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2023/12/09   Mastery BridgeのSet up [音楽]

2023/12/09   Mastery BridgeのSet up



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こういう作業は気力体力が充実していると大変楽しい。なので、よく寝て、早起きして、作業に臨んだ。今回の作業の質は80点だ。弦を外し、ネックを外して、まずロッドを回す。新しいにもかかわらず木部がかなり動いて、この個体の場合は乾燥しており、ロッドが全く効いていない。ゆるゆるにして、それからナットが効きだすまでゆっくりをドライバをまわす。いったん止めて、45度くらい回してみる。通常はこれでいったん弦を張って様子を見るのだが、木部とロッドがなじんでいない印象。更に45度回した時点である程度しっくり来たので、この段階でしばらく様子を見ることとした。指板にオイルを塗って清掃。この作業でもネックが多少動くのは言うまでもない。ずいぶん乾燥していたからね。また、高音部のテカリはフレットを打ち込む際のボンドをふき取った跡らしいことが分かった。今回はオイルはあまりたくさん使わずにふき取り、取り付け準備完了。ここで全体をチェックしてみると、木部のつくりはほぼ完ぺき、さすが日本製だ。しかしヘッドに弦を巻いた際にこすりつけたらしい傷を発見。マイナス1ポイント。それから高音部の指板脇にも塗装の乱れがある。あまり時間的な余裕がない作業を要求されているのかなあ、と勝手に想像した。ボディの浅い長い傷マイナス1ポイントもあるので、全部でマイナス3ポイントくらいかな。しかしネックは2023/4の製造とある。とすると、製造してから半年ほど、保管されていたということになるのだろうか。このシリーズは、100本前後の小ロットの生産とは聞いているが(この色は売れないので50本という噂を聞いたが本当か?)、基本はマスプロダクションなのでいろいろあるのだろう。ともあれ、DynaやFenderには木部の乾燥にはもう少し気を遣ってほしいかな。これは販売店ではなく、製造~保管されていた過程での問題なのだから。Dynaの楽器は仕上げに多少雑なところが残されていて愛嬌があるのだが、これまで手にした楽器はすべて、手に入れてからかなり木部が動いているので、必ずしも言い過ぎではないだろうと思われる。フジゲンやFCSと比較するのは無理があるのかもしれないが、事実は事実として指摘しておきたい。なので、店頭でタメシビキをしても、本来の音は聞くことができないわけだ。自分でセッティングを煮詰められない人は、長い間そのまま楽器を使うのではないだろうか。


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しかしそれ以外、さすが日本製の楽器で問題は認められない。このあたりはMIMとかMIAなどと比較した場合、安心感がある。特にボディの塗装の質感なんかは手元にあるFCSの楽器に迫る味わいで大変結構だ。ネックポケットなどをしげしげと観察して撮影。やはりOff centerの2ピースアルダーで、結構質が高い木材が使われているようで安心した。よし、ネックを元に戻して完了だ。作業の途中でネックをポロリと落としてしまったのだが、もふもふのジュータンと厚手のタオルを抜け目なく弾いてあったのでノーダメージ、JazzmasterはやはりHeadが大きく重いので、ストラトと同じようなやり方ではうまくいかないことがあるぞ、ということだろう。とにかく作業場のヒヤリハットがあったので、作業全体の質は大きく下がってマイナス20点だ。ネックポケット内のネックの両側にボディが押し付けられた跡がついている。木部が縮んだのか塗装の問題なのか。気に入らないが見えないところなのでまあいいことにする。これは問題にはならないだろう。さて、ネックをボディに合わせよう。幸いにして、ネックポケットの工作精度はかなり高いので、弦を張らずに木部の造作を頼りにネックを固定。念のため本締めは弦を張って確認してからにしよう。アルダーなので、ネックを固定するプレートがボディに沈む感覚が全くないので気を遣わないすむのがいい。やっぱりLeoが設定した通り、アルダーボディ、メイプルネック、ローズ指板という組み合わせが王道なんだなあ、と、こんなところでもしみじみ実感した。自分で楽器をいじらない人にはわからない感覚だろうが。

その後、本日のメインイベント、MasteryBridgeの取り付けた。Originalのブリッジも繊細な造りで大変よくできており、何の文句もないのだが、チューニングが安定しないのは受け入れがたいので、容赦なく交換だ。と言ってもOriginalは大切に保管することが言うまでもない。この個体についているブリッジのスタッドは、アメリカのインチサイズに準拠していることが分かったので、わざわざM2という、日本製の楽器につかるスタッドがついた、少しお高い製品を購入したのだが、結局付属した特別なスタッドを使うことなく、もともと組みこまれていたスタッドをそのまま使うことができた。日本独自仕様、つまりミリ規格で作られた製品の方がスタットが微妙に太いので、この設定を変えることで音が変わることは間違いないが、手元の楽器では試しようがない。まあこのパーツも大切に保管しておくことにしたい。

このブリッジはかなり高価なのだが、パーツのねじ切りがいまいち正確ではないようで、細いアレンレンチでボルトを回すときの抵抗が気持ち悪い。ネジの中心に雌ネジを切るといったような細かい細工がなされているので仕方がないのかもしれないが、切削油がべったりとついていたり、かなり家内制手工業的な造りの製品だ。雌ネジをなめることは避けたいので、何度も設定を変えるようなことはしないほうがよさそうだ。まあ小さな会社のようなので、お願いすれば細かいパーツを分けてもらえるのかもしれないが。Joe Bardenのブリッジを買ったときなんか、直接相談して、小さなボルトの短いものを売ってもらったりしたっけ。こういうところ、会社の性格にもよると思うが、けっこう小回りの利くCustomerSupportをしてくれる会社もアメリカにはあるように思う。あくまで個人的な感想だが。

ということで、Bridgeを交換して弦を張りなおして、、、ダダリオが張ってあるのでいまいち指に馴染まないのだが、、、私は長年使っているアニーボールの弾き心地が何より好きなのだ、、、ブリッジを調整、ネックがほぼまっすぐになっているので限界近くまで弦高を落としてオクターブをざっと合わせた。

弾いてみると、楽器全体が一体となって歌う感じが出てきている。ボディとネックがなる感じは以前同様乏しいのだが、Bridge交換によって好みはあるだろうが楽器としてのポテンシャルは上がったことは間違いない。チューニングは安定しているし、なんといっても、ぜんたいになんていうかふにゃっとした感じが減ったようだ。作業前のふにゃっとしたジャズマスも、実は好きなのだが、やっぱり真剣に音楽と向き合うのであれば、交換後の方がポテンシャルがはるかに高い。よし、ここまではOKだ。しばらくこのままの設定で細かい部分を煮詰めていこうと思う。



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あとは、、、おはずかしいはなしだが、久しぶりにWarmothで私の手に合うProfileのネックを注文してしまったのだ。これはBirdseyeメイプルワンピース、しかし指板のRはすこし大きめ、しかもコンパウンドラディウスで作ってみることにした。引き込むほどに汚れていく指板の風情を楽しもうという魂胆だ。新しいネックを手に入れると、結局新しいボディが欲しくなって楽器が増えてしまう法則も身をもって知っているが、なんとかそれをせずに済ませたいものだと考えている。このネックには、ポストの長さを調整できるGotoh製品、しかも510グレードのペグを合わせるつもりでいる。ボタンを白いプラにするか、銀色にするかを考え中だ。じつは手もとに金色の510グレードの素晴らしいペグがあるのだが、今回は出番とはならないかな。ペグだけ金色ではバランスが悪いからね。

もうちょっと書いちゃおう。この楽器は、私の理解では、Gibsonに寄せたFender制の楽器だ。ブリッジとか、テイルピースまでの弦の張り方とか、そこだけみれば伝統的なフルアコそのもので、それはつまりGibsonとおなじということだ。ブリッジからテイルピースまでの距離が長く、角度が緩い設定になっているため、テンションが緩くなり、サスティンがやや乏しい音が出力されることになる。楽器が開発された1950年代は、結構太い弦、おそらく3弦などはまだ巻弦が使われていたため、こういった設定でも問題なかったものと思われる。しかし現代の細い弦をつかうと、ブリッジにかかるテンションが足りずに何も考えずにガンガン激しく弾くと弦落ちするというわけだ。そこのところをよく理解してこの楽器と付き合う必要がある、さて。私の考えでは、そういった設定のブリッジとテイルピースを使う場合は、ネックに角度をつけてボディに仕込む必要がある筈だ。なので、Vintageの場合はネックポケットにバルカンファイバーのシムが置かれていることが多いと理解している。これは理屈通り、きわめて合理的な設定だ。しかるに、だ。私の手許に来たこの楽器の場合、ネックポケットは水平に削られているにもかかわらず、シムは入っていない。なので、これまでさんざんお世話になってきたStuMacに売られている、角度がついたシムを購入、こいつも今後試していく予定だ。

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こんなやつなんだがお判りいただけるだろうか?メイプルの薄板に微妙な角度をつけて削ってあり、こいつをネックとボディの間に挟み込むとネックに角度がついた状態でボディと接合されるというわけだ。特殊な設備がなければ作れないパーツなので、値段は高めに設定されている。確か角度には3種類あるのだが、私の経験によれば、多くの場合一番緩い角度のシムで十分な効果が得られる。しかしこいつを使うと弾き心地とか音がかなり変わってしまい、その変化の方向性が予測を裏切ることが多いので、とにかくやってみるしかない。まあやってみるべきだろう。とりあえずオリジナルの状態で弾き込んでから、いろいろやって楽しむ予定だ。Warmothのネックが到着したらまた報告したい。今後暫くこの楽器で楽しめることを期待したい。

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