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Nocaster 2020/11-2 店頭品のギターハンガー問題 [音楽]

Nocaster 2020/11-2 店頭品のギターハンガー問題


楽器を購入する際には、現物を見て、触って、聴いて選ぶ必要があるので、ほとんどの場合店頭品を選ぶことになる。たまに、というか稀に、特別な理由があるときに通販を利用することもあるが、残念な結果に終わることが珍しくない。なので店頭品、もしくはディーラー在庫の楽器を買うことになるのだが、これがまた曲者だ。お店の人は、いい人も多いのだが、そこは商売、お馴染みさんでなければ傷などの問題に気付かないふりをして売ってしまうこともあるからだ。もちろん問題に気付かないのは買う方も悪いのだが。

よくあるのは擦り傷や打痕なのだが、これは気にならない人は全く気にしないようだ。私はこういったことが結構気になるたちなので、楽器を買うときは強い光に当てて舐めるように観察して指で触って隅々まで確認する。気に入った楽器があって、どうしてもそれを手に入れたい場合、傷がついている場合はそれを交渉の材料にして無理のない範囲でまけてもらうようにしている。最近はあまり楽器店に足を運ぶことはないのだが、以前は親しくなった店員さんが何人もいたので、楽器の状態について詳しく教えてくれるので助かっていた。私がこだわりの強い人間であることを分かったうえで付き合ってくれていたのだろう。もちろん結構な授業料は払わせていただいたが。

FCSに限った話をしたい。別の記事にも書いたのだが、最近はどうもRelic仕様が標準になってしまっているようだ。 Relicにも上中下のような感じでレベルが設定されており、深いRelic加工がされている楽器がより高価になるように設定されている。昔ながらのピカピカの楽器はNOSと称され、こいつが一番廉価になっている。私にとってはありがたい話だ。しかし知る限り、日本に入ってくる楽器の場合、NOSの数が最も少ないため選択の幅が狭くなってしまうのは困り者だ。ともあれ、 “いい楽器はRelic”というトレンドが作られているようで、誰が始めた事なのか知らないが、業界は、とくにブランドとしては最強と思われるFenderは、商売がうまいな、と感心するしかない。

Relic仕様の楽器は、はじめからいい感じに傷がつけられて年季が入ったようにみえるので、取扱いに注意する必要はあまりないのだろう。フェイクの傷に本当の傷が加わっても、なにも失うものがないからだ。おそらくそういったことを背景にして、最近は店頭での楽器の取り扱いがぞんざいになっているのだと思う。私は楽器大好き人間なので、楽器を雑に扱っている人を見ると悲しい気持ちになるのだが、そこが楽器店であればなおさらだ。この間は楽器の鳴り?か何かをチェックしている若者がいて、こぶしでストラトのボディを何度もガンガン殴っていたのを目にして切れそうになったものだ。店員さんもどうして黙っているのだろうか?これじゃあまるでアメリカにいるみたいだ。

楽器の傷つながりで触れてみたいのは、ギターハンガー問題だ。店頭品の楽器はスタンドに立ててある場合も多いが、それだと沢山の本数を展示することができないため、ギターハンガーにぶら下げてあることが珍しくない。最近のギターハンガーはラッカー塗装にも対応しており、楽器と接する部分に毛が生えていたり、柔らかい素材を使ってあったりと至れり尽くせりだ。しかしそれでも問題は起きる。

ずいぶんたくさんの楽器を見せていただいたのだが、割と高額な楽器の場合、ほとんどが当然のようにラッカーで仕上げられている。ゴムなどとの接触で溶けたり変色したりすることは誰でも知っていると思うのだが、この塗装は物理的な力にもあまり強くないことはあまり指摘されていない。つまり長期間ハンガーにつってある楽器のヘッド周りの塗装は、艶が無くなったり、へこんでしまったり、色がついてしまうことがあるということだ。上記のように、ラッカー塗装対応のギターハンガーであっても、長期間吊るしたままにしておくと問題が生ずることは明らかで、実際にそういった楽器を何本も目にして残念な気持ちになった。楽器は弾くモノなので、自宅であれステージであれ、弾いている時に傷つくのは勲章のようなものだと思うが、店頭で楽器に傷をつけるというのはいかがなものか。第一楽器を製作した人たちに失礼ではないか、と、個人的には考えてしまう。ちょっと怒っているのだ。

とある楽器店まで足が棒になるほど歩いてようやくたどり着き、購入を考えていたお目当てのNocasterを見せてもらったところ、実際にヘッドの付け根が真っ黒に変色して塗装が濁ってしまっていた。触ってみるとザラザラになっている。店員さんは頑張ってそいつを擦って消そうとしてくれたが、黒ずみは塗装の内部まで侵してしまっており、しばらく頑張った末にどうにもならないとあきらめてしまった。納得がいかない私は結局その楽器を買うことができず、一日を無駄にしてしまった。残念だった。

ハンガー問題、何とかならないものだろうか?楽器を傷つけずに沢山展示できる方法を誰かが考えてくれないかな?細かいことが気になる人は、私だけではないはずだ。

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Nocaster 2020/11-1 最近の木材事情 [音楽]

Nocaster 2020/11-1 最近の木材事情


ローズ系の木材の枯渇で、一時的にローズを使った製品が輸入できなくなったことは、皆様の記憶に新しいことだろう。その後幸いにして輸入が再開されたが、最近の楽器に使われているローズの質の低下は誰が見ても明らかだ。結構高価なモデルでも、がっかりするような指板がついていることが珍しくないので、楽器をチェックする時は注意すべきポイントだ。

ネットなどで情報を収集していると、まだまだメイプルは大丈夫だという。しかしそれも怪しいのでは?と私自身は考えている。最近の新しい楽器に使われているメイプルには、茶色い線のような模様が入っていることが多いからだ。昔USACGのTommyに教えてもらったのだが、木の中にミネラルが入ると茶色くなるのだという。音には全く影響しないのだが、見た目が悪いため、高級な楽器のメーカーはこれを嫌い、ミネラルが混入したメイプルは使わないというのが従来の考え方だった。しかし最近は、各社上級のモデルであっても、ミネラルの筋が目立つような材料が使われていることが珍しくない。それがFCSであってもだ。残念だが本当だ。楽器店に足を運んでみればすぐにわかると思う。しかし私自身は、メイプル自体の質が悪いよりはミネラル入りの上質なメイプルの方が楽器としてはすぐれていると考えるので、もうミネラルを嫌うのはやめた。あきらめた。そんなことをいっていては楽器が買えなくなってしまうからだ。

また、50年代のFenderに好んで使われた、スワンプアッシュの品質低下もかなり目立つ。確認はとれていないが、Fenderは今後マスプロダクションの楽器にアッシュを使うのを止めるとアナウンスしたらしい。おそらく本当だろう。今回の楽器購入騒動で、かなり多くのテレをチェックさせていただいたのだが、USA製のかなり上位モデルであっても、目を覆いたくなるような木目の材が使われていたり、当然2ピースで作られるべきところを、平気で3ピースで作ってあったりするのを目にして、材料の枯渇を身をもって感じた。

当時は安くて手に入りやすい、ということがメイプルやアッシュが材料に選ばれた大前提だったと思うのだが、伝統的にエレキ制作に使われてきた木材はどれも既に枯渇しており、今後同じ材料を使い続けることは不可能であることは火を見るより明らかだ。LeoFenderが生きていたら、楽器を作るためにどんな材を、まあプラスチックかもしれないが、選ぶのだろう、聞いてみたい。

とにかく木材の世界的な枯渇は明らかだし、時間を逆に進めることはできないわけなので、それなりに上質な楽器を手に入れたい人は、多少の無理をしてでも、上質な材料を使った楽器を早めに手に入れることをお勧めしたい。

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70th Anniversary Broadcasterその後⑥ [音楽]

70th Anniversary Broadcasterその後⑥


いままで何を書いてきたのか詳細はもう忘れてしまったが、購入した楽器に問題が見つかり、販売店に相談させていただいたところ、素晴らしい対応をしていただき、楽器を交換していただけることになった。申し訳ない、ありがたい、ということもあり、無理をしてお金を少し足して、Fender Custom Shopを買うことにした。店員さんも喜んで同意してくださった。それで相談の上で新しい楽器を仕入れていただいたのだが、届いた品物は残念ながら不良品で、とても客に売れるような品物ではないという。FCSでそんなことあるのか?自分が何らかの理由で嫌われたのかもしれないが、しっかりしたお店の店員さんの言うことなので、おっしゃる通りに信用するしかない。COVID19の影響はこんなところにも及んでおり、FCSの楽器、それもNOS仕上げのものはほとんど国内に入ってこないとおっしゃる。それで結局楽器が手に無いらないことになってしまった。なんということだ。一度勢いを増したGASは、楽器を買うことなしには収まらないではないか。どうやって収めればいいんだ、誰か教えてくれ。しかし今度はさすがに神様に怒られたような気がして、楽器店の方々にもご面倒をおかけしたことだし、もう楽器を増やすのはやめよう、と決めた、少なくとも数日間は。しかし今度は家人が“値段は考えずに気に入ったTelecasterを買うべきだ”と女神のように微笑むではないか。私昔からTeleを大好きだと知っているのだろう。これでまた腰砕けになってしまった。またまたGASが再燃した。

その後いろいろあって、寝る時間を削るようにして楽器店を歩き回り、Shyな私にしては珍しく、沢山のお店で沢山のFCSを弾かせていただいた。少しでも興味を持った楽器は、お願いして全て弾かせていただいた。ほとんどのお店では私の購買意欲の高さを感じたのか、気持ち良く弾かせてくださったのだが、それぞれ高価な楽器なので、私的にはたいへんありがたいことだった。しかしどうにも気に入った楽器が見つからない。FCSなのに、だ。まず、ほとんどの楽器がRelic使用であることが問題だ。私自身は自分でつけていない傷が楽器についているのは気に入らないたちなので、いくら有名な製作家が作った楽器であるにしても、レリック仕様だとどうにも食指が動かない。いくら音が良くても私にとって意味がない。なので少数しかないNOSバージョンの楽器を探し回ることになる。NOSバージョンが世間にあまり出回っていないということも、楽器探しを始めてようやく気が付いたというのが本当のところだ。しかしそれにしてもFenderは商売が上手だな。

いろいろなお店に電話をして、とりあえずBroadcasterを買うのがいいのかも、という結論になったのだが、どうもはなしがうまくすすまない。なにより楽器の本数が少ないし、運よく手に出来た楽器の状態がどれもあまりよろしくないのだ。やはりRelicというやがいけないのだと思う。もともと傷だらけの楽器を展示してあるので、店員さんやお客さんが楽器をぞんざいに扱っているのだ、おそらく。私が目にしたNOSの楽器でも、店頭品には結構な傷や汚れが付いていた。FCSは本数があまりないため、在庫品的な楽器は不幸にして目にすることができなかった。だから店頭品から選ぶしかないわけだ。きにいらないがどうにもしかたがない。国内のどこかの楽器屋さんの在庫のなかで選ぶしかないわけだ。米国のFCSに直接オーダーを入れてみようかとも考えたが、地元のShow Case Dealerを通せ、というのが先方のご意見だ。従うしかない。COVID19禍の現在、アメリカに楽器を買いに行くわけにもいかないし。さて。

それでもそれなりの幸運に恵まれ、最終的には何本かのNocasterに出会うことができた。現行のFCSで最もFatなネックがついているということで、その時おそらく売れ残っていたモデルだ。幸いにして巨人体系の私の手にはその丸太のようなネックがぴったりとはまり、自分が必要としている楽器に会うことができた気がした。初めてドイツのクルマを運転したときに感じたような、必要以上の“剛性感”を楽器に感じたのは初めてで、その楽器を抱えているとなんだか安心するのだ。これかな?たぶんこれだな、とピンときたわけだ。しかし思いつきで即決できるような値段ではなかったので、その個体と似たような楽器を何本もチェックして、日をかえてからその楽器を包んでもらい、家に連れて帰った。その楽器屋さんで大きな問題が発生したのが、ショックからまだ立ち直っていないので別の機会に書くことにしたい。

しかし、自宅に気に入ったTeleがいる、というのはなんて素晴らしいことなんだろう。

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