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大島 銀杏 せいろ 大盛 1143エン [日本蕎麦]

大島 銀杏 せいろ 大盛 1143エン

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このあたりを歩く機会があったため、足を延ばしてお店に伺うことにした。下町のなんというか、小さな工場や住宅が並んでいるあたり、天神さま(と思われる)のお隣、というか、実際は敷地内と思われる場所にこのお店は“突然”建っている。お店の上の階に、ご家族が住んでいるように見受けられた。家族で気合を入れて営業しているお蕎麦屋さんなのだろうか。それならば私の好きなお蕎麦屋さんのパターンだ。外観をしげしげと眺めてみると、80年代に青年時代を迎えた私のようなものには、嬉し恥ずかしいコンクリート打ちっぱなしの建物だ。

何はともあれお蕎麦を食べよう。遠慮せずにどんどん店内に入ってみると、思った通りの店内のしつらえだ。高い天井、壁に飾られた絵。おそらくご亭主は私と同じような世代の方なのだろうと確信した。週末だから仕方がないが、着飾った若者で店内は活気にあふれている。待たせていただいて、やがて席に通された。すぐにアツアツの蕎麦茶が供されたのだが、これは嬉しかった。お茶はやっぱり熱いほうがおいしいと思う。ニコニコしながらいつものようにせいろの大盛をお願いした。

木とコンクリートがむき出しになった内装のこのお店は、私にとっては懐かしい雰囲気を醸し出しているのだが、おそらく現在の若者たちには新鮮に映るのではないだろうか。個人的には大変居心地がよろしい。面白いと思ったことには、土地柄なのか、お客さんたちは上品な感じの方たちと、ちょっと荒っぽい感じの方たちが入り混じって全体として独特の雰囲気を醸し出しておられる。そんなことをボーっと考えていると、お蕎麦が塗りの角盆に乗せて供された。どれどれ。

おお、これはいわゆる“箱蕎麦”ではないですか。添えられた細く繊細な竹箸。小皿には白髪ねぎと丸く盛られた生山葵、さらにはからし大根。蕎麦猪口は注ぎ口のついた白磁のようなもので、蕎麦つゆが入れられた徳利は、小さくまん丸いものでかわいらしい。ではお蕎麦はどうだろうか。中細でやや扁平、星は目立たずエッジは鋭くはないが立っている。あまり長くはなく、私の個人的な印象では、西荻の鞍馬のものにやはり似ている。しかしお鼻クンクンで薫りを吟味してみると、つなぎの小麦がかなり強い印象を与える。つなぎ多めの鞍馬?しかしお蕎麦の穀物の蠱惑的な薫りは十分に楽しめる。いい出来だ。お蕎麦はわかった。では蕎麦つゆはどうなんだろう。少しだけすすってみると、おお、カツヲ周辺の発酵要素の多い、鞍馬の蕎麦つゆにやはり似ているようだ。こんなところでなかなか口にできない鞍馬のお蕎麦に出合えるなんて!頭の中で計算し、お蕎麦を3割ほど蕎麦つゆにくぐらせることにして、さっそく手繰らせていただく。ここのお蕎麦は蕎麦つゆのからみがいい。途中で蕎麦つゆを継ぎ足すことにした。ちょっと格好悪いがまあいいだろう。どんどん手繰ってあっという間に密度の濃い蕎麦時間が終了した、満足だ。お蕎麦ってはかない食べ物だけれど、そこが何とも言えずいいんだよね。

しかしその後に供された蕎麦湯が残念ながらいただけなかった。小さめの湯桶にいれられた別仕立ての蕎麦湯は、なぜか冷え切っており、水のようであった。けっこう長い間お蕎麦を食べてきたが、冷たい蕎麦湯を出されたことは初めてだ。文句を言おうかな、とも思ったが、今日の蕎麦時間を台無しにするのはもったいない、と考えなおした。そして笑顔を取り戻してお店を後にした。私と同じような残念な思いをするお客さんがほかにはいないことを祈りつつ。それでもここはいいお店だと思う。時間があればまたお邪魔したい。

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