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2022/4/28   Heritage575Custom [音楽]

2022/4/28   Heritage575Custom



新旧ブリッジの台座の大きさを測定して、現在ブリッジがおかれている部分をPost itをつかってマークする。このときPost itのノリの部分を何度か体に張り付けて弱めておくことが大切。まれに塗装を痛めることがあるからね、うん。そうやって、大切なボディの表面を柔らかい布で保護してから注意深くすべての弦を緩めて外した。テイルピースがトップを叩かないように布で覆い、それからおもむろにこれまで使ってきたブリッジを外した。おつかれさまでした。またお世話になるかもしれないので大切に保管することとしたい。Replaced bridge.jpg
















実はこのブリッジ、形こそオリジナルと同じなのだが、ブリッジ部分のみエボニーを使ってある。理由は以前に書いたように、6弦の弦が載る部分が極端に薄く弱いからだ。また、溝を切る位置も微妙にずらして、ブリッジが厚くて強い部分を意図的に使うように設定した。工夫したおかげでこれまでよく働いてくれた。音が多少固い方向に変わってしまったが仕方がない。いつかまたお付き合いすることもあるかもしれない。ブリッジの部分はこんな感じになっていた。かっこいいでしょう?
Original.jpg




















それで、これまで付き合ってきたブリッジに別れをつげ、新しいものに置き換えてみた。トップとのフィットが心配されたが、満足できる仕上がりとなった。ブリッジの台座はかなりぴったりとトップに密着しており、Postitを差し込もうとしても隙間がないのでまったく入っていかなかった。満足だ。あとはオクターブ合わせだけなのだが、これがまた面倒くさい。私が手に入れたブリッジの場合、Gibsonは伝統的に駒を調整するねじをヘッド側に向けてくみこむのだそうだ。GotohのWebサイトを見ても、そういった設定になっているようだ。逆の方が調整しやすいと思うのだがここは伝統にしたがうこととしたい。それでまた弦を張りなおしてチューニング、オクターブを合わせて、、、。最初の設定では、3弦はいいのだが4弦のオクターブが正確に合わなかった。それで台座を数ミリ動かして同じことをくりかえして、、、これを3回ほど繰り返し、その後精度が高いチューナーを使って設定を追い込んで、まあ最終的に満足できる状態に持ち込むことができた。トラ目はギラギラだし、金属部分はキンキンで、木部は黒、ちょっと品が悪いような気もするが、まあいいだろう、受け入れるしかない。

Replaced.jpg



















さて、音の方はどうだろう?これはもう劇的な変化だ。まず音がクリアで音量が上がった。低音弦の輪郭がはっきりと前に出るようになり、Bassを意識的に強く弾く必要がなくなった。一言でいうと、現代的なフルアコの音に近づいたような印象だ。楽器自体のレスポンスはよくなったのだが、同時に詫び錆のような、なんというか、全体からにじみ出るような独特の枯れた雰囲気はかなり薄らいでしまった。しかしわたしはこれでいいと思う。ハイポジションで和音を弾いても濁ることがないし、弾いていて指に負担がかからない。弦のちょっとした弾力のような、指に直接感じる弾き心地も若干よくなっているような印象だ。今後弾いていくと、楽器全体のコンディションが少しずつ変化して数週間程度で落ち着くことが期待されるのだが、その時まで最終的な評価は待つべきなのだろう。



今回、久し振りに楽器を磨き上げてみて気づいたのだが、大切に弾いているのだが随分フレットが減ってしまっている。誰か信頼できるリペアマンはと知り合いになるまではこのまま何とか持たせたいな。フレットを打ち換えるとまた音が変わってしまうからなあ。知らない人に大切な楽器を任せるのは嫌なのだ。



ともあれ、今回の“改良“は成功といっていいのではないか。

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2022/4/27   Heritage575Custom [音楽]

2022/4/27   Heritage575Custom


Steel Bridge.jpg

















意外なほど早くBriedgeが届いた。台座はエボニーと記載されているが、恐らくそうではない。仕上がりは悪くないが、塗装されているように見受けられる。最も大切なボディと接する部分の加工精度は許容範囲内で、オリジナルと同様、木材の柔軟性を生かした設計となっているので、私の楽器に加工なしで使えると判断した。本来はトップのカーブにぎりぎりまで合わせることが望ましいのだが、今回は追い込まないことにした。木部はアジア製とみた。金属部分はGotoh制なので間違いない。スタッドもブリッジに付属するGotohのものと思われる。こちらも品質が高い。


Wooden weight.jpg

















ブリッジを置き換える前に、重さを量ってみた。木製のものは26グラムとかなり軽量だ。金属製のものはずしりとした手ごたえがあり、なんと76グラム、3倍の質量だ。これで音が変わらないわけがない。いい悪いではなく好みの問題になるだろうが、この辺りはばくちのようなものだ。音の変化をあきらめて、正確なピッチを求めるわけなので、何か失うものがあるとしてもそれは受け入れるしかないわけだ。世の中そういうものだ。



Steel Weight.jpg

















ブリッジの駒?にはこまかいガイドラインのようなものが刻んであるが、駒の上面には届いていない。なので自分で弦の太さに合わせた溝を切り込む必要がある。これは私の得意技だ。きくところによれば古のGibson、Kalamazoo工場では、ブリッジの上に弦をはり、適切な感覚に広げて、弦の上からトンカチで叩いて駒にくぼみをつけていたとのこと。なんて原始的な。しかしたしかに弦の太さにぴったりと合った溝が駒に刻まれることにはなるだろう、うん。合理的と言えないことはないが野蛮だな。細かい日本人としてはそれはしたくないので、昔取った杵柄、こういった細かい加工はお手のものだ。しかし私は気づいてしまった、老眼がものすごく進んでいることに。そうか、それで最近おでこのしわが深くなっているのか、、、。まあ進んでしまった老眼はどうしようもないので、頭に括り付けるルーペのような道具を活用して視力を補った。StuMacのDanみたいでかっこいい?


Uo Chikyu.jpg













そして自慢のナットファイル、Uo-Chikyuを取り出しておもむろに溝を刻んだ。ゆっくりと久しぶりの作業を楽しみつつ、弦の太さに合わせて慎重に溝を刻んだが、まあこういった手仕事に慣れている私にはいくら丁寧にやっても30分もかからない。やってると進んだ老眼が悲しいけどね。このファイルはおそらく世界最高の道具だと思うので、興味がある人はぜひ手に入れてみてほしい。ちょっと買いずらいけど頑張って調べれば何とかなります。なので仕上がりは当然完璧だ。私が加工した部分で弦が切れるようなことは今後おそらくないだろう、うん。さて加工がすんだブリッジを取り付けてみるか。どんな音がするか、早く聞いてみたい。

続く

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