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YamahaSA レストア⑤ [音楽]

YamahaSA レストア⑤



今回はナットのお話だ。私のYamahaのナットはおそらく牛骨製、ナットの幅は43ミリで、セミアコとしては標準的だと思う。ナットの溝の切り方は簡単ではなく、メーカーによって微妙な違いがある。長年のノウハウが必要な作業なのだ。個人の工房での作業などを拝見すると、一瞬で溝を切ってしまっているように見えるが、誰にでも気軽にできる作業ではない。うまく溝を切らないとおかしな音が出たり、チューニングやチョーキングがうまくできなくなってしまったりすることさえある。小さいけれどマジで大切なパーツなのだナットって。


メーカー製のナットは、様々な問題を避けるために、比較的浅い溝をきって1Frでの弦高を高めに設定してあることが多い。攻めた設定にすると、ユーザーによっては使い方に合わずにクレームが出るようなことがあるためだ。しかしナットを高めに設定してあると、弾くときに強めの力で弦を抑えることが必要になるため、弾き心地が、それもとくにLow positionの弾き心地がどうしても悪くなってしまう。なので、溝の深さ〜角度、弦の間隔、弦の溝の底の形、溝をまっすぐに切るか、山なりに切るか、など、本当に様々な要素を考えて、溝を切っていく必要があるのだ。USACGなどは、人によって好みが違うから、ナットを付けたネックを売るOptionは設定しないと言っていたっけ。


というようなものすごく重要なパーツなので、ナットは、現在の設定を測定〜記録したうえで、手持ちの溝切用の専用のやすり、大切にしているUO―Chikyuをつかって弦溝の底をわずかにさらったのみでOKとした。ナットの溝切に使うのであれば、これがおそらく最善最良の精密やすりだと思われる。つまり世界一だ。日本製の道具はやはり素晴らしいというしかない。しかしいつも感じることなのだが、6弦だけ1Frでの高さを高めに設定してあるのはなぜなのだろう?Gibson系の楽器はそのように設定されていることが多いようなのだが私はその答えを持っていない。Heritageも同じだ。Yamaha SAも同じだった。多くの会社がGibsonを模倣しているから?伝統?謎は謎を呼ぶばかりだ。そのうち時間と根気があったら、もし今後そういった機会があったら、久しぶりにナットを作り直してみようかと考えたりしている。まだ手許に油に漬け込んだ牛骨が何本か残っているのだ。牛骨をやすりで削ったときのにおいが何に似ているか、、、やったことがある人だけ知っている。むふふ。
タグ:Yamaha SA
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