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日本のクルマを買ったよ -19- 軽自動車にやられた [クルマ]

日本のクルマを買ったよ -19- 軽自動車にやられた
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わたしのFD2は時間がかかる整備中なので、仕事に行くにも買い物をするのも、必要があればディーラーにお借りした代車(軽自動車)に乗って出かけるしかない。私は仕事で長距離を走る機会が多いので、ディーラーの担当者にあらかじめ断ってから結構な距離を乗らせてもらって驚いた。少し書いてみようと思う。

整備をお願いした際、代車が軽車になったときいて、やっぱりちょっとがっかりしてしまった。だって排気量が1リットルもないクルマに乗ったって楽しくはないだろうから。しかし実際に貸し出されたクルマを子細に見てみると、ほぼ新車であることが分り、おそらく担当してくれた方はいろいろ考えてこれを貸してくれようとしたのだろう、と解釈して、お借りした代車を精一杯楽しませていただくことにした。人生残り少ないので、小さなことで文句を言っても仕方がない。前向きに明るく生きていきたい。ともあれ、お借りした代車はHondaのN Boxというやつで、この車が私の軽自動車に対する考え方を180度変えてしまった。本当にびっくりした、、、。

このクルマは660㏄のNAエンジンを持つ、まるでさいころのような不格好な形をした小さなワゴン?なのだが、こいつが本当にすごい奴だった。本来は、子供が何人かいる若い家族のためのクルマなのだと思う。しかしそれだけにはとどまらない魅力と能力を持っている。

何がすごいかって?まず形がすごい。もちろんデザイナーの方は頑張ったのだろうが、これ以上ないくらい単純で、機能に徹した形をしている。遊びの要素をほとんど感じさせない。立方体をいくつか組み合わせただけのような。軽自動車の規格を調べてみると、
全長 3,400mm、全幅 1,480mm、 全高 2,000mm以下
排気量660cc以下、定員 4名以下、貨物積載量 350kg以下 なんだそうだ。そういったもろもろの規格一杯に作りこんだ感じが漂っている。

また、大きさもすごい。このクルマは、高さが178㌢もあり、巨人である私が座っても頭の上にこぶしがいくつも入る。何故こんなに背を高くしたのか、ちょっと理解に苦しむくらいだ。走るときは空気抵抗も大きくなるだろうし。そうではあるが、頭の上のスペースに余裕があるというのは気持ちがいいものだ。それだけでなく、室内スペースも無駄がなく効率的かつシンプルに作られており、大人4人が、本当に無理せず普通に座れる構造になっている。後ろのドアは左右両方ともスライドドアであり、しかもモーターで動かすようになっている。これは人数の多い家族の場合は確かに有用だろう。私には使い道がない機能ではあるが、それでもなかなか良くできているとは思う。人や大きな荷物の積み下ろしにはすごく便利なのではないか。後ろのハッチも大きく開き、わずかではあるがトランクスペースも確保されている。ついでに前席のドアは、真横になるまでガバリと大きく開くように作られている。大胆だ。人間が使う空間は広く、天井も床もほぼフラットで、横の壁はほぼ垂直に立ち上がっている。身もふたもない?が、限られた空間を利用しつくそうという態度はスバラシイ。

足回りもわたしの予想を超えた性能を与えられているようだ。大きなさいころの四隅に小さな頼りないタイヤがついているのだが、馬鹿に出来ない走行性能を持っているようだ。足腰が想像を超えてしっかりしかもしっとりとしていて、頼りがいがあるのだ。意外、といったレベルを超えて、乗っていると楽しくなってしまうのだ。ボディは開口部がこんなにたくさんあるのに結構頑丈で剛性感がある。これがまず不思議かつ意外だった。丈夫なシャシーは走行性能や乗り心地など、すべての基本だ。形はおかしいが、このクルマは基本がしっかりしているようだ。重量は結構あるようだけれど、まあそれは仕方がない。クルマの背が高いので倒れないようにするためにサスはある程度締め上げてあるのかと思っていたのだが、上記のようにいきいきとしなやかで、かつ頼りがいのある、予想を超えてしっとりとした足をしている。ドカンガツンと、道路の様子をそのままストレートに伝えてくるFD2に乗り慣れている私の感覚は少しずれているかもしれないが。着座位置も高く、遠くまで見通すことができ、乗り心地も望外によいため、ハンドルの軽さが気にならなければ運転がものすごく楽だ。鼻先が短いので、それに慣れるまで多少の違和感を感じざるをえないが、あくまでも常識的な運転をしていて足回りが腰砕けになるようなことはない。調子に乗って下り坂で急カーブを攻めてみた時は、前輪が取れてしまうような怖い思いをしたのだが、それ以外は素晴らしく頼りがいのある、しかもコクと味わいがある、しかも乗り心地の良い足回りをしている。限界を超えると、突然コントロールがものすごく難しくなるようなセッティングなのだろうけれど、クルマが古くなってもこの味が保たれるならばすごいな、と思った。チルトのみでテレスコがないハンドル周りのため、最適なドラポジが取れないことだけだけが残念だ。

エンジンはどうか?残念だが大きな車体と比べて相対的に小さいエンジンを積んでいるため、いくらエンジン屋であるホンダのクルマであるといっても力不足は否めない。まあこれは予想した通りだ。しかし物は考えようだ。力強い走り方は出来ないのだから、アクセルを閉じ目にして、ふわりふわりと滑走するような感覚で乗ってあげればいいのだと思う。こういった乗り方をしてみても予想外に速度が乗っていて、驚くことがけっこうあった。レッドゾーンすれすれまで回してエンジンの反応を楽しんでみたが、華はないものの信頼性の高い、危なげなく距離を重ねることのできる実直なエンジンなんだなあと感じた。

ブレーキはいわゆるかっくんブレーキに近いもので、ある程度以上踏み込むと、アシストが強く入ってグッとブレーキがかかる、といったタイプ。これは車の性格上、使われ方を考えるとこんな風に設定されていても仕方がないだろう。むしろ適切な味付けというか。

ミッションはCVTで、実用上何の問題もないが、エンジン音とスピードが上がってゆく感覚が一致しないため、個人的には苦手だ。ストレスを感じてしまう。しかし必要十分な仕事をしてくれているのは確かだ。耐久性もおそらく高いのだろう。

そんなこんなで、乗れば乗るほど、実用車として真面目に作られているクルマであることがひしひしと感じられた。また、随所にユニークな設計がなされているようで、大変気に入った。大男が一人でこのクルマを転がしているのはあまり絵にならないと思われるが、自分のことを自分で見ることは出来ないのでどうでもいいことにしよう。運転が楽しければそれでいいのだ。スーパーカブのようなクルマってどんなだろう。トヨタカムリとかが近いかな、などと暇なときに考えてみることがあるのだが、このクルマも候補に挙がるのかもしれない。


すっかり気に入ってしまったので、距離を伸ばしても問題ないかどうか、ディーラーに許可をもらってから、仕事先に連れて行った。500㌔ほど走って、心行くまでこのクルマの持ち味を楽しんだ。6時間弱で結構な距離を走ったが、目が疲れたこと以外、ほとんど目立った疲労を感じなかった。なかなかすごいことだと思う。腰も、首も、肩も大丈夫だ。

あまりステキとは言えないエンジン音はやや気にいらないが、100㌔+の長時間クルージングを楽勝でこなす。急なコーナーでさえなければ、たいていの場面で快適な乗り心地を楽しむことが出来る。前も横も投影面積が大きいので、横風に弱いのが玉に瑕だが、それ以外に走行上の問題はなかった。比較的高い速度で走っている時に、周りで何らかの事故が起き、それを回避する必要があるときは、走りに余裕がないので、対応が遅れるだろう。実際ちょっと怖い思いもした。しかしそれ以外、懸念される材料は皆無で、快適そのものの長距離ドライブを楽しむことが出来た。驚いた。

あまり燃費は良くないが、たくさん荷物を積み、のんびりとベンチシートのような椅子に座って、お茶を飲み、音楽を聴きながらイージードライブ、、、、。こんな車が100数十万で手に入るのだ。日本で軽自動車が売れる理由がよくわかった。実用性だけを考えれば、これ以上は何も必要がないからだ。私の場合のように、クルマにおかしな夢を託したり、Fun to driveとか、わかったような呪文を唱えさえしなければ、我々が住む小さな島国である日本の中で使う、という前提であれば、このクルマ一台でほとんどすべての場合、ドライバーやその家族のニードを満たすことが出来てしまうだろう。こんな車を一台買ってしまったら、誰もクルマが趣味、なんて言わなくなるだろう、多分。

やっぱり人間何でも試してみるものだ。そんなこんなで軽自動車を心ゆくまで堪能している最近の私なのであった。でもやっぱり軽自動車といえば、S660が気になるかな、、、。

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