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Yamaha SA rレストア⑥ 塗装 [音楽]

Yamaha SA rレストア⑥ 塗装



塗装はもう、どうしようもない。とにかく埃をはたいて、布で拭いてからいつも使っているラッカー対応のポリッシュで磨き上げた。そいつを値段が下がってきたマイクロなんとかクロス(眼鏡を拭きあげるような布)でなでるようにして磨くと、結構な光沢が返ってきた。それでもYamaha特有の塗装の濁りはもう出てきていて、残念な気持ちになるがこれは仕方がない。一説によれば、このころのYamahaのポリ塗装の問題は、木部との密着がいまひとつであるため、長年の仕様でわずかな水分は入り込んでこうなってしまうとのことだ。なるほどそういったことなのか。しかし国内外に流通していた大量のYamahaでこの問題が生じていると思うと暗澹とした気持ちになってしまう。だって世界中で使われているんだよ?日本製品の評判が落ちてしまうのは残念だ。しかしまあこれは、私の場合は、知っていて譲り受けた楽器なのだから受け入れることにしたい。味があるとは言えないが、木部の保護はこのままでも十分にできるはずなんだから。


木部の傷に向き合ってみる。ヘッドのとがったところに塗装ハゲ。これはよくあることだ。問題なし。木部が出てしまうほどの深い傷ではないので放置だ。演奏性に問題が出やすいネック裏はほぼ無傷なのだが、友人は楽器にやさしくないスタンドを使っていたようで、スタンドが当たるあたりに横に長い浅い打痕がある。ラッカーではないので、幸い塗装はやられていない。スタンドの”受け”の部分にゴムが使われている場合、ラッカー塗装が反応して溶けてしまうのはよく知られたことだがそういう悲しい事態ではないようだ。ただの機械的なへこみだ。これもいいだろう、このまま受け入れよう。あとはストラップピンあたりにストラップがこすられてついた塗装の輪のような傷が。これはいやだな、けっこうめだつな。これはコンパウンドでなんとかなる程度だと思うのでじぶんで対応しようか。1時間もあればきれいに仕上がるだろうと思われる。経年変化による木部の収縮が原因と思われるバインディングと木部の段差も目立つが、これは味として受け入れるのが吉だろう。のこりはトップだ。トップにはPG周辺の傷が数か所。これは塗装を巻き込んで結構深い。PGの上から大きな力がかかったようで、木部も軽くへこんでいる。わずかに木部が露出しているように見えるので、これは何とかしなくては。この楽器の塗装はポリなのだが、オーバーラッカー、というか、ラッカーでタッチアップしてみようか。それ以外に目立つのは、ジャック付近の固いものを当てたような複数の傷だ。これは昔流行った、ちょっと変わったコンプであるOrange Squeezer、こいつは四角い金属の箱から直接プラグが生えているので、セミアコのトップにそいつを直接差し込むようにして使うのだが、これを装着する際にこすった際についたと思われる。これは結構目立つので何とかしたいな。前オーナーは裕福な家の一人息子なので、こういった高価なエフェクターを買うだけのお小遣いをもらっていたのだ。うらやましかったが、彼は無駄遣いはしない男だ。楽器も私とは違って、エレキはたった2本しか買っていない。しかも何度も楽器店に行って、納得がいくまで試奏してから買っている。ブランドにお金を払うことを嫌って国産のブランド、たしかストラトはFernandesで、セミアコはYamahaを選んでいる。今レトロスペクティブに評価すると、いい目をしていたというしかない。家庭に恵まれるとモノを見る能力がはぐくまれるのだろうか?私は全くだめだめで、いい年をしていまだに音楽業界に結構な額のお金を垂れ流している、、、。まあたのしければいいということにしておこう。さて、話がどこかに行ってしまう前に元に戻そう。

とにかくこの楽器の最大の特徴は、トップがぶ厚いスプルースの単板であることなのだが、高価なフルアコなどと同じ設定になっているのだ。まあ、職人による削り出しではなく、プレスして成形してあるのだと思われるが、なかなか優雅な曲線を描いていてエレガントだ。なので、セミアコながら結構生音が大きく値色が深いという利点があるのだが、一方で、スプルースは柔らかい木材なので機械的な強度が弱く、ぶつけるとすぐに傷ができてへこんでしまうという短所もある。合板の楽器ではないので気を遣うのだ。また、ラッカー塗装であれば勘太郎のChakiのように深めの傷も味になっていくことが期待されるが、この楽器はポリ仕上げなので、きれいに保たれていないと残念で寂しい雰囲気になってしまう。なのでこれは将来的になんとか補修したいなあ。手元にはいまだにWipe on polishがあるので、ばくちだがそいつでやってもいいだろうし、Freedom custom guitar research の補修用ラッカーのタッチアップでもなんとかできるのではないかと考えている。以前にUSACGのポリ仕上げのネックの傷を補修したことがあるのだが、その際はラッカーを使ってよい結果が得られたことをよく覚えている。なので、傷が木部に達しているところは濡れタオルとはんだごてで木部を太らせて傷を目立たなくしてから、そうでない傷はそのまま脱脂だけして、当面はラッカーのタッチアップですこしずつ補修していくつもりだ。時間はかかるが楽しい作業になる筈だ、うん。

V and Tのノブを外してみたのだが、いままで40年間以上一度も外していなかったらしく、埃がたまっており、水分を呼び込んだのか当然のようにまあるく白濁していた。これは塗装と木部の境目の問題なので、磨いても改善しないことは分っている、、、、それでも実際に磨いてみて、改善しないことを確認して、それから元に戻した。ということで、塗装は自分の力量でなんとかなりそうだ、、、というか、自分でできる範囲で、自分が持っているマテリアルと技術だけで補修していこうと考えている。しかしFCGRのラッカー、ほんの5CCで2千円もする。これに代わるものがないのでまた購入するつもりでいるのだが、最近値上げしたらしく3千円もする、、、。ので、他社の製品も当たってみようか。しかし信頼と安心と実績が3千円で手に入るのだから、いつものFCGRを買うのが賢いのかなあ。悩むところだ。


しかしこの時期のYamahaの塗装、みんなどうしているのだろうか。あきらめて白濁を受け入れるのか、全塗装するのか。とにかく捨てるには惜しい楽器なので、何とかしたい。あ、それから、Fホールの中をきれいにしようとブロワーで吹いてみたのだが、埃の塊りが出てきて非常に驚いたことを報告しておきたい。こういうのが入っていると、内部の湿度があがっていいことは何もないのだ。カビも生えやすくなるしね。内部に塗装はされていないので、まあそれ以上はやることはない。塗装関係はこんなところだ。


その後、ラッカーのタッチアップで使えそうなものがないかどうか調べてみた。ギター系の会社で一つ、これは2000エン前後なので選ぶ意味はない。あまりFCGRと変わらないのでそれならFCGRを選んだ方がいい。あとは、タミヤのプラモデル用のものとか、、、これは刷毛がついておらずマニュキアスタイルではないのでやめておこう。あまり本格的なことをすると続かないからね。そうやってまったりと検索を楽しんでいると、、、、カンペハピオ?というおかしな会社で私が探しているものそのものを販売していることが分かった。ラッカーだし、マニュキアスタイルだし、値段も1000円以下で適正だと思う。あとはこいつが使えるかどうかなのだが、やってみることにした。まずヘッドの黒は失敗しにくい筈なので、ここからやってみようかとおもう。黒、アイボリー、それから薄め液を買っても2000エンを切っている。これはイイ、ただし使えれば、の話だが。FCGRの製品は、内容量は非常に少ないが、刷毛の造作もギターのタッチアップに特化していて使いやすかったのだ。以前に購入したものは、僅かに残ったラッカーを薄めて使おうとした際に、適切ではない薄め液を使ってしまって破棄することになってしまった。なので手元に比べるべき実物がないのではあるが、使い心地はよく覚えているので、とにかくチャレンジしてみることにした。レストアなんだから、効率は考えずにのんびり楽しんでいこうと思う。失敗したらやり直せばいいさ、、、。
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