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日本のクルマを買ったよ   -カマを掘られた3- [クルマ]

日本のクルマを買ったよ   -カマを掘られた3-
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突然帰ってきたFD2

保険会社からは何の連絡もないのだが、ずいぶん時間がたったのでディーラーに連絡を取ってみた。すると、もう工場から戻ってきているというではないか。なぜこんなに待たせているのに誰一人連絡の1つもよこさないんだ?さすがに頭にきた。しかしディーラーに文句を言っても仕方がないので、ぐっと飲み込んでクルマの受け取りの日時を相談した。だって早くFD2に会いたいではないか。

数日待って、休みを取ってディーラーに。すると汚れそうなところをテープで保護した姿で我がFD2がニコニコと私を待っていた。ずいぶん久しぶり、実に1カ月以上ぶりだ。こんなに長くこいつを人に預けたことはこれまで一度もなかった。“我が信頼するメカ氏”にどんな修理が施されたかを説明してもらったところ、随分大胆に鉄板を切断し、フレームのゆがみなどもチェックしたうえで溶接、塗装、磨き、、、諸々の調整を終えて帰ってきた、ということだった。その後彼が自分自身で検品~調整してくれたという。査定してもらうと、事故のせいで評価額が数十万円下がってしまったのこと。これは許しがたい。昼行燈のような保険会社と交渉だ。その辺りの事は保険会社や加害者との交渉が終わってから書いていこうと思っている。ほかにもいろいろと書きたいことがあるのだ。しかしそれはまた機会を改めることにしたい。さて。

とりあえずクルマのチェックだ。壊されたと思しきトランクやトランクリッドなどは、きれいに直されている。直した部分とオリジナルな部分は、やはり色調にやや差があり、古くなったオリジナルの塗装は5年の月日を経て金色がかったガンメタなのだが、新しい部分はピカピカのガンメタだ。しかし違和感なくかなりきれいに直してくれてあり、塗装もキチンとやりなおされていると言ってもいいだろう。東京で一番大きく力のあるディーラーが持っている板金用の工場で直しただけのことはある(Honda談)。今のところ、修理に文句はない。しかし塗装が乾ききっていないためか、なんだかぺたぺたしているような部分もある。これは気になるのだが大丈夫なのか?内貼りなどは全て新しいものに取り替えてあり、スポーツサスペンションの減衰力調整のために内貼りに空けた窓もきれいにあけなおしてあった。事故って唯一、よくなった部分だ。(アクセスのスポーツサスを装着している人にしかわからない話かも)あとはもとどおりの私のFD2であり、たとえば細かい飛び石の跡などはまったく直してくれていない。当たり前だが。せっかくなのだから、お金は出すから、悪いところを全部塗りなおしてもらえばよかった、なんて思ったりもした。


近くから眺め、遠くからラインの乱れなどをチェックした。手で触ったり押してみたり。溶接の跡はちょうどフロアカバーで隠れてしまうため、一見したところ、事故の傷跡はまったく見えない。しかし走りはどうなのだろうか?もろもろ、小さな問題があるのではないだろうか?きあいをいれてチェックだ。

それでさっそく車を取り戻し、峠に向かった。おお、これこれ。これだよ。セミバケに体を押し込んで、久しぶりの感触を確かめる。懐かしい。ほんと落ち着く。それからポジションを何度か変えてみる。ハンドルのテレスコとチルトを駆使してベストポジションを探す。このクルマなら自分の巨体にぴったりに合わせられる、素晴らしい。それからミラーだ。そこまでやってようやくエンジンに火を入れる。そうだ、このクルマはボタンを押して点火するんだっけ、、、“ボウン”、、、という鈍い音と共にK20Aが目覚める。久しぶりだ、この感じ。距離を重ねたためか、エンジンの身震いはかなりの大きさで、むちうちで痛む首と腰を揺さぶる。おお、大丈夫だろうか?うう、なんとか大丈夫そうだ、、、。
そしてゆっくりと道路へとのりだす。太いタイヤ、固いサス、しっかりとしたボディ。高級感がない内装がぎしぎしと音を立てるのはあいかわらずだが、それもご愛嬌だ。少しずつ、アクセルを入れていく。みるみる加速する。周りの景色がきれいに、しかしすごい速さでうしろに流れていく、、、飛んでゆく。

なんというダイレクト感、なんという安心感。久しぶりに回すエンジンは機嫌が悪く、なんだかさえない音を立てている。しかしそれは時間の問題だろう、すぐにいい音で歌ってくれるようになるだろう。最初はしずしずとクルマを転がした。

1カ月以上乗っていた小型車はごくベーシックなもので当然オートマ。なにも特別な装備はついていないが、必要十分なものだった。自分のお金で買おうとは夢にも思わないようなクルマではあったが、燃費は好いし、室内は広いし、ジジイになったらこれでもいいかな、と思わせるには十分なものだった。しかしハンドルを切ってもアクセルを踏んでも反応が鈍く、“ぬもー”“ぬもー”と、小さな牛に乗っているような感じだった。正直つまらなかった。しかしFD2は違う。燃費は半分近くにまで落ちてしまうが、アクセルさえ十分に踏み込めば、欲しいときに好きなだけパワーを取り出せるし、何と言ってもエンジンがダイレクトにアクセルにつながっている感じ、ハンドルが直接地面につながっているフィーリングが何とも言えない。自分の顔の向きを変えると車線が変わってしまうくらい遊びが少ないハンドリングもサイコウだ。お世辞にも乗り心地が良いとは言えないし、うるさいし、むち打ちで痛む首と腰への負担は結構なものだ。しかしそれをカバーしてありあまる運転の喜び!好きでない人にはこんなのはわからないだろうが。Honda特有のエンジンの咆哮、ロードホールディングノイズ、ギヤの鳴く音、スピードと共に増していく風切り音、エクゾーストの匂い、全身を揺さぶるピッチング、ローリング、、、。しかしそれらの全てが自然で、自分のコントロール下にあるという快感、安心感。FD2は特殊なクルマだが、高級なクルマではない、なんて言ったってCivicなのだから。でも、自分にはこれがぴったりだ。ああ、これ買ってヨカッタな。

それでいつもの峠に行ってみた。メカ氏は事故らないように、と、ちょっと心配してくれた。ありがとう。あまり飛ばさず、難所は避けて、車体を吟味するように丁寧に走った。結果的に、上りも、下りも、コーナーも、自分のイメージ通りの走りを安全に楽しむことができ、本当に楽しかった、、、。クルマの性能に問題は無いようだ。違和感を感じることなく、自分の限界近いドライビングを楽しむことができた。命を預けることが出来そうだ。シートにちょっとした問題があるのだが、その件もまた別の機会に書いてみることとしたい。運転の中休みに山の中で好物の蕎麦にありつくこともでき、言うことのない、濃い一日を過ごすことができた。ガソリンは沢山使ったけれど、幸せな時間だった。人生の喜びってこういうもんだと思った。大げさなものでなくてもいい。

帰宅してしげしげと車を調べてみると、いろいろなところが埃だらけだし、ドランクの内貼りもきちんと戻してないし、他にもいくつか小さな問題をみつけた。正直に言って仕事は雑だ。しかしそういう小さなことで自分の時間を台無しにするのは避けたい。車を操る、という行為を存分に楽しむべきだと、少なくとも今回は思った。

やはり私は贅沢な装備があるクルマではなく、走る、曲がる、止まるの基本的な機能がシッカリしたクルマが性に合うようだ。FD2に不満はない。唯一の不満は、FRではない、という、内的な偏見に基づく“残念感”だけだ。それ以外はこのままで何の問題もない。

事故なんかでFD2に乗れなくなったらどうしよう?今回は本当にそうなってしまうかと思って一時はあきらめたのだ。Roadstarは何度か試してみたが、ルーフが低いので椅子を代えないと難しそうだ。エンジンも小さいし、タイヤなんかの交換費用も安そうなので、もっと思い切りドライブを楽しめるかな、と、ちょっとビンボくさい事を考えて一時は真剣に乗り換えを考えたのだが。そうすると残された選択肢は86しかない。しかしあいつはハンドルはきれないし、馬力はあまりないし、エンジンは回らないし、、。帯に短し襷に長しというヤツで、FD2に代わるクルマは今のところ無いようだ。旧シビックに何十万キロも乗っている人がいるらしいが、そういった人たちの気持ちが今回の事故でわかったような気がした。

ともあれ、暫くはFD2を大事にしかし大胆に走らせ、人生を充実させたいと思っている。
他のクルマのことを考えたりしたのでオカマを掘られて壊されてしまったのだろうか?そうなのかもしれない、、、、。


タグ:事故 HONDA FD2
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