はっきりと分かったからだ。外車とかもう興味ないし。

子供のころ私たちは、大人たちから“努力は必ず報われる”と教わることが多いように思う。しかし現実は必ずしもそうではなく、“努力すれば稀には報われることもある、ただし運が良ければ。しかし努力しなければ、ほぼ間違いなく、めちゃめちゃ運が良くなければ報われることはないぜ”というのが現実だろう。今回の私の出会いは、非常に珍しい“稀に報われた”ケースだろう、と今のところは考えている。今日のところは、めでたし、めでたし、だ。今夜は珍しく、笑って眠ることができそうだ。明日の寝覚めもいいと思いたい。
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