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Warmoth と USACG(内容空虚、長文注意) [雑文]

音楽が好きだ。特にギター音楽が好きだ。何故だかわからないがとにかく好きだ。ギターは弾くものだが、作るのも楽しい。アコースティックギターを作るのは骨だが、エレキならドリルとドライバーさえ持っていればなんとかでっち上げることができる。ただし楽器として良いものができるかどうかは別の話だ。何をもって良い楽器とするか、これもムヅカシイ議論だ。

エレキギターは基本的にアメリカのものだ。アメリカはDIYの国なので、エレキギターを自分で作っている人たちが沢山いる。アメリカに住めばいろいろなリソースが存分に利用できるのだが、日本にいても、多少の英語を操り、高額な送料を覚悟すれば、あなたが欲しい、どこにも売っていない夢の楽器を廉価につくることができる。ただし、同じような仕様のものを売っているならば、買ってしまったほうが安くつくことがほとんどだ。

エレキギターは、ネックやボディの木部と、それ以外の金属やプラスティックの多くの部品からできている。アメリカのフェンダー社のギターを基にしたギターであれば、これらの部品を買い集め、ドライバーで組み合わせることで楽器を作ることができる。私のお気に入りは、テレキャスターというモデルだ。

楽器の木部を正確に加工することは難しい。さらに、それを美しく塗り上げるには職人技が要求され、素人には不可能に近い。だから自分の体や手の大きさに合わせた楽器を手に入れたい人は、普通は大枚をはたいて職人さんに楽器を作ってもらうことになる。

しかし幸いなことに、自分の欲しい楽器の木部を、塗装を含めて注文どおりに製作してくれる会社がアメリカには沢山ある。おそらく最も有名な会社がWarmoth社で、そこからいろいろな理由で袂をわかった人たちが始めた小さめの会社がUSACGだ。その他数社、アメリカ内外にこの手の会社が存在するが、二つの会社を知っていれば、たいていの用は足りると思う。こんなことを知っている人は、それだけで結構なオタクだ。

10年ほど前、初めてW社からボディとネックを買ってみた。両方とも特別な材質で、特にネックは私の手にあわせたぶっといもので、さらに美しい”鳥目”(バーズ・アイと称する)がちりばめられた特別なものだった。届いたものを手にしたときは、うっとりとしてしまって、暫く眺めたり、撫で回したりしたものだ。美術品のような輝きを放つこいつらにドリルを入れるのはものすごいプレッシャーで、気合を入れて穴を開けたり、塗料を塗りつけたりしたものだ。何度もやり直したり、細かい部品を代えたりしながら、今でも立派にそれなりのレベルの音がする楽器として、私の人生を豊かにしてくれている。部品や工具などを沢山購入したので、かなりのお金を使ってしまったが、いい趣味を手に入れた、と個人的には”ご満悦”だ。しかし家人は”ご不満”の様子。世の中そんなものだ。

W社からは何度も木部を購入し、楽器を作っては弾いたり、知人にねだられて売ったりしていた。そうすると、いろいろな情報が集まってくる。アメリカではこういう趣味が盛んであるため、Web上でも様々な情報が飛び交っているのだが、そこで目にしたのがU社の噂だった。”お金で買うことのできる最上の製品”(The best money can buy)を提供するとのことで、興味津々。もうこれ以上楽器は必要ないのに、楽器一台分の木部を注文してしまった。送られてきた木部は、ため息が出るほどの美しいものだった。組み上げてみると、そのままの音が既に素晴らしい。弾いていて気持ちがいい。市販のものとは次元が違う。エレキではあるが、アンプにつなぐ前の音が、なんというか音楽的で、いい感じなのだ。ボディとネックとの組み合わせなどはおそらく何も考えられずに作られたものなので、たまたまなのかもしれない。しかし大変いい買い物をしたことは間違いない。暫くは幸せだった。

一般的にアメリカの会社の仕事は日本とは違い、結構大雑把だ。”こういう部品を、こういう仕様でつくってくれ”と頼んだ場合、ムヅカシイことを頼むと、たいていは微妙に間違ったものを作ってくる。カスタマーサービスはプアーで、電話がつながらなかったり、やり直すよう要求すると逆切れされたりすることも多い。しかしW社のカスタマーサービスは優秀で、オーダーの整合性が取れていないと、”本当にこれでいいの?”と聞いてきたりする。あるパーツを頼んだ際などは、先方が4回間違ってパーツを作ってきたのだが、全て送料込み、先方もちでやり直してくれた。ボディに間違った穴を開けてきたときには、穴にあわせて数万円する部品をただで送ってくれたりもした。かなりの数をこなしている会社なので、品室管理は高レベルで、注文さえきちんと通れば、ほとんどの場合間違いのない商品が送られてくる。ときどき、送られてきた部品のあまりの美しさに見とれてしまうようなこともある。木材というばらつきのある材料を、要求された仕様に加工するノウハウはかなり高度だ。しかしマスプロに近い業務形態になりつつあるようで、材料の質がいまひとつであり、また、大量生産が可能な仕様しか受け付けてくれない。手間隙をかけることを嫌う、といってよいのかもしれない。ともあれ、アメリカに長く住んだ人にはわかると思うが、W社はすごい会社だと思う。個人的にはすごく信頼している。

一方のU社であるが、材料は、”当たり”であれば私が知る限り最良。人が目と手で木材を選んでいるのだという。加工の技術は基本的にCNCを使うので文句の無いものだが、たまに木部が僅かに欠けていたり、ずれていたり、へこんでいたりすることがあるのが玉に瑕だ。木部の形が、注文と僅かに違うこともある。塗装も手作業の部分が多いらしく(これは歓迎すべきことか)、むらや欠けがあることが結構多い。今までに少なくとも5-6個のパーツを購入しているため、たまたま、ということではないのだと思う。U社のカスタマーサービスも秀逸で、購入した部品の品質に我慢できないときには、Tommyという気のいいおにいちゃんに電話・メールをすると、体温が伝わるようなサービスをしてくれる。私も何度かお世話になっている。しかし気に入らない部分を説明して部品を送っても、なおらないで帰ってきたり、傷や凹みがついて帰ってきたり、そのあたりは日米の文化の違いもあり、我々日本人は基本的に神経質で些事にこだわるので、文化的な違いなども鑑みると評価がムヅカシイ。しかし良心的であることは間違いなく評価できる。こちらがあきらめるか、返品するしかないこともある。Tommyが一生懸命やってくれるからなのか、不思議と頭にくるようなことは個人的には一度もない。結局自分で直すことになった塗装のムラが、最後には良い思い出になる、といった感じ。そうでないとU社とのお付き合いを楽しむことができない、と私は思う。

W社の製品は、規格どおり、注文どおり作ってある。木材の質は超一流とはいかないこともあるが、十分高品質。サポートもアメリカの会社としては最上だ。だから、W社の製品は、例えばある楽器のネックが壊れたとすると、壊れたネックと同じものを注文すれば、いわゆる”ポン付け”が可能だ。PCのパーツを取り替えるように、規格に合わせた作られた部品を取り替えることができる。木材なのに、アメリカの会社なのにこれが可能、というのは本当にものすごいことだ。一方の雄であるU社の製品は、物としては最上だが、品質にむらがあるし、注文通りの完璧な製品が供される可能性はW社と比較すると低いようだ。ある程度木工と塗装の技術を持っている人でない限り、手を出すべきではないだろう。現に最近U社のネックを最近購入したのだが、一部に打痕と塗り忘れがあるため、週末をつぶして塗装の修正をしているところだ。美しい木目が夢のような曲線を描いており、眺めているだけで幸せになれるようなネックなのだが、醜い凹みと、塗り忘れがあるのは本当に本当に残念だ。実は今使っている楽器に問題があり、ポン付けを期待して買ってみたのだが、私の期待は裏切られてしまった、、、残念だ。しかしこれは私のU社との付き合い方が間違っていたというべきであろう。そうではあるが、ここでつくってもらったネックは手に吸い付くようで、上記のように音色もこちらの期待をはるかに上回ることが多く、ギター音楽を愛するものとして、なかなかお別れする勇気が持てない。これからも文句を言いながら、心と時間(とお金)に余裕があるときにはU社の製品を買ってゆくのだろう。今もU社に作ってもらった木部で組み立てた、私にとっては夢のような楽器を膝の上において、つま弾きながらこれを書いている。

あなたも一本どうですか?



2024/2
いろいろあってWarmothにJazzMasterのネックを注文した。素晴らしい仕上がりのネックを送ってくれた。お得意さん扱いしてもらっているのかもしれないが、このところはずれがない。ありがたいことだ。調子に乗ってよせばいいのにBodyもお願いしてしまった。JazzMasterでJazzができるかどうかをテーマにした楽器だ。守備範囲は極めて狭いが腰にやさしい楽器に仕上げたい。あまり厚くない塗装で仕上がってくるといいのだが。Best Guitar Partsだったか、かつてのUSACGのメンバーが数名で手伝っているといわれていた会社はその後いろいろあったようで、その後Sound Guitar Worksという名前で頑張っているようだ。塗装以外はかなり頑張れているようにみえる。期待できそうなのだが、もう私が楽器をアセンブルすることはないかな?

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本八幡 ながせ せいろ 大盛り 750+300エン [日本蕎麦]

本八幡 ながせ せいろ 大盛り 750+300エン
        景虎        650エン

本八幡の長年の宿題となっていたこのお店、ようやく訪れることができた。店内は清潔で、床は板張り、壁は漆喰、音楽は古いJazzだ。いい雰囲気を醸し出しており、よくあるパターンではあるがやはりそこはかとなく居心地がいい。なんでいままでここに来なかったんだろう。駅から遠いからかな。歩くと結構いい運動になる。

小ぶりのテーブルに陣取って、いつものようにお酒をすすりながら、というかぐびぐびやりながらせいろの大盛りを待つ。お酒には小ぶりな漬物の一皿が付き、何ともありがたく、いい気分だ。それでお蕎麦が到着した。四角いせいろ、蕎麦猪口と蕎麦ツユの徳利。小皿には少量の葱と生山葵だ。私の好きなパターン。角盆も木でできており、よく拭き込まれて清潔感がある。割りばしもすすけたような竹で、これも好感が持てる。やや厚めの紙ナプキンも、布ではないが悪くないと思う。

さて、お蕎麦だ。細切りでエッジの立ったやや透明感のあるお蕎麦は、星が目立たず、穀物の粒子をあまり感じさせないタイプ。手打ち機械切りということなのかな?二八なんだろうと考え、お鼻をペッタリクンクン。いつもの儀式だ。うーん、穀物感はちょっと希薄かな?奥歯で噛めば蕎麦感が出てくるヤツだろう、と踏んだ。それでは次は蕎麦ツユだ。すすってみると、全体にしつらえが薄い。まつやの蕎麦ツユを2割薄くした感じ。甘さを1割引き、すこしワイルドさを加えた出汁の感じを2割増し。しかしそれでも全体のまとまりはとってもいいという、不思議だが素晴らしく美味しい蕎麦ツユだ。これはイイ。少量のみしか供されないのが残念。まあ手間暇かかっているので仕方がないのかも。少し考えた末に、格好は悪いがお蕎麦の7-8割を蕎麦ツユにくぐらせることに決めて、一気に、、、と思ったが、実際にはしずしずと、やや上品な蕎麦時間に突入した。しみじみとおいしかった。蕎麦感は最後まで希薄だったけれど。

薄めの輪切りにして供されたお葱は、それ自体で料理のような品質だ。中心は甘くて外側は苦辛い。ほんのわずかな量しかサーブされないのは値がはるお葱だからだろうか?生山葵は薫りはスバラシイが、結構強烈な辛さでお鼻をキックしてくれた。お蕎麦のかそけき薫りをちょっと邪魔するかな?それで小さな湯桶に少しだけ注がれた、とろりとした別仕立ての蕎麦湯を全て楽しんで、お店を後にした。ご馳走様でした。

これは答えを出すのがなかなか難しい問題だと思うのだが、お店に小さな女の子をつれたご夫婦が入ってきて、その子がTVゲームを始め、大きな声を出して騒ぎ続けた。ご夫婦は素知らぬ顔でメニューの選択に熱中しておられたが、デートをしている若いカップルをはじめとした周りの客には、あまり良い印象を持たれていない様子であった。

大変恐縮だが、私も蕎麦時間は静かに過ごしたいクチなので、蕎麦屋のお子さんは正直言って苦手だ。しかし確か西荻窪の鞍馬で隣り合った少年は蕎麦食いとして完璧だった。隣に座った若いお父さんと同じようにせいろを頼んで、ものも言わずに没入して蕎麦を手繰りまくっていた。その一心不乱の食いっぷりに、お蕎麦の未来も捨てたものではないと、嬉しくなったものだ。しかし”鞍馬少年”はやはり例外だ。ドモコは騒ぐものであり、親御さんはそれを何とかしようとする態度を周囲に示してほしい、と個人的には希望する。うまくゆかなくてもかまわないので。お蕎麦屋さんのドモコ問題は、なかなか闇が深い、と思った。

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徒然F30 2018/10-3 [クルマ]

徒然F30 2018/10-3

FD2ともう会えないことはやはり非常に寂しいのだが、前を向いて生きよう、F30との時間を楽しもうと思っている。それで早速足を延ばして、遠くまで行ってお蕎麦を楽しんだりした。クルマの走行距離はまだ500キロ程度、全体に固さがほぐれていない印象だ。

雨が降るフル雨が降る、、、と。私が新車に乗ると、雨が降ることになっているのだ。それでも気分よく、森の中をどこまでも伸びていく道をフンフンとドライブした。

“ンガガガガガ”“ンガガガガ”え?
“ンガガガガガ” “ンガガガガガ”ええ?

わが目を疑わざるを得なかったのだが、ワイパーが大きく震えてフロントガラス上で踊っている。

“ンガガガガガ”“ンガガガガ”

やばい、絶対何かが壊れる。どうしよう。ワイパーのスピードを上げてみた。

“ナナナナナナナナ ガコ!” “ナナナナナナナナ ガコ!”
おお、これはマジでヤバい。何かが何かにぶつかっているようだ。もうだめだ、これは。ディーラーに持ち込んで修理だ。ワイパーを使わないドライブはやはり危険だ。しっぽを巻いて家に帰るしかない。

ということで早速ディーラーに連絡をしたのだが、どうも反応が鈍い。朝は遅いし夜は早じまいだ。自分たちに目線を向けた大名商売をしているのか?そうなのか?クルマを売ったらそれまでなのか?ちょっと頭にきた。しかし背に腹は代えられない。ものすごく頑張って仕事を早く片付けて、にっこり笑ったふりをしてディーラーにクルマを持っていった。購入後数日で問題が起きたわけだが、ディーラーでは、おそらくそうきめられているのだと思うが、誰も決して“申し訳ありません”の言葉を使わない。なんか変な感じだ。

しかしメカニックは“これはひどいです”と私の悲しみを理解してくれ、なんだかフロントガラスにコーティング上のものを塗りぬりしてくれた。その後ウインドウに水をかけてワイパーがとんでもない状態にならないことを何度か確認してくれた。これで一軒落着だ、、、というかそうだといいなと思った。

BMWは高速度での走行が想定されているので、ワイパーをフロントガラスに押し付ける圧力が高いということは知っている。しかしそういう風に作られているのだから、それで何の問題もない筈だ。なので今回の小さな事件は、おそらくフロントガラスに塗布したコーティングのようなものと、ワイパーのマッチングが悪かったからなのだと思われる。だから日本で施工されたと思われるコーティングが問題となって私の楽しいドライブを台無しにしたというわけだ。なんだか納得がいかないなっ、と。

まあ、きちんと直してくれたので文句はないのだが、ちょっとだけ今後のディーラーのサービスに不安を感じた数日であった。クルマに乗るということは、クルマの良否だけでは判断できない。身近にあるディーラーがいい対応をしてくれるかどうかということもすごく大きな要素なのだ。だから小さなことで文句を言ったりせずに、今後もディーラーの対応をすこしだけ大きな心で見守っていきたいと思った。それにしてもオレって本当に時間がなくって、ディーラーにのんびり足を運んでいる暇がないのが情けない。

タグ:F30
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