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2023/06/20   多動児 [音楽]

2023/06/20   多動児



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自分で言うのもなんなのだが、私は結構な多動児であり、これまでずっと、普通に生きることが難しかった。しかし年を取るにつれてそういった問題を隠すことができるようになって、あたかも普通のヒトのようにふるまって皆さまの社会に混ぜてもらっている。それでも自らの多動児問題を隠せないTPOというものがあり、音楽活動などはまさに“症状”をかくすことができない領域だと言える。今日はピックの話をしてみようと思うのだが、ピックのことでは結構苦労してきている。30年前、物も情報もなかったころには、おにぎり型のFenderのピック以外にはほとんど選択肢がなかった。なので私もそれを使っていたわけなのだが、そいつをすぐになくしてしまうのだ。なくしては買い足し、なくしては買い足しというパターンを、これまで何百回繰り返してきただろうか。多動児の面目躍如というところだ。そのうちに日本も豊かになり、ギタリストにスポットライトが当たるようになってギター関係の業界にもヒトとモノが集まり、ピックも例外ではなく、いろいろな形、厚さ、素材のものが売られるようになった。初めて買った三角ではないピックは、私の場合はIbanezのリトナーモデルだった。丸くて小さくてあまり厚くはないもので、こいつをつかって楽器をかき鳴らしていると、少し演奏が上手になったような気がして嬉しかったものだった。しかしその特別なPickであってもやがて知らぬ間になくしてしまうのが当時の私だった。

子供のころはお小遣いがあまりなかったのですごく大切にPickを使っていた、のだが、それでも結構な頻度でPickをなくしてしまう。私は多動児だから仕方がない、とあきらめるまでにはずいぶん時間がかかった。とにかくPickをなくすとそのたびに買い足して買い足して、、、、とエンドレスにやってきたのだが、最近なんとかPickをなくさずに長く使うことができるようになった。本当に最近のことなのだこれが。なくしたものがまた出てきたり、またなくしたりしているうちに、上記のリトナーモデル、つまり40年近く前に買ったPickは奇跡的にまだ擦り減らずに手元にあるのだが、これは怪我の功名というか、まぐれというか、ご縁というか、物持ちがいいというのとはまるで逆の話だ。

このところ数年、現在は自らのモデルを使っているTomo Fujita氏がかつて愛用していたという国産のPickBoyブランド、それもVintage WhiteのPickを選んで使い続けているが、上記したようにPickをなくさなくなったため、先端が削れて音が変わって使えなくなるまで使い続けられるようになったのだ。長い音楽人生、ピックをここまで使い込んだのは、文字通り生まれて初めてだ。これはヒトとしての大きな成長、長足の進歩と言えるのではないか?ということで、誇らしげに擦り減ったPickの写真を添付してみる。

タグ:Pick
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2023/06/20   ネックと弦高 [音楽]

2023/06/20   ネックと弦高



弦高に関しては、プロのギタリストの方でもなかなかベストな状態が決まらないとおっしゃっているし、考えるのをやめてテックに方に任せているという方までおられるので、こいつはなかなか難しいテーマだ。高くすれば張りのあるダイナミックな音がするし、低くすれば弾きやすい。しかし“音”が悪い方向に変わることが多いようだ。PUの設定や、音程の問題などもあるので事は簡単ではない。そう、ギターって本当に未完成な楽器なんだ。しかしそこに可能性を見出す私のような変わり者もいるわけだ。

私は体格が良く手は大きいほうなのだが、手のひらが大きいだけで指はさほど長くはない。親からの遺伝で小指が小ぶりであるため、ネックと弦高問題ではずっと苦労してきた。自分にとってベストなネックは一部のBroadcasetのもので、分厚く角張ってごついのだがあまり幅は広くない、上から下まで断面の形が大体同じで、プロファイルがかわらないというのが好みだ。長年いろいろな楽器を触ってきてようやくそのことがわかったのだ。しかしこういった断面を持つネックは明らかに時代遅れであり、特別に注文しなければなかなか手に入らない。輸入物だって我々日本人に好まれるような細めのネックの楽器をわざわざオーダーして売られていることが多いのだ。しかし絶望することはない。解決法がないわけではない。あきらめてはいけないんだなこの問題も。

太い細いは物理的な前提条件なので、頑張っても変えることはできないが、細いネックであっても掌に太く感じさせることは可能だ。私はたいていそうやって楽器を使っているので結構な経験値をもっている。どうすればいいかというと、音のことは無視して、弦を可能な限り低く設定するとそうなる。どうしてそうなるのかわからない部分もあり、弦を高く張ったほうがネックが太く感じられるのではないかと頭では思うのだが、やってみると明々白々、限界まで弦高を落とすセッティングにして深く握り込むようにすると、本当にネックが太くなった感じがするのでやってみるといい。弦高を下げるとネックにかかるテンションが減ると思うのだが、そのことも関係しているのかもしれない。とにかくこうすると、細ネックのギターであってもBroadcasterをひくように、何も考えず気分よく楽器を奏でることができるのだ。長時間弾いてもつかれないしね。

前提として、フレットの仕上げがきっちりなされていることと、ネックを超まっすぐに設定できることが求められるのだが、ある程度の価格帯以上の楽器、もしくは良心的な専門家にケアしてもらっている楽器ならそれが可能だろうと思う。ネックのロッドの調整は、季節ごとに必要であることは、Vintageでもなければ避けられないことが多いのだが、ぎりぎりまで弦を下げるためには、ゲージを変えるごとにこれを行う必要がある。そうでないと弦とフレットがこすれていわゆるBuzzが生じて楽しく楽器を弾くことができないからだ。多くの場合、ネックを僅か―に順ぞりさせて、Buzzが出るかでないかといったところにもっていくとうまくいくことが多い。たいていの楽器で、ロッドをいじってしばらく弾いていると、淳ぞり方向にわずかにネックが動くことが多いからだ。動く程度は楽器によって違うので見極めが難しいが、とにかく自分の楽器をいじり倒してああすればこうなる、という性質を見極めるしかない。これは専門家よりも楽器のオーナーがなすべき仕事なのではないか、と私は個人的に思っている。

ということで、私のように大きな手のひらを持っていて、ほっそいネックを握っていると指がつかれてしまう、という方は、ネックをまっすぐにして弦高を思い切り落としてみてください。おそらく幸せになれます。保証はできませんが。

タグ:弦高
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2023/06/17     King Snake One Bone [音楽]

2023/06/17     King Snake One Bone



まずいものを見つけてしまった。これもまた寺田製のフルアコなんだが、国産で17インチ、フルデプス、P90が1つだけ、Hardwareは金ではなく銀色で、テイルピースは飾りの少ないトラピーズテールピース、ペグはGotoh SD90でつまみはプラ、VTはPGではなくBodyマウント、ボディはメイプルとスプルースの合板でネックはメイプル主体のマルチピース、指板はローズかエボニー。指板のエンドは直線ではなくかっこよくとがっている。カッタウェイはフローレンタインではなくまあるいベネチアン。ブリッジはTOMが望ましいがWoodenでも交換可能なので問題ない。しかも17インチモデルなのに重量を意識して作られており、軽く3キロを切るというのだ。つまり今現在の私が欲しいと思っている楽器そのものがすでに具現化され、実際に製品化されて売られているのだ。これを企画した人のセンスに拍手を送りたい。King Snake One Boneというやつで、ブランド性は私に言わせれば皆無。それでいてかっこいい真っ白なケース付きで24万程度。Walkinのポリ仕上げのものとほぼ同じ値段だ。こちらは極薄でポリッシュなしのラフなラッカー仕上げになっている。Gibsonが廉価なモデルに使っていた手法と同じようなものだろう。引き込むと手に触れるところだけピカピカになっていくのだろう。古いブルースを演奏することを目的として企画された楽器のようだが、GrantGreenのCopyに血道をあげている私にまさにぴったり。製作は寺田楽器なので、品質は保証されたようなものだ。スケールがギブソンではなくフェンダースケールなのが気にならないわけではないが、17インチフルボディはやはりギブソンスケールでは鳴らしきれないということなのだろう。なのでマホガニーではなく私の好きなメイプル製のネックということになる。数週間前に購入を試みた330タイプの楽器とはご縁がなく、心ならずも楽器をお返ししたことは以前に記事にしたのだが、そのお金に少し足してこの楽器が手に入るのであればとりあえず手元に置こうと思う。人生に残された時間がすくないので、やってみたいことをとりあえずやってから後悔しようと思う。あとは運に任せよう。お金はまた稼げばいいさ。

この楽器はかなり軽く作られているというが、定番モデルのフルアコと同じように、ジャックがサイドに設定されている。楽器を高く構えて座った場合に膝に当たるかどうか微妙なところだ。これを避けようとトップにジャックをさすようになっている330タイプを狙ってみたのだがどうもいい出会いがなかったので、本来買い足そう、もしくは買い替えようと思っていた17インチに、、、と考え直し、というか大柄な自分の体に合う17インチの楽器に持ち帰るべきだ、という考えにどうしようもなく取りつかれてしまった。よい楽器は十二分に持っており、手元にあるので、さらに増やすなんて、、、これは病気であると認めるしかない。我ながらだんだん笑えなくなってきた。本当に気に入った楽器があればそれ一本でいい筈なのに。自宅におく楽器はもう増やしたくないのだが、どうもうまくいかない。楽器は倉庫に置きたくないしね。でももうそうするしかないかも。調べてみると同じレーベルで330タイプ、しかもP90の1PUモデルなんかも作っているらしい。心が乱れるがまあ350タイプが手に入らなければもうこの話はなかったことにしようか、、、。そうしよう。King Snakeというブランド、あまりかっこよくは見えないのだが、私好みの楽器をどんどん作ってくれているので本当に目の毒だ。あまりWebサイトとかを見ないようにしよう、、、。


その後小さな偶然が重なり、出会いがあり、一つの、というか一人の楽器とのつながりを感じることとなってしまった。めったにないありがたいことだ。この子は私のために作られた楽器なのだ間違いない。出会いのようなもの、つまり”ご縁”があることを確信した。当初はムリめの話と思ったが、相談は想定外にスムースにながれて縁を感じた楽器そのものを売ってもらえることに。それで結局、当初の予感通りにこの楽器は私の手元にくることになった。新品なので当たり前ではあるが、いい状態で家に来てくれると思う。それで今後は間違いなく長い付き合いになるのだと思う。この子以外の我が家の楽器~住人たちを減らしていけるかどうか、旅に出してあげられるかどうか。私自身の体は一つ、指は10本しかないのでメンバーはおいおい減らすしかないのだ。何時どうやってという問題になるわけだ。これで自分にあった楽器探しの旅のような愚かな行為が終わることを期待したい。残った時間は音楽そのものに使いたい。


クラギについては、”神の手”を持つ人柄のいい制作家の方と親しくしていただくことができたので、今後私が生きている間は何の心配もない。私の方がその方よりも歳上だからね。もしかしたら、エレキ関係でも先達的な方と仲良くしていただけるかもしれない。そうなれば、もう何も心配せずに心から安心して生きていけるのだが。なんとか時間をつくって直接会いに行きたいものだ。



2023/06/25
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ということで、後先考えずに購入に踏み切った。かなりマニアックなお店で楽器を丁寧に扱っておられることが分かったので、目をつぶってお店を信頼することにしたのだ。対応は素晴らしく、フェアなサービスをしてくれて、丁寧に梱包して楽器を送ってくれた。早速調弦して弾いてみる。大きくて軽くて、ネックが驚くほど太い。特にローポジションが太目でネックの断面はDに近いCかな。手元にあるFCSのBroadcasterといい勝負の丸太ぶりだ。私の理想のネックに近い。もう少しエッジが丸まっていれば、理想そのものだ。やはり私の直感は正しかった。ギターハンガーが当たる部分も塗装が傷んでいないし、撮影の時にストラップで塗装をこすることを気にするほどのオーナーさんなので、おそらくギターブラ(という製品があった)のようなものを使っておられるのだろう。しかし残念なことに、メイプルネックの裏に結構深い打痕が。メイプルをへこますくらいなので、かなり固いもの、おそらくスタンドか何かの金属のとがった部分をぶつけてしまったのだろう。お客さんが試奏して何かに当てたのかもしれない。オーナーさんご自身がやった可能性は低いと考えてる。それから、ネックが乾燥して、若干順ぞりしているようだ。ネックの補正はリスクが高いのでやってくれなかったのかな?しかし弦高はいい感じに調整されている。これは私の理解ではフルアコでよくある現象で、ボディに乗っている部分の指板はまっすぐなのだが、ボディから出た部分からナットに向かって順ぞりしているわけだ。多くの場合、ロッドを少しだけしめればまっすぐになるのだが、在庫期間が長い楽器のばあい、どうしてもこうなってしまうのだろう。私のレベルでもこうなっている楽器を数本確認している。ともかく自分で調整できる範囲なので、楽器に慣れたころにロッドを少しだけ締めこんでみようと考えている。もうこれで、楽器の購入は打ち止めだ。私にお似合いの、はじめからちょっとネックが反っていて、弾く前からちょっと傷がついている楽器だ。この楽器なら、JazzだってClassicだってRockだって弾けそうな気がしている。



2023/06/28   
なのだが、いろいろあって、この楽器は生まれ故郷に帰っていった、、、。
こんなに悲しいことが他にあるだろうか?悲しすぎて多くを語れない。

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