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2022/1/22   私のギター ⑦ Jun Nacano [音楽]

2022/1/22   私のギター ⑦ Jun Nacano


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心に迷いがある時は、クラギでJ.S.Bachを弾くに限る。私の手元にはスバラシイJun Nacanoギターがある。最近指の筋力が落ちてきたような気がしており、以前から気になっていたハナバッハの黄色、テンションの弱いものを張ってみた。私の楽器はオーガスティンのRegal/Redに合わせて作られており、そいつを張っておきさえすれば絃と楽器本体とのマッチングが絶妙でついつい弾いていて気持ちよくなってよだれを垂らしてしまうのだが、老化しつつある体に鞭をうち、無理をして手を壊してしまっては元も子もない。それで黄色のハナバッハを張ってみたところ、、、これはだめだ。楽器が弦でドライブできていない。弦の総合的な質量が足りないんだと思う。それでも左手は楽なのでしばらくこれでやってみることにする。JNギターくんごめんなさい。だんだん楽器が弦になじんで鳴りだしてくれることを期待。しかし楽器にはよくないことなのかもしれない。

この楽器のナットの加工なのだが、これがまたスバラシイ。木工では直線を出すことが最も難しいと考えるが、Nacanoさんは神の手を持っているのか水平よりも水平、といった感じの仕上がりになっている。牛骨と木部のつながりなんかはどうすればここまで追い込めるのかと感心するばかり。木と骨の持ち味の違いをよく分かっておられるのだろう。ナットは弦間の余白を彫り込んで各弦が独立したかのような構造になっているが、これはトーレスのやりかたを踏襲しているとのこと。でき上がったものをぱっとみると、それがあたりまえのように見えるかもしれないが、こういった作業を簡単にできるようになるためには長い時間と忍耐と才能が必要なことは間違いない。一度自分でナットを作ってみるとしみじみとわかるだろう。何回やっても、いろいろなジグを買って使ってみても、満足なナットができたためしがない、私の場合は。

こういった細部に見とれていると、ついつい時間を忘れてしまう。しかし楽器は弾いてなんぼなので、下手でもいいから丁寧に一生懸命弾かないとね。自分として一切妥協のない楽器を手に入れることができたことは幸運だった。今日も豊かな時間を過ごさせてもらっている。Nacanoさん、JNギターくん、いつもありがとう。

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