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2022/08/20   国産の楽器でもたまには問題が [音楽]

2022/08/20   国産の楽器でもたまには問題が



Fender MIJ の最上位機種を何本か持っており、大変気に入っているのだが、そのうち一本の塗装の一部にバフがかかっておらず、購入当初よりツヤなし仕上げになっていることはどこかに書いた。しかしこの楽器、調整を重ねるほどにいい感じになって手になじむので、FCSを差し置いて最近私のメインの楽器となっている。軽いボディもいいし、太いネックもいい。Mary Kayeをなぞった外見も最高だ。加工精度は文句なしだし、弾いているうちに音が変わっていい感じになってきた。手持ちの楽器の中で長時間弾いて最も疲れないのはこいつなのだ。あとは、フレットをもう少し大きなものに代えればおそらく私にとって完璧な楽器になるだろう。

最近はこいつをシングルアンプ、つまりお手製のチャンプにつないで弾くことが多いのだが、当初からハムがひどいこともどこかで愚痴ったと思う。50年代のモデルで、いいところも悪いところもそのままコピーしてあるため、ノイズが多めに乗るのも音のうちとあきらめていたのだが、このところやっぱりどこかおかしいのではないかと思い始めた。それで以前アノダイズPGに代えてみたのだが、思ったほどハムは減らず、音が好ましくない方向に変わってしまったのですぐに元に戻してしまった。仕方がないのでノイズゲートをつないで弾いているのだが、音質が変わってしまうし、音の減衰がちょっと不自然だし、なんだが気に入らない感じだった。昨日もう一度だけ内臓を見てみようと思ったのだが、疲れが蓄積されていたので一晩寝て気力体力を養い、本日午後にようやくPGをはがして内部を観察することができた。

その前に、まず季節の問題でネックが順ぞり気味になっていたのでそいつを調整、これはここに書くほどもない簡単な作業だ。やはり夏になって木が動いているようで、八分の一回転締めこんでネックをまっすぐにしてから次の作業に進んだ。ものすごく気を付けて木ねじを外してPGを持ち上げ、その裏側を細かく観察した。まあ見慣れた風景なので問題があるはずがないのだが、布に覆われた単線が使われた配線を、一つずつ確認した。ポテンショメーターを一つずつチェックしてみたところ、恐ろしい事実が発覚した。フロントPUのトーンの配線は、1番と2番のピンにしか配線されておらず、3番ピンは遊んでいる筈なのだが、よく観察してみると、2番ピンの半田があまり丁寧ではなく、細い角のように半田が伸びており、僅かに3番ピンにつながっているではないか!早速ピンセットを持ってきてこの“ヒゲ”をおり、3番ピンを少し曲げて絶対に2番ピンと接触しないようにした。これでハムが減るのではないか?作業前は以前買ってあるアノダイズドPGを装着するつもりだったのだが、原因らしいものを発見できたので、それ以外の条件を代えずにとにかく音を出してみることにした。
ニコニコ笑いながらすべての木ねじを締め、弦をはってチューニングしていつものセッティングを変えないでアンプに火を入れた。すると、おお、ハムがかなーり減っているではないか!これならNGなしでいけるぜ!50年代のモデルは、60年代のモデルと比べるとシールドはちょっと弱いし、おそらくPUもややNoisyなのではないかと思うのだが、たった数分の作業で、NGを使わなくても、VとTをちょっとだけ工夫して絞ってあげれば十分に使い物になるくらいのレベルにノイズを軽減することに成功した。我ながら価値ある素晴らしい時間の使い方だ。この作業によって、楽器の音が変わるようなことはなく、相変わらず耳にやさしい、腰のある魅力的な音を奏でてくれている。本当なら再現性を確認するためにもう一度はらわたをチェックしたいところなのだが、木ねじの穴が馬鹿になるのが怖いので、やめておこうと思う。

ということで、またしばらくはこの楽器と過ごす時間が長くなりそうだ。ネックがいいので左手がとても快適で、自分だけのために創られた楽器のようで演奏することがほとんど快感だし、ようやくボディも鳴るようになってきたので弾いていて楽しくて仕方がない。自分で手を入れてなかなか解決できなかった忌々しいノイズ問題を解決できたので、愛着もひとしおというものだ。この楽器の内部を始めて見たときに、申し訳ないが、あまり半田が上手ではない人がアセンブルしたんだろうな、と感じていたのだが(半田が切れに流れずに玉のように盛り上がっていたり、パーツと配線が干渉していたり、しかし文句は言うまい)、こういった深刻な問題があるとは、、、。もっと早く気が付いていれば、もっとはやく幸せになれたのに。本日の教訓としては、電子回路は噓をつかない、つまり、うまく動かないときは必ず原因があるということ。それから、日本製の高価な楽器であっても、必ずしも完ぺきではないということだ。いろいろと考えさせられる一日だった、うん。

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