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青山 川上庵  せいろ 993エン [日本蕎麦]

青山 川上庵  せいろ 993エン

所要があって青山に何度か足を運んでいる。このあたりは言うまでもないことだが特別感のあるおしゃれなところだ。しかし大通りをちょっとだけ裏の方に入れば、昔ながらの町並みが結構残されていることに驚かされる。そんな一角にあるお蕎麦屋さんのひとつがここ、川上庵だ。真夏日だったのでとっととお店を探し当てて、どんどん中に入れてもらう。でないと干からびちゃうからね。

ここはよくあるカフェのようなお蕎麦屋さんで、BGMはお約束の古めのJazzだ。本店は軽井沢で、ここは支店の一つである由。嫌いではないのだが、そういったところに集まるお客さんとはあまり親和性を感じないので困ってしまう。しかし本日は某C国のお年を召されたご家族が入店し、静かな雰囲気を変えて?くれたので、割と居心地がよかった。しかし店内のメンテや清掃のレベルは、呑み屋ならいいけれどお蕎麦屋さんとしてはいただけないかな、と清潔病の私は感じたのであった。うん。

珍しく時間に余裕があったため、だし巻き卵でちょっとだけ呑ませてもらった。ここのだし巻き卵は大きいので、おなかが空いている人にお勧めだ。おそらく他のお店の3人前はあるだろう。お蕎麦屋さんの卵焼きらしく、全体に和風でしっとり、大根おろしも添えられていて好印象。ついお酒をおかわりしてしまうではないか。あまり呑むとお蕎麦の味わいが分からなくなってしまうのできりのいいところでお蕎麦をお願いした。せいろの大盛りをお願いすると、せいろ+追加せいろという形で供されるようで、993+540エンということになった。ナルホド。

供されたお蕎麦は四角いせいろに乗せられており、蕎麦ツユは既に蕎麦猪口に。小皿には大根おろし、生山葵、分葱が添えられている。薬味はいつものようにお酒と一緒においしくいただいたが、それぞれきちんと調理されており、満足のいくできばえだ。特に薫り高く甘みを感じさせる生山葵が良かった。お蕎麦は一見して二八、少しだけ幅広でエッジが立っているやや太めのしつらえ。打ち立て茹でたてなのは間違いない。表面は僅かに透明で美しく輝き、不規則な星が中等量パラパラと飾られている。数本手繰ってみると、ややぽきぽきする予想通りの歯触り。奥歯でかみしめるとあまりもちもち感はなく、ゆっくりと喉を適度にひっかきながら胃の腑に落ちていく。お蕎麦特有の穀物の甘い薫りはそれなりに漂わせつつも、つなぎ感はあまり感じさせない。なかなかいいではないですか。手打ちかどうかはチト自信がないが、まあ間違いなく手切りだろうと思わせるお蕎麦だ。お蕎麦自体も丁寧に調理されているといっていいだろう。それでは蕎麦ツユは、、、と。残念ながらあまり印象に残らない蕎麦ツユであり、基準にしている神田まつやと比べると甘さ、醤油感ともに薄めであるが、カツヲ成分が出しゃばらないためか、全体としてのまとまりは悪くない。しかしお蕎麦に完全に負けてしまっているので、格好悪いがお蕎麦の半分以上を蕎麦ツユにくぐらせることに決めて、海に飛び込むような気分で蕎麦時間に突入した。久しぶりのお酒にすっかりリラックスした私は、供された追加のお蕎麦もワシワシと手繰りあげ、濃厚な蕎麦時間を楽しんだのであった。蕎麦湯は湯桶で供されたが、やや薄めの、茹で湯に近いものであった。それはそれで大変結構。今日はどうもご馳走様でした。

調理場の中からはなんだか職人的な雰囲気が伝わってきて好ましかったのだが、私が伺った際のお店は、中年男性が若い男性に教えながら切り回しており、やっぱりどうも都会のカフェのような、居酒屋のような、ちょっと不思議な雰囲気を漂わせていた。やっぱり自分はあまりおしゃれではないお蕎麦屋さんが好きかな、と再確認した一日だった。ごちそうさまでした。

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